小数を含む計算を筆算でする時に、末尾の0を斜線で消す様に言われることがあります。
例えば、東京書籍の5年生の教科書「小数のかけ算」も次の様に表記されています。
子どもの頃、何度もこう思ったものです。
なぜ、00の部分を斜線で消さないといけないのでしょうか。私が関わる子ども達の話を聞くと、先生によっては、教科書の様に斜線がないと、テストでも✔︎にされてしまうようです。
本当に間違っているのでしょうか。
実は…
えっ!私なんか、前のテストでたくさん✔︎されたで。
なぜ、こう言えるのか詳しく解説します。
そもそも筆算は通常、計算の処理をするためのもの
小学校の算数では、様々なところで、筆算の仕方をメインに学習する単元があります。
学習指導要領を見ても至るところに
筆算の仕方について理解すること。
という表記がありますが、もう少し噛み砕いて言えば、
ということも重要なポイントです。
例えば、岡山県が行なっている学習到達度確認テストは、この様な部分があります。
つまり、
- 式は考え方を表現するためのもの→評価の対象
- 筆算は計算処理をするためのもの→計算過程は評価しない
こうした考え方が通例となっているために、計算処理が正しくできているのであれば、それで良いととらえたいものです。
実は、東京書籍も筆算の処理については、次の様に述べています。
3年下p.12 の問題②(1)「1.2+2.8」の筆算において、答え4.0の「0」のみを斜線で消し、小数点は残したままにしている理由を教えてください。
筆算について、正式な基準や方法が定められているわけではなく、児童の実態などに応じて柔軟にご対応いただいて差し支えないと考えています。「答えは4である」ととらえることができればよいのであり、例えば、「斜線を用いて0を消去していないから誤りである」や、「小数点を斜線で消去したから誤りである」などといったことは全く意図していません。
東京書籍 よくあるご質問・Q&Aより引用
つまり、筆算で0を斜線で消していないからと言って、✔︎にするというのは、不適切だということになります。
この斜線にこだわり過ぎると、子どもが成長し、有効数字の概念を学習した時に混乱してしまう要因にもなるために注意が必要です。
有効数字の話は一言で書けないので、1mと1.0mでは正確さがなんとなく違う気がするなぁと感じてもらえれば十分。
なんで?と思った時が学びのチャンス!【1と1.0の違い】
私の場合は、子ども達と小数の筆算を学習する場合、
と伝えています。
ただ、こんな話をすると…
どちらでもいいって、なんかいい加減じゃない?
何でそんなことを言うの?
という鋭い指摘を受けることがよくあります。そこで、次のような話も合わせてするようにしています。
50mを何秒で走ることができたか?
- はなちゃんは50mを7秒で走った。
- マナブくんは、50mを7.0秒で走った。
どちらの方が早く走ったと思うのか子ども達に尋ねてみると、圧倒的に多くの子が、マナブくんの方が早い感じがすると答えます。
そう感じた理由をきいてみると…
- はなちゃんは、7秒ピッタリだったかもしれないけれど、8秒になる少し前にゴールしたかもしれないから。
- マナブくんは、7秒になった瞬間にゴールした感じがする。
小学生でも五年生にもなれば、ちゃんとこうしたところまでイメージできているということです。
感覚的に言えば、はなちゃんが50m走った時には、秒針がカチッカチッと動く時計で測定し、マナブくんが走った時には、ストップウオッチで測定したという感じです。
つまり、
ということになります。
こんなところまで、小学生の小数の学習で学ぶ必要はありませんが、こうした話を少し入れるだけでも、有効数字の基本的な考え方は十分理解することができます。
学力向上・結果を出せ!のムードが学校や塾では非常に強いですが、本当の学びって、「教科書に書いてあったから」ではなく、「なんで?」で考え、身の回りの事例を見つめることだと思います。
【勉強好きになる方法】勉強をしたい大人が多い理由から考えるも参考になると思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
大人の場合は、体重から有効数字の話をした方がいいかもしれません。
私の体重は63kgです。
私の体重は63.00kgです。
この違いはかなり大きいと感じるのではないでしょうか。
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