子どもの記憶力を高める方法【基本的な考えは超シンプル】

誰もが、「パッと見た瞬間に物事が覚えられる」という人に憧れます。

子ども達からすれば、そんなことが可能になれば、

  • 英単語を見ただけで暗記できる。
  • 様々な公式だって一瞬で暗記できる。
  • 歴史の年表、全体的な流れも瞬時に暗記できる。

ということで、瞬時に勉強も終わり、たっぷりと遊べて、成績も超優秀という夢の様な生活が実現するだろうということになります。

実際に、何かを見た瞬間に「覚えよう」と思ったことを、スマホカメラが写真を撮って記憶する様な形で、脳に保存できる人も一定数います。

が、通常、私たちは、その様な能力をもっていません。

どうすれば、覚えないといけないことが、しっかりと覚えられるようになるのか、解説します。

結 論

  • 記憶は関連付けをいかにするかで決まる。
  • 日本語をなぜ忘れる人はいないのか。
  • 残念ながら記憶力だけでは、役に立たない。

一時期、記憶術に関する本を15冊程度読んでみましたが、どれも基本的な考え方は同じでした。

そういった部分も含めながら、私が子どもと接しながら実践してきたことを紹介します。

 

目次

子どもの記憶力を高めるにはより多くのことを覚えること【関連付け】

中間・期末テスト時期になると、必死で勉強を始める子ども達を見かけます。

そして、彼らに「ついでに〇〇も覚えておくといいよ。」なんて言おうものなら、反撃を喰らいます。

はなちゃん
はなちゃん

あのさぁ、それテスト範囲じゃないって先生言ってたし。

ただでさえ、覚えることが多いのに、余計なものを増やさないでよね。

こういう光景は、あなたの家でも時々あるのではないでしょうか。

これは、非常にもったいないこことです。その理由を解説します。

 

記憶の仕組みが分かる簡単な具体例

記憶とは不思議なもので、

  • 授業で学習した重要な公式は思い出せない。
  • 授業が脱線してしまい、先生が話をしたどうでも良い話は鮮明に覚えている。

こういうことはよくある話ですが、なぜ、こんなことが起きるのでしょう。

例えば、英単語「player」のスペルと意味を覚えないといけないとします

ここで苦労する人は少ないでしょう。多くの子ども達がパッと覚えてしまいます。

その理由は、

  • ゲームをすれば、Playの文字が必ず出てくる。
  • コントローラーにもPlayのボタンがある。
  • Soccer player・tennis playerなどの言葉を聞くことがある。
  • 音楽プレイヤーなんて言葉もある。
  • trainer(トレイナー)・interviewer(インタビュアー)などの言葉があり、〇〇〇〇erとなる言葉がいろいろある。 など

こうした要素とパッと関連付けることができるために、すぐに覚えることができます。

では、Coordinateはどうでしょうか。

Coordinate=座標という意味ですが、そもそも、小・中学生が生活をしながら、座標を意識することもなければ、家族で話題になることもありませんから、関連付けがしにくくなります。

ところが、「今日のコーディネート」の語源は、Coordinate=座標ということを知れば、途端に忘れにくくなるものです。

つまり、私たちが、

何かを記憶するのであれば、関連付けると覚えやすい

ということで、これを如何に早くするかが記憶術の本には書かれています。

先に触れた、授業中のどうでもいい話は、大抵、生活場面を想像することができ、自分の経験と関連付けやすいために、鮮明に記憶することができるのです。

 

