なぜ、学校は英検を強制受験させるのか?良い学校は強制しない!

英検の試験日が近づくと、中高生から「何で英検を受けないのいけないだ?」なんていう愚痴を耳にする機会が増えます。

反対に私からすれば、何で受験したくない英検を受けることになるの?という疑問が湧いてくるのですが、詳しく事情を聴くと…

学校が強制的に英検を受験するように指導をしている

こういうケースが意外にも多いことが分かりました。そこで今回は、

  • なぜ、学校は子ども達に強制的に受験するように伝えるのか。
  • 強制的な英検の受験を断るには?

を紹介します。実際に英検を強制的に受験させている中学校に通う子どもと保護者に詳しく話を聞き、見えてきた課題もあわせて紹介します。

因みに私は中学生の頃に英検4級を受けたきり、必要ないと思ってそれ以降は一度も受験をしていません。

目次

なぜ、学校が英検の受験を強制するのか?

私が関わっている子ども達の通う学校(公立・私立)の中高生と保護者に英検の受験について、様子を聞いてみました。その結果、

  • 公立中学校・公立高校では、英検の案内はするが受験の有無は自分で決めると良いというスタイルが圧倒的に多い。
  • 私立中学校・高校は英検の受験を強制している割合が公立学校より高い。

ということで、必ずしも全ての学校が英検の受験を強制しているとは限りませんとは言え、なぜ、私立中学校・高校は英検の受験を強制することが多いのでしょうか。

まずは、実際にどの様な強制がされているのか見てみましょう。

(事例)英検の受験はどの様に強制されるのか?

私が保護者の方から直接聞いた一例を挙げておきます。これは一例なので、学校によって形が異なる場合も多いだろうと推測します。

  • 子ども達に英検の申し込み用紙を配布。受験する様に指導。
  • 学校側が受験申し込みが無い家庭に個別に連絡し、受験する様に促す。

この時に、「大学進学に際に受験しておいた方が有利になるから、受けておいた方が良いですよ。」と言われるそうです。学校の先生から個別に電話まで貰い、ここまで言われると断り切れないのが通常でしょう。

結果として、「ほぼ強制的に英検を受験させられた」という認識になってしまうのです。

ちなみに英検を受験するにあたって必要な費用は…

1級準1級2級準2級3級4級5級
団体6,400円5,700円4,700円2,900円2,500円
個人11,800円9,800円8,400円7,900円6,400円4,500円3,900円
2023年 英検受験費用の目安(会場等によって若干の変動あり)

それなりに費用がかかりますから、様々な家庭状況があると配慮できる学校ならば、英検の受験を強く進めることはないでしょう。反対に少し厳しい言い方になりますが、英検の受験を上記の様にほぼ強制する学校は、様々な家庭状況があるという配慮が、他の面でも欠けているという印象を受けました。

英検を受験したくない理由とは?

強制的に英検の受験をさせられる時点で気持ち良くないものですが、子ども達に直接話を聞くと、その他にも様々な理由がありました。

  • 英検を受けるための勉強ができていない。→落ちる気しかしない。
  • 進学に有利と言われることもあるが、自分の進路には無関係。
  • 大学入試の勉強に専念したい。
  • 準2級までの程度なら大した価値もないから、受験するなら2級から受験したい。

こうして子ども達の声を聴くと、一律に英検を受験する必要はないと感じるのは私だけではないはずです。

学校が英検の受験を強制する理由

今回、ある私立中学校に「なぜ、英検をほぼ強制的に受験させるのか?」と問い合わせてみました。

その結果を整理すると次の通り。

  • 国際社会の中で生き抜く力を子ども達に着けさせておきたい。
  • 高校・大学受験の際に「英検2級を取得していること」などの条件が課せられる場合があるため子どもの将来を考えると、英検を取得しておいた方が良いから。

確かに、その通りなのですが、今回問い合わせた中学校では、中学1年生の夏には、既に英検4級を受験する様に案内がされていました英検4級のレベルと言えば、「中学英語の中級程度」ですから、小学校で少し英語に触れてきたとは言え、中学1年生から本格的に英語の勉強を始めて、2〜3ヶ月程度の子どもにとっては、合格はかなり厳しいだろうと想定できます。

それなのに、なぜ、中学1年生に対して4級の受験の案内をするのでしょうか?こんな質問をしてみました。

  • 合格が厳しい状態であっても、「英検はこのようなもの」と子ども達に実感してもらい、繰り返し受験してでも合格して欲しいから。
  • 本校は、英語教育に力を入れていると宣言している以上、大勢の子ども達に英検に合格してもらう必要がある。実績としても公開している。

との回答でした。実際にその学校のHPを拝見すると次の様なことが書かれていました。

  • 中学生・英検準2級以上100%合格
  • 中学生・50%が2級以上に合格!

