小学校高学年〜中学生くらいになると、学習しないといけないことが増えて、どうしたらいいのか分からないという質問を受けることがあります。
例えば、
- どの様に勉強をしたらいいのか分からない。
- 学校の宿題・中間や期末テスト対策・塾の宿題を合わせると膨大な量になってしまって手がつけられない。
- 小学校では宿題が出されていたけれども、中学校では宿題が少なくなって、何をしたらいいのか分からない。
こんな感じです。
これは、誰もが何度かは悩む問題ですから、恥ずかしいなんて思う必要はありません。
ただ、これまで担任として小中学校の子ども達に関わってきた結果、この様な悩みを抱え、なかなか脱出できない子どもには次の様な共通の問題点があると感じています。
- 友達の勉強量と自分の勉強量を比較している(下を見ている)。
- 暗記さえすれば、なんとか好成績を残せたという経験をもっている。
- コツコツと継続すること・計画を立てる意識がない(ゲームに流されやすい)。
- 教え方が上手い先生に出会えると成績が伸びると信じている。
これらの問題点を少しずつでも改善させることで、自学自習の習慣も定着してきます。
具体的にどの様にすればいいのか、問題点を詳しく解説し、私が子ども達に行った実践を紹介します。
勉強の仕方が分からなくなってしまう原因
「勉強の仕方が分からなくなってしまう」原因は、大きく分けて3つあります。
- 面倒な勉強なんてそもそもやる気が起きない。意味がない。
- 小学校中学年くらいまでは、暗記さえしておけば成績優秀だった。
- 勉強は周りの人が分かりやすく教えてくれるもの。
実際に、これら3点のうち、どれか一つでも該当すれば、自学自習はなかなか難しいでしょう。
少し厳しい表現になってしまいましたが、仮に大人のあなたが、興味もなく・仕事にも活かす場面がないのに、「司法書士の資格を取得しなさい」と言われたらどう感じるかを考えてみてください。
- 興味もないし、仕事にも活かせないなんて意味がない。
- 評判の良いスクールに入ってみたものの、全然楽しくない。
ということを感じるはずです。
「勉強したいけれども、勉強の仕方が分からない」というレベル以前のところでつまずいてしまうのです。
面倒な勉強なんてそもそもやる気が起きない。意味がない。
「勉強なんて面倒だ」という気持ちは、痛いほど分かります。
ですから、「勉強がやりたくて仕方がない」という程、やる気に満ち溢れる子どもは、極めて稀であることも十分承知しています。
ただ、
という考え方は、様々な方法でできるだけ払拭しておきたいと思います。
- 楽しいテレビゲームができるのは、心理・プログラム言語などを勉強をした人のおかげ。
- 自分が日々、行っている行動は全て意味があるのか振り返る。
- 学校の勉強と生活をこまめに関連付ける。
こうしたことを1度や2度行ったくらいで、大きく変化する子どもはいません。
何度もこの様な話を事あるごとに、伝える必要があります。
例えば、子どもが「分数の足し算・引き算なんて勉強しても意味がない」というのは、「大人になって、就職したとしても分数の足し算なんかしない」という限定的な見方をしているために出てくる言葉です。
分母が異なる分数を足し算・引き算する時の考え方は、大人の社会でも存分に使われています。
どんな所に使われているのか、私たち大人も考えてみることが大切です。
小学校中学年くらいまでは、暗記さえしておけば成績優秀だった。
暗記が得意で成績優秀だったというのは、素晴らしいことじゃないの?
なぜ、そんな子が「勉強のやる気」を喪失させるの?
暗記が得意というのは、誰もが羨ましいと思う能力かもしれませんが、中高生にもなると、
傾向がかなり強いです。
その理由は、一言で言えば「なんで?」という部分までも理解しているので、例え公式を忘れてもすぐに創り出すことができるためです。
反対に小中学校の時に、とにかく丸暗記をすればなんとか好成績を出せたという子どもは、「なんで?」という部分を考えるのも時間の無駄と言うケースが多いです。
学習内容のレベルも高くなり、量も増えてくると、これまでの暗記作戦では、対応ができなくなり、どうしていいのか分からなくなってしまうのです。
そして、
マナブ!最近、勉強をサボっているんじゃないの?
中学1年生までは、テストの結果も良かったのに…。
最近は、全然ダメじゃないの。
全然サボってないよ。
先生がテスト範囲だと言っていたワークを何度も解いて覚えたのに、ワークから問題が全然出ないんだ。先生が悪いんだ!
