小・中学生の学力低下の原因と改善策をズバリと言います

いつの時代も「最近の若者と言ったら…」などと言われるものです。

と同時に、「学力低下が止まらない」などとも言われます。

一時は「ゆとり教育の影響だ」なんて論調も強かったのですが、行政の教育システムを批判したところで、我が子の現状は変わりません

そこで、今回は、もっと身近なところを見つめなおして、

  • 学力低下の原因として考えられること
  • 我が子の学力低下を食い止める為に実践できそうなこと

を紹介します。

学力低下の問題を端的にまとめることはとても難しいことですが、現在は、公立学校の子ども達と私立学校の子ども達の両者に関わっているので、その中で見えてきたことも含めて、解説していきます。

本来なら「学力とは?」を定義づけし、データを分析するべきところですが、ここでは、親が我が子を伸ばす為の話をメインにするために、直感的な話とします。

 

目次

小・中学生の学力低下の原因は何なのか?

皮肉なことに、有名進学校・有名進学塾に通っている本人、親御さんから、

なぜ、毎日相当厳しいスケジュールをこなしているにも関わらず、なかなか学習が定着しないのでしょうか。
テストでもまずまずの結果が出ていたのですが、学年が上がった途端に、とても厳しい状況になってしまいました。

という相談を受けることも多いのが現状です。

こうなってしまう原因も含めて解説していきます。

学力低下の原因① 子どもが我慢する機会の減少

「子どもに我慢をさせる」などと言うと、「子どもを大切にしていないのでは?」と言われる方もいるほど、現代の子ども達は大切にされています。

もちろん、子どもを大切にすることに異論はありませんが、

子どもがやりたい様に好きにさせることと、子どもを大切にすることは全く別物

です。ここで、実際にあった極端な例を紹介します。

金田ママ
金田ママ

うちの子、学校の給食に鶏肉や豚肉が出るのが嫌みたいです。

うちでは、牛肉ばかり食べさせていたので、その気持ちもよくわかるから、鶏肉や豚肉が入った献立の日は、弁当を持たせますね。

心配しなくても、給食費は毎月ちゃんとお支払いしますから。

そして、金田くんは、豚肉や鶏肉が給食に出る日には、ドンっと見事なステーキ丼を持参してきたのです。

金田くんは、有名進学塾にも通っていましたが、塾にさえ通えば、お母さんは特に何も言わないようで、好きなものを買ってもらい、好きなものを日々食べていました。

結局、金田くんは、学力が上がらず「〇〇塾の教え方が全然ダメだ」などと言い、様々な有名塾を転々としましたが、学年が上がるにつれて、成績は下がっていきました。

あなたは、金田くんの問題点にすでにお気づきだと思います。

我慢とかルールを守るという経験があまりにも少ないために、深く考えるために面倒なことをするということができない

ということが起きていたのです。

これは、あまりにも極端な例ですが、現代は、豊かになったために子ども達が、我慢するという機会が随分減りました。

厳しい言い方になりますが、「ハングリーだからこそ頑張れる」こともたくさんあります。

 

学力低下の原因② 教育関係のサービスの質の向上

少子化が続き、教育ビジネスの質がかなり高くなってきました。

真面目な塾や学校は、少しでも質の良い授業(子どもにとって分かりやすい授業)をしようと、日々改善が行われています。

分からない問題があれば、YouTubeで検索をすれば、かなり分かりやすく解説をしてくれている授業にも簡単に出会うことができます。

もちろん、こうした素晴らしい解説・授業の存在は素晴らしいことですが、自分なりに考える前に、解説・授業に出会ってしまえるのです。

これは一見すると、とても学習効率が良い様に見えますが、正しい・間違っているに関わらず、一旦は自分なりに考える機会があって、はじめて思考力がつくことを忘れてはいけません。

学問の歴史を振り返っても、一つの発見をするのに、膨大な時間が費やされてきたことは明らかです。

子ども達の勉強がそこまで学問的である必要はありませんが、やはり「試行錯誤をする」という経験は、十分に積んでおきたいのです。

 

学力低下の原因③ 自由主義的な風潮

共働きの家族も増えて、子どもは一人で過ごす時間が随分多くなりました。

子どもは帰宅するとスマホを見ながら、ゲームやYouTubeを楽しみ、家族の食事の時間もバラバラになる傾向が強くなりました。

「子どもがしたいことをすれば良い」この言葉は、素晴らしい言葉に聞こえますが、個人で好きなタイミングで食事をすると、会話がない状態が続きます。

家族で食事をとることで、

  • 大人社会の理不尽なこと・厳しいこと・楽しいこと
  • 社会情勢の話
  • 学校の人間関係に対する様々な意見 など

を聞くことができ、その中で学校の勉強との関連性を見出したり、様々な視点での考え方を学んだりすることができます。

例えば、今夜の我が家の夕飯時には、ウクライナ情勢が話題になっていました。

「なんでロシアは、物凄いお金をかけて戦車とか軍隊を準備しているの? そんなお金があったら、僕にお小遣いとして、ほんの一部でもくれたらいいのに。」

なんていう話も出て、兄弟で熱い話をしていました。

こうした積み重ねがなければ、「学校の勉強は教科書の学習」という独立したものになってしまい、幅が広がりにくくなってしまうのです。

 