確かに素晴らしい結果かもしれませんが、この学校に通う子ども達の声を聞くと、準2級に合格するまで何度も受験をさせられた様です。学校の実績を作るために英検の受験を勧めていたのではないか?どうしてもそんな印象を受けてしまいます。

それよりも重要なことは、

CHECK

英検合格を目標にするならば、
英検に合格できる様な授業が日々なされているか?

という点ではないでしょうか。

英検を受験したくない!という時の断り方

高校入試でメリットがあるのは、準2級以上でしょう。

大学入試であれば、最低でも2級は必要でしょう。ということは、英検を受験するのが嫌な人が、4級や3級を受ける必要は全くありません

もちろん、法的にも「英検の受験は定められていない」ために、頑なに受験を拒否しても何ら問題ありません

ただ、学校によっては先ほどの例の様に、英検準2級以上全員合格!と掲げたい場合もあるので、頑なに断ると学校との関係が悪くなる可能性も考えられますので、注意が必要です。

重要なのは、

CHECK

なぜ、英検の受験をしたくないか、きちんと説明できること

で、具体的には次の様なことが話せることが重要です。

  • 自分が希望する進路に英検はどの程度のメリットがあるのか?メリットは何もないのか?
  • 入試の英語問題と英検の問題の異なる点
  • 今後の展望(今は受験しないが、来年には準2級を受けるつもりなど…)

つまり、「面倒だから・勉強したくないから」と言った理由ではなく、先を見通して、今は受験しない」とか「今後も受験する必要がない」ということが言えることが大切です。

我が家の場合は、高校生の息子が「英検を受けておいた方がいいかなぁ?」と言っていたことがありますが、「受けたい訳でもなく、何のために受けるのか明確でないなら受験しなくてもいいやん。」と伝えました。

なお、強制的な英検の受験ではない場合、様々なメリットがあります。英検を受験するメリットについては、入試の為に英検を取得!どの程度のメリットがあるか解説をご覧ください。

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本当にいい学校は、英検の受験を強制しない!

確かに、英検準2級全員合格!などと言われると、「素晴らしい英語教育をしているだろうなぁ…」という印象を受けるかもしれません。

ただ、中高生の場合、例え英語教育に力を入れている学校でも、

  • 子ども達にとって本当に英検は強制的に受験させる必要があるのか?
  • 全員が指定した級に合格する必要があるのか?

今一度、見直す必要があります。

私の場合は、毎日、様々な国の子ども達と一緒に学習をしていますが、子ども達は、日本語や日本の文化・方言などを楽しんでいます。反対に、私は子ども達から「英語の発音が笑えるわ」なんて言われながら、発音を教わることもあり、英語の文化を楽しんでいます。

もちろん、英検に合格するということは素晴らしいことですが、その前に、

CHECK

コミュニケーションを楽しむために言語がある

ということを教育の現場では忘れはいけません。

英検を強制的に受験させられる…と話していた子どもの一人は、三度も同じ級を受験しましたが不合格でした。

はなちゃん

ここは日本やで。
もう英語の勉強なんか嫌だ。
外国の人と話すこともないのになんで勉強しないといけないの?

彼女がこんなことを言っているのを聞くと、学校の実績を見せるために子どもの意欲が犠牲になってしまったのではないか?なんて思うのです。

本当の意味でいい学校というのは、こうした実績を見せなくても子ども達の様子・授業の様子を見ればすぐに分かるものです。あなたの子どもが通うことになりそうな学校の子ども達は、楽しく・生き生きと学習しているでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございます。

先に紹介した、私と一緒に勉強をしている海外の子ども達はとても日本語が上手です。様々な日本の人とコミュニケーションをとるのも全く抵抗を感じないだろうなぁ…と思うほどのレベルです。

でも、日本語検定の級を取得している子は少ないです。

つまり、「〇級に合格したで!」ということよりも「言葉を使って楽しむ」これが、一番大切じゃないかなぁって思います。

英語のジョークで、「7は9よりも強い(seven・エイト・nine)」というものがありますが、これでプッと笑えた人はなかなか通だと思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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