こんなパターンにハマってしまうのです。
マナブくんは頑張ったにも関わらず、結果が出ないので、やる気も落ちてしまうという問題を抱えることになってしまいます。
勉強は周りの人が分かりやすく教えてくれるもの。
私がこれまでに出会った子ども達の範囲で言えば、
ということです。
もちろん、子どもにとっても、親にとっても時間とお金をかけて塾に通っているのだから、分かりやすく、面白く教えて欲しいという気持ちは十分に分かります。
ただ、神授業と言われる様な授業を受けたら、難しいこともスーッと理解できる様になり、問題がガンガン解けるようになるなんてことはありません。
〇〇特別スクールの授業は全然ダメ。
何を言っているか分からないし、教え方がダメなんだよなぁ。
そうそう、△△個別学院も教え方が下手やわ。
確かに、教え方が上手い・下手ということも重要ですが、一番重要なのは、自分で考え、手を動かさない限り学習は身に付かないということを理解しておくことです。
素晴らしい授業は、YouTubeで検索すればいくらでも見ることができますが、YouTubeやNHK教育番組をたくさん見れば、賢くなるのか?ということを考える必要があります。
【よくある実例】かなり頑張ったけれども全く身につかない勉強の仕方
頑張って、勉強しているにも関わらず、なかなか力が付かない具体的な事例を挙げてみましょう。
社会(歴史)の問題に次の様なものがあります。
そんなの良く分からないなぁ。
ワークブックの解説のところでも見ようか。
ということで、ワークブックの解説部分を見ると…
こう書かれたところを見つけて、問題の答えとして(富国強兵)と書き込む。
確かに、これで「富国強兵」という言葉について知ることができましたが、この様な方法で、学校のプリントやワークブックを埋めても、テストで結果を出すことは難しいでしょう。
その理由は、
からです。
ですから、この様な問題の答えをなんとか埋めようとして、時間をかけて語句だけ調べても深みのない学習になってしまうということが起きるのです。
先に例として挙げた問題の意図は、富国強兵という言葉に触れることをきっかけに、なぜその様な政策を行ったのかをもう一度整理する機会にして欲しいということも含まれていると考える必要があるのです。
もちろん、「なぜ」を考えたり、確認するのは一手間ですが、「なぜ」を考えない学習は、どれだけ学習しても、楽しさを感じることができません。
自分で学び、深く理解できるようにするには、これまでの部分で触れた問題点を一つずつ払拭して行く必要があります。
これまで私が関わった子ども達にはどの様にアプローチしたのか解説します。
小中学校の学びを無理なく、深く定着させる基本【魔法は存在しない】
テレビCMなどを見ていると、「簡単にどんどん理解できるようになる」魔法の教材があるかの様に感じることがあります。
ところが、子どもに限らず、大人でも新しいことに取り組む時には抵抗を感じるのが普通です。
まずは、
がとても大切です。つまり、人が新しいことを理解するには、
ということです。これが嫌だけど、いろんなことをサッと理解できる様になりたいというのは、サッカーの練習はしたくないけれど、サッカー選手になりたいと言っているのと同じです。
では、この様な点を踏まえて、先に紹介した3つをどの様に克服していったのか、具体例を挙げて解説します。
勉強をしても意味がないかどうかは、解釈次第
先に触れた、「富国強兵なんて言葉を覚えても意味がない」と言えば確かにその通りです。
けれども、明治政府がこの様なスローガンを掲げないといけなかったのはどうしてか?ということを考えると、現代社会のことも見えてきます。
例えば、富国強兵の意図を理解していると、2022年になってから、北朝鮮はミサイルを開発したとか、発射させたなどの報道がありましたが、その理由も推測することができます。
もう少し面白く解釈するのであれば、
コラッ!お前らどこ見てるんだ。
そのせいで、しょうもないところでつまづいたやないか!
今時、なかなかこういう人はいませんが、門苦田さんは、なぜこんなことを言うのかも考えるヒントになりそうです。
こうして、視野をどんどん広げていくと、意味のない勉強って存在しないと思うのです。
暗記することは本当に楽しいのか?
パッと見ていろいろな事が、瞬時に覚えられる人もいますが、そういう人を除いて、とにかく深い意味を理解することなく暗記に力を入れて楽しいでしょうか。
例えば、先に触れた、
こうした言葉と言葉の意味を次々と覚えていくことに楽しさを感じる人は少ないでしょう。
ところが、ここにちょっとしたストーリーや「なぜそうなったか」という要素が加わって初めて少しずつ面白くなってくるものです。
ですから、最初は面倒で時間が無駄と子どもが思っても、
ようにしています。
これから先もずっとひたすら暗記することに時間を使うつもり?
こういうことを子ども達に投げかけています。
なぜか、「教科書って基本的でレベルが低いもの」と思われがちですが、「なぜ」の部分をとても大切にして作られています。実際に、小学校算数の教科書を作成する研究にも関わってきた経験も踏まえて、成績アップを狙うなら教科書を使え!【教科書レベルは最強】で解説しています。
いつまであなたは教えてもらう人で過ごしますか?
教え方が上手い・下手などと評価する子どもには、
という質問をします。
小学校高学年〜中学生くらいは、お金が大好きですから、この様な質問は大好きですから。
その上で、
- 分かりやすく教えて貰うというサービスを受け続ける限り出費がかさむ
- 反対に教えられる人になると仕事にすることができる
ということを確認します。
つまり、「教えて貰う」が当たり前になると、これから先、何か新しいことを習得するにしても、費用を支払い続けないといけない可能性が高まります。
ところが、ある程度、自分で学ぶことができれば、出費を抑えることができますから、一手間かかっても、教科書などを使って学べる力をつけておくということは、意味がある学習になるということです。
もちろん、自分で学ぶことの価値は、この程度ではありませんが、お金に興味がある年代の子ども達には、こうした話を適度に触れることは、大事なことだと思っています。
最後に…面倒で苦しいことを楽しめる人になろう
社会が豊かになり、子ども達の周りには、お手軽に楽しめるものがたくさん溢れています。
それらを使って「楽しむ」こともいいですが、
ということも考えてみたいのです。
もちろん、子ども達は、スマホゲームなどをしている時も楽しいとは思いますが、ゲームが終わった直後にしみじみと「最高に幸せな時間だった」と感じているでしょうか。
パッと子どもが喜ぶものを与えるのが簡単な時代になったからこそ、子どもが悩み・もがく姿がより貴重になった様な気がします。
ですから、私たち大人は、子どもがより深い幸せを感じられるように、もがく姿を見守る勇気をもつべきだと思います。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こんな偉そうなことを言っていますが、私も睡眠学習・速読を追究した時期がありますが、私には、これらの勉強法は、合わなかったようです。
だからと言って、無駄な時間だったとは思っていません。
魔法の様な勉強法はないということを、自分で確かめることができたのですから。
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