10年前と現在(2022年)では、働き方が大きく変わったという人もたくさんいますが、多くの親が抱える悩みの一つに「仕事と子育て・家事の両立が難しい」というものがあります。
私が担任していた小学校の学級懇談会でも、「仕事と子育ての両立」について、話題になることも多々ありました。
この問題を解決するために、よく言われるのが、
- 夫婦で家事の分担をする。
- 子育て支援などのサービスを利用する。
- 時短レシピをマスターしたり、便利家電を活用したりする。
というものがありますが、一つ重要なことを忘れているなぁと感じます。
それは、
という考え方です。
子どもを労働力と考えるなんて酷いわ。
そんな扱いをしたら、虐待にも繋がりそうじゃない。
こんな風に言われることもありますが、もちろん、無理矢理に働かせる訳ではありません。
子どもが家族の一員として、それぞれの年齢に応じて家事を行うことで、
- 親も精神的な余裕が随分生まれるので、非常に穏やかな日々を過ごすことができる。
- 子ども自身が身体の使い方、家事の重要性を理解することができる。
こんな大きなメリットが生まれます。
実際に、どの様にして子どもに手伝って貰うのかもあわせて具体的に説明します。
共働きの家庭の親・シングルマザーの1日は超絶な忙しさだ
日本のお母さんの睡眠時間は、世界25カ国(OECD)の中でも最も短く、7時間30分程度だということはよく知られています。
特に、保育園児・小学校〜中学校に通う子どもがいるお母さんの睡眠時間は、さらに短くなり、5時間〜6時間程度の睡眠だという方がほとんどではないでしょうか。
一般的な共働きの家庭のお母さんやシングルマザーの1日を紹介します。
一般的な共働き家庭のお母さん・シングルマザーの1日のスケジュール
勤務先・就業開始時刻・子どもの学校までの距離など、様々な条件でライフスタイルは変わりますが、私がこれまで出会った、共働き家庭のお母さん・シングルマザーのスケジュールは主に次のような感じでした。
06:00〜07:00 朝食準備・お弁当作り
07:00〜08:00 身支度・出勤
09:00〜18:00 仕事
18:00〜19:00 退勤・買い物・習い事のお迎えなど
19:00〜21:00 夕飯準備・食事・後片付け・翌日の弁当準備
21:00〜22:00 洗濯・学校・習い事に必要なものの準備
22:00〜23:00 入浴・自由時間・就寝
当然、全てが予定通りに進むなんてことはありません。
また、持ち帰りの仕事がここに上乗せされることも多いでしょう。
ですから、
家に帰ったら、ちょっと休憩って休みたいけれど、座ったら負けよね。
もう立てなくなるから、帰りの道中で家に帰ったらどう動いたらいいのか段取りをするの。
ゆっくり座れるのは、子ども達が寝てからかなぁ。
なんて話をよくされていました。
とにかく、お母さん方は、目が回るような日々を当たり前の様にこなしているということです。
これを少しでも和らげるために、子どもだって働くのは、当然のことです。
このスケジュールの中で、小学生の子どもでもできそうなことはないのか考えてみましょう。
小学生でもできる家事はたくさんある
学級懇談会の度に次の様な質問をしていた時期があります。
あなたもどんな気分か考えてみてください。
- そんなことが実現したら最高に嬉しい。
- ご飯が炊けるまで割と時間がかかるから、帰宅が遅くなった時には、つい麺類になってしまうという悩みから解放される。
- とにかく、パッとおかずを準備したらいいだけだから、かなり時間に余裕ができる。
こんな声をたくさん聞いてきました。
ここで改めて考えてみたいことは、
ということです。
小学校3・4年生以上なら、数回お米の炊き方を教えれば、覚えてしまう程度の作業内容です。
我が家の場合は、息子がキッチンに踏み台を置いて、お米を研いでいた記憶がありますから、多分、小学校1・2年生くらいから、毎日お米を研いでいることになります。
つまり、
ということです。
先に触れた、お母さんのスケジュールを振り返りながら、簡単な家事をピックアップします。
- 炊飯
- 夕食の後片付け
- 洗濯機を回す・洗濯物を干す・取り込む(たたむのは少し難しい)
- お風呂洗い
これくらいのことは、どんどん子ども達に任せていきたいものです。ところが、
そんなのは理想論で、実際に手伝わす方が大変なのよ。
失敗してキッチンがぐちゃぐちゃになったりして、却って二度手間。
と、言われる方が非常に多いです。
けれど、我が家の場合では、家事の多くを子ども達に任せているので、急に両親共に、「ごめん、帰りが遅くなりそうだから適当に夜ご飯を作って食べておいて」と電話をすればいいだけです。
子ども達に任せたからと言って、何か問題が起きるということもありません。
ただただ、そういう時は、子ども達に感謝するのみです。
具体的にどの様にしてきたのか紹介します。
【具体例】子どもに家事を任せられるようになるまでに行ったこと
子どもにある程度の家事を任せると言っても、いきなり「洗濯機を回して」「ご飯を炊いといて」と言ってできるものではありません。
最初は少しばかり手がかかったり、失敗することもありますが、教える手間を惜しまず、一度教えてしまえば、ずっと手伝ってくれるので、かなり助かるものです。