まだまだ、学力低下の原因は、様々考えられますが、この3点を改善させるだけでも、随分と「子どもの考える力」は大きく成長します。

 

小・中学生の学力を大きく向上させるために家庭ですべきこと

学力低下の原因を紹介しましたので、改善策は簡単です。

  • ある程度、子どもに不自由・我慢をさせること(手伝いをするのは当然)
  • 学習効率を追求しない(ノウハウ・周りの評判に流されない)
  • 家族でできるだけ食事をとる

もう少し具体的に解説します。

子どもに不自由・我慢をさせ、手伝いもさせる

スポーツでも勉強でも同じことですが、ある程度レベルの高い状態を目指すのであれば、不自由・我慢をすることは必須です。

サッカーで格好いいドリブルをする選手を見れば、多くの人が憧れますが、

100%地味な努力を長く積み上げられてきている

ということです。

勉強も全く同じで、例えば、「図形の証明問題を解く」にしても、

  • 図形に関する基本的な定理を理解しておく必要がある。
  • 図形をじっくりと見たり、描いてみたり、補助線を追加したりする必要がある。

のです。こんな作業を行なっている時は、全く面白くもありません。

よっぽど、ゲームをしている方が楽しいことは確かですが、この面白くないところを乗り越えるまで我慢をしないと、次の高みにはたどりつけないということです。

こうして見ると、日々の生活でも、適度に我慢するということはとても大切なことだということに気付かされます。

また、家事を手伝うことで、子どもは様々な発見をするものです。

仕事と子育てを両立させるコツ【親が頑張らないこと】の記事では、我が家の息子たちはどの程度の家事をしているのかも紹介しています。

 

学習効率を追求しない(ノウハウ・評判に流されない)

子どもの学力を高めたいと熱心に思うほど、周りの人の塾の評判などが気になるようです。

また、グンっと成績がUPすると言われるノウハウが気になるという方もいらっしゃいました。

ところが、素晴らしいノウハウ・塾に出会えば、子どもの学力が高まるということもありません。

先に触れた様に、「分かりやすさ」を売りにする塾であれば、子どもの疑問にサッと答えようとされますが、一歩レベルの高い教育をするのであれば、簡単に教えるべきではありません

私が直接、数学や物理を教える場合には、子ども達に質問をされてもほぼ教えることがありませんから、

マナブくん
マナブくん

マジでこんな難しいのをもっと考えさせるのか?

しかも、定理の証明までせさるって…公式だけ覚えておいたらいいやん。

頭が爆発するわ。

なんて言われますが、「頭が爆発するまで考える」ということを経験した子ども達は、私の経験では、まずまず高い学力を維持することができています。

「頭が爆発するくらい悩まされた」というのは、素晴らしい経験であって、一見すると学習効率が悪いように見えますが、深く記憶に残るものです。

なぜ、頭が爆発する経験がいいのか? 子どもの記憶力を高める方法【基本的な考えは超シンプル】の記事をお読みいただけると分かるはずです。

 

家族でできるだけ食事をとる

これまでに、様々な小学生〜高校生と関わってきましたが、

小学生の頃から、深夜までガンガンに勉強をする進学塾に行く必要は一切ない

というのが私の結論です。

小学生の子どもが見ている世界は、とても限定的で、当然、彼らはその範疇で将来像を描き始めます。

  • YouTube・テレビの世界
  • 自分の親が関わっている仕事
  • 学校の先生・塾の先生
  • 買い物に出かけた時に出会う大人(店員・運転手など)

もちろん、この範囲内に自分が本当にしたいことがある場合もありますが、大抵は漠然としたものであるのが普通です。

この状態で、「将来を見据えて、将来のために勉強をしなさい」というのは、大人側の理屈であって、子どもにはフィットしません。

中高生にもなれば、必然的に忙しくなるのですから、社会を見る視野を広げる素地を作れる時期に親子の会話を存分にすることは、とても価値があることだと考えています。

少なくとも、食事の時間は、親子ができるだけ時間を揃えて、雑談をしたいものです。

そうすることで、

学校の勉強と社会との繋がりも見えやすくなり、結果として、自分で疑問をもったり、自分で学ぼうとする様になったりしていく

のです。

私が高校生と関わって感じることですが、家族が仲良く、親とたくさん雑談をしてきた子どもは、新しいことを学習しても、理解がスムーズです。

一方、先に紹介した金田くんの様な子どもの場合、新しいことを伝えるにも、非常に時間がかかり、なかなか理解が得られない印象を受けます。

きっと、子どもの記憶力を高める方法【基本的な考えは超シンプル】で紹介した、関連付けと深い関わりがあるのではないかと思います。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

そもそも学問って、暮らしの中の疑問から誕生していますから、暮らしそのものを楽しむことはとても大切じゃないかなぁと思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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