「子どもの進路をより良いものにしたい」と誰もが願います。
ところが、「いい教育を受けるには、それなりの費用もかかる」という、経済的な問題点があります。
そんな中、2020年から始まった「私立高校授業料の実質無償化」の制度を活用しながら高校に通えばいいので、選択肢が広がった…と考えられる方も多いでしょう。
確かに学費の面では助かる部分もたくさんありますが、注意しないといけない点が多々あるのが現状です。
- 授業料以外の費用(施設管理費・補習費)などがかかる。
- 学校によっては、意味不明な雑費が徴収されることがある。
- 学校行事に関する費用が異様に高い学校もある。
こうした経済的な問題点があるのが現状ですが、私が様々な私立学校の子ども・保護者と直接関わる様になって最も強く感じた問題点は…
だということです。どういうことか、詳しく解説しますので、お子さんの進路を考える時の参考にしていただけたら幸いです。
私立高校授業料の実質無償化とはどの様な制度か?
私立高校授業料の実質無償化に関する詳しい内容は、他のサイトでもたくさん紹介されているので、ここでは、簡単に整理しておくことだけに留めます。
私立高校授業料の実質無償化とは?
正確には「高等学校等就業支援金制度」という制度であり、これまでにも支援は行われていましたが、支援額が大きくなったために、私立高校の授業料程度は、賄えるというものです。
- 私立高校の授業料の平均額程度は支援して貰える
(授業料全てが0円になる訳ではない) - 後に返金されるという形になるために、一旦は支払わないといけない
- 私立高校在学にかかる費用は、授業料の他に設備維持費・教科外活動費なども必要
2018年、文部科学省が発表した「子供の学習費調査」をもとにざっくりと計算しても、1年間に授業料の他に50万円〜70万円程度は、必要になります。
なお、あなたの家庭状況でどのくらい支援を受けることができるかは、以下のサイトで、シミュレートすることができます。
私立高校授業料の実質無償化の影に隠れる問題点
私立高校に通う場合の支援額が増えたことは嬉しいですが、
ということも忘れてはいけません。
実際に私が直接関わっている生徒の学校も徐々にですが生徒数が減少してきています。
そのためでしょうか…説明がない状態で引き落とし額が増えています。
学校設備維持費 | 年々増加 |
雑費 | 何に使われたか不明 |
正直、学校設備維持費に関しても、学校としてのどれだけの収入・支出があったのか、報告がされていない学校がいくつもありました。
雑費に至っては、そもそも何なのか分かりません。
ところが、一度入学してしまうと、簡単に転校することはできないので、言われるがままに支払うしかないというのが現状です。
ちなみに、公立の場合は、学校運営は税金で行われるために、不明なお金の存在は基本的に認められません。
さらに、学習に関する予想外のお金の問題も見られました。
【実例】さらに学ぶのであれば、学校にお金を支払わないといけない
先日、ある私立高校に通う保護者の方から次の様な相談をいただきました。
恥ずかしいことですが、夏休み前の個人懇談に行き、学校からお叱りを受けました。
- 中間・期末テストの結果がかなり悪い。
- 提出物があまり提出されていない。
- このままでは、進級さえも危険な状態。
そこで、「夏休みに行われる補習(別途費用が必要)を受講するように」と言われたのですが、これまでの授業の様子を本人に聞いても、「全く意味が分からない」と言います。
この様な状況で、有料の補習を受けても効果が期待できるかどうか分からないので、一度、相談に乗ってください。
補習には、多くの人が申し込んでいるようです。
とのことでした。
この話の問題点を整理してみます。
問題点1 さらに学校で学ぶにはお金を支払わないといけない
公立小学校・中学校を経て、私立高校に入学した方は、この様な制度に驚かれることが多い印象です。
そもそも、授業料の他に、設備維持費などの費用を支払っているにも関わらず、さらに補習を受けるとなると、費用を支払わないといけないというのが、予想外の出費ということになります。
公立高校の場合は、通常この様な補習を受けるにあたって、費用は発生しませんから、
という思いになることは否めません。
問題点2 授業の質が悪ければ補習の受講者が増える
皮肉な話ですが、通常の授業の質が悪ければ、テストの結果が悪くなり、補習に参加する人が増えます。
つまり、学校に入ってくる収入が増えるということになります。
私が今回直接関わったケースで言えば、夏休みの補習1講座(50分授業)で、約5000円が徴収されることになっていましたから、学校にとっては、大きな収入源となります。
コロナの影響で、通常通りの授業ができないにも関わらず、学費をなんらかの形で減額・返金した私立大学がわずかに4%しかありません。
この様子や金銭に関する学校の問題を見ると、付属高校も教育メインではなく、ビジネスメインの考え方が浸透しているのではないか?と思ってしまいます。
本来、教育とは人を育てるもの
当たり前の話ですが、本来、「教育とは、人を育てるもの」です。
- あなたは成績が悪いから、進級できない。
- 成績が悪いから、進学できる学校がない。
この様な話をする以前に、どうしたら、子ども達が学ぶ意味を感じ、学ぶ楽しさを感じられるようになるのか?を試行錯誤することが、教育に関わるものの仕事ではないでしょうか。
上記の補習の話を「自動車」に置き換えると…
修理代として、80万円お支払いください。
と、言っているようなものです。
以前、ある私立高校の先生と授業の構成について話をしたところ、
よくそんなことをわざわざ考えますね。
なんて言われました。
少なくとも私の息子達には、こういう先生の多い学校には進学して欲しくないです。
まとめ 悲惨な学校を進学先の候補から外すためにすること
親として、今回触れた様な学校を選択肢から外すためにできることをまとめます。
- 学校名・ブランドは一切排除する。(今回のケースはまあまあ有名な学校)
- 既に通っている知人がいるなら、学校の様子を聞く。(ネットの情報は参考程度)
- オープンキャンパスなどで、先生の話よりも子どもの様子をみる。
- 参観日に行くことが可能であれば行く。
- 引き落としのお知らせのプリントを貰う。
この様なことをすることで、費用の面・子ども成長具合が見えてきます。
開成高校・灘高校などの様に超有名高校でない限り、学校は基本的に生徒を欲していますから、お願いをすれば、丁寧に対応してくれます。
また、【私立中学校】なかなか気付かない私立中学校生活のデメリットの記事で、私立中学校の生徒の金銭感覚に触れています。
学校外での費用・お付き合いなどの参考にしてください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
授業をする立場の者として、「授業が分かりにくい」と感じさせてしまった時には、とても申し訳なく思うというのが、私の感覚です。
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