そこまで行くのに実際に行ったことは、
- 長期的な視点で家事と子どもを見る。
- 家事は楽しいものであるという雰囲気を作る。
- 一つのことを教え、習慣化されるまで口を出し続ける(次をすぐ教えない)。
要するに「気長」であれば、何とかなるものです。
もう少し詳しく解説します。
長期的な視点で家事と子どもを見る。
「長期的な視点で家事と子どもを見る」というのは、マインド的なものです。
例えば、子どもに洗濯物の干し方を教えるとしましょう。
ところが、子どもは1秒でも長く遊ぶことをメインに考えますから、衣類がお団子状態で洗濯バサミにぶら下げられることもあります。
そうすると、
なんて思うものです。
これが短期的な見方であって、ここを乗り越えない限り、子どもも成長しなければ、大人の時間も増えることはありません。
洗濯物を干すことを任せるのであれば、
と言って、子どもと一緒に干し直せばいいだけです。
こんな話を1度しただけで、できる様になるかどうかは分かりませんが、反対に、こんな話を30回以上言わないといけないというのも想像できないはずです。
「まぁ、30回くらいは失敗してもいいじゃないか。」これくらいの気持ちでいれば、腹も立つことはないでしょう。
家事は楽しいものであるという雰囲気を作る
時々、「家事が大嫌い」と言われるお母さんにも出会いますが、これは損してしまいます。
一時、小学生の憧れの仕事がYouTuberだった時期がありますが、それは、
ためです。
企画を考えたり、動画編集が「むちゃくちゃ辛い・大変・面倒くさい」という雰囲気を全面に出す人が多ければ、子ども達は憧れなかったはずです。
それと同じ様に、どうせ家事をするのなら、楽しくやりたいものです。
私の場合は、料理をする時、洗濯物を干す時は落語を聞きながらやっていますから、かなり楽しい時間です。
さぁ、落語でも聴きながらパパッとやろうか。
こんなことを言いながら、家事をスタートさせてきました。
もちろん、今でも落語を聴きながら家事をしています。
必要な最低限の家事の技能は教える
当たり前のことですが、最低限の家事の技能は教えます。
例えば、お米を研いで、炊飯器のタイマーをセットするまでの流れは、
- 10回見せる。
- 10回一緒にやる。
こんなことを意識していました。
だからと言って、習慣化されるとは期待せずに、一人でする様に任せてからは「ご飯をセットしてくれた?」と電話を入れていました。
これを2週間も続ければ、概ね習慣化されてきます。
慣れてくると、「今日はご飯、何合炊いといたらいい?」なんていうLINEが来る様になるので、それまで、気長に付き合うことが大切です。
また、習慣化されるまでの期間中は、「炊飯準備を忘れてしまう」ということもありましたが、そんな時も叱らずに、お願いしているのは、こちら側だから…という気持ちで接しました。
家事で子どもは賢くもなれる【身体を使った経験は大きな財産】
最近、進学校・進学塾として有名なところに通われている小中高生やそのご家族と話をする機会が多いのですが、
と感じることが非常に多いです。簡単な例を挙げてみましょう。
英語の勉強を始めたばかりのはなちゃんは…
selfってなんだったけ?
聞いたことがあるけれど意味が思い出せないよ。
最近、スーパーやコンビニでセルフレジって見かけるやん。
一般的なレジとどんなところが違う?
あのさぁ、うちがスーパーやコンビニ行く時間があると思う?
毎日、毎日、塾に行ってるねんで。
はなちゃんは、学校が終わる頃には、校門前にお母さんがお迎えに来て、毎日、塾にまっしぐらです。
毎日、有名進学塾に通っているけれども、成績は下がる一方でどうしたものか?という相談を受けたという訳です。
ここで、そもそもなぜ学ぶのか?ということを簡単に考えてみましょう。
学問の歴史を見れば、見えてきますが…
- 生活で困ったことがあったから何とかして解決したい。
- もっと楽しい生活を送りたい。
- 不思議だなぁと思うことがあったからその真相が知りたい。など
が原点にある訳です。
現代では、物心がついた頃からたくさんの情報に触れ、次から次へと学ばなければいけないことに触れる生活になっていますが、自ら学ぶ・創造する子になって欲しいというのは誰もがもつ願いではないでしょうか。
こんなことを考えると、最初に子どもは重要な労働力と言いましたが、それぞれの年齢に応じて、生活に必要な仕事をするという事は、
という様な重要な意味があるのです。
反対に、生活を存分に感じることができる「家事」をしない暮らしを子どもにさせるのは、学んだり、理想をもったりするチャンスを奪ってしまう可能性もある様に感じます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
はなちゃんとは、少し遠くまで自転車で出かけたり、簡単な料理をしたりしていますが、こんなことをやり出してからの方が、自ら勉強する様になったそうです。
人って面白く、不思議だなあとつくつづ感じます
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