身体を使った関連付けをして、記憶をしっかりとする方法も

また、身体の動きと、覚えないといけないことを関連付けると一気に忘れにくくなります。

今は、あまり見かけることはありませんが、現在大人の方の多くは、ラジオ体操のセリフを音楽を聴けば、思い出すはずです。

これは、

  • 体の動きと体の動きを表す言葉が一致している。
  • 何度もラジオ体操をした経験がある。

ためです。では、これを学習の場面に使うとしたらどういう風になるか…。私が小学校の社会科の授業で実践した事例を紹介します。

社会科で、地図・地球儀を見るときの基本として、「経線・緯線」を教えないといけないのですが、経線が縦だった?横だった?という事に悩まされる子が案外多いのです。

本来、「経線のは、織物から来ているそうですが、織物の話をしても実感を伴わないのは、確実です。

そこで、

授業の度に何度か、立ち上がって腕を動かしながら「縦は経線・横は緯線」と簡単な体操の様なことを行なっていました。

最初は、こんなのバカバカしいと言っていましたが、こうすることで、クラスの子ども達は、学年末のテストでも誰一人として、経線・緯線を間違えませんでした。

彼らが、小学校を卒業してもう十年以上の月日が流れましたが、彼らにあった時に、腕を広げて「縦は?」と言うと、「経線」と即答していました。

身体との関連付けも非常に記憶と深い関わりがあることを、こうした実践を通して感じることができました。

ですから、仕事と子育てを両立させるコツ【親が頑張らないこと】でも触れたように、子どもが生活を存分に感じながら日々暮らすことはとても大切です。

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間違っても、学校や塾の勉強をしていい成績を残しさえすれば良いという雰囲気は作りたくないと考えています。

ここで、もう一つ、日本語を忘れる子どもはいないという事を考えてみましょう。

身体を使うことは簡単で「手書き」をすることもメリットはかなり得られます。詳しくは、賢い子どもに育てたいなら身体を使え!手書きが超重要な理由で紹介しています。

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なぜ、日本語を忘れる子どもはいないのか?

記憶と関連付けの関係を見れば、日本語を忘れることは、「ほぼ無い」と言えます。

例えば、「ヤバイ」という言葉が流行っていますが、

  • いろいろな状況で自分が「ヤバイ」という言葉を使っている。
  • 友達との会話、テレビやYouTubeなどで「ヤバイ」を聞く機会が多い。

つまり、私達の暮らしと自然と「ヤバイ」が関連付けされているために、「ヤバイ」の意味、使い方を覚えようとしなくても、しっかりと根付く訳です。

 

本当は関連付けの記憶から新しいものを見い出すことが大切

記憶の達人として良く知られるのが、チンパンジーです。

1〜9までの数字をランダムに配置しても、チンパンジーは一瞬でその配置を記憶して、再現させることも可能です。

これは、チンパンジーは、その場の様子を写真撮影したかの様に、脳に記憶することができるためになせる技です。

なぜ、チンパンジーはその様なことができるのか?

それは、縄張りを意識しながら生活をし、自分の管轄内に違うモノが入って来たら対策をする必要があったり、美味しい木の実の場所を記憶しておかないといけないためです。

この動画を見れば、素晴らしい記憶力をもっていることが分かります。

一瞬だけ表示された数字の位置を覚え、小さい数字からタップしていくこともチンパンジーはできてしまいます。

人間よりも遥かに高い記憶力があるという風に見えるかもしれませんが、暮らしの豊かさは、圧倒的に人間の方が高いと言っていいでしょう。

ちなみに私の家には、ニホンミツバチがいますが、彼らも記憶の達人です。

巣箱から遠く離れたところに出かけて行っても、きちんと夕方には巣箱に帰ってきます。

彼らがどの様に、自分の巣箱の位置を暗記しているかは、不明ですが、多分、チンパンジーと同じ様な記憶の仕方をしていると思います。

その証拠は、

巣箱の向きを変えた途端、巣箱に戻ることに苦戦してしまう。

様子から推測できます。

つまり、丸暗記では状況が変わった時に、柔軟に対応することができないということです。

 

こうして見ると、確かに記憶力は、子ども達の勉学でも必要ですが、ただ、いろんなものを記憶として蓄積できれば良いとは限りません

ですから、学校や塾の塾の授業を拝見した時に、

校長先生
先生

いいか!ここはテストに出すから覚えておく様に。

なんて言われると、子ども達の人間らしさがどんどん失われてしまうのではないか?なんていう気持ちになってしまいます。

 

まとめ【関連付けは想像を広げるための贈り物】

記憶力を高めたいと願うものですが、私たちは、

何かと関連付けをした方が圧倒的に覚えられる

ということが分かりました。

はなちゃんが言う様に、たくさん覚えないといけないことがある場合、わざわざ関連付けをするなんて作業は、面倒極まりないことですが、

新しい知識は何かに活用すべきだ

ということを、私たちの脳は、教えてくれている様に思うのです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ただ覚えるのではなくて、何でそうなるのだろう?と考えることも、関連付けの一種だと思います。京都の食の文化は薄味で知られますが、これも「なぜかなぁ」と考えることで、「京都=薄味」という記憶がより深くなるのです。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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