日本では、小学生が学習塾に通うことも随分当たり前になってきました。
そのきっかけは様々考えられますが、概ね次の通りです。
- 友達が塾に通い出したし、自分も行きたいと子どもから言い出した。
- 親同士の会話の中で、塾の話題が多くなり、「塾に通わせないと!」と思い始めた。
- 子どもの将来のためを思って、もともと塾に通わせるつもりをしていた。
とは言っても、今の時代、小学生の子に対して、物凄く強引に塾に通わせるような親はあまりいません。
たかし、お前は塾に通え!
父ちゃんの言うことが聞けないのなら、どうなるか分かるやろ?
こんなことは、滅多にありません。
子ども本人といろいろ話し合いながら塾に通うかどうかを決めるのが通常です。
にも関わらず、
- マジで塾に行くのが面倒くさいねん。
- 宿題の量がめちゃくちゃ多いし、嫌になるわ。
- 〇〇塾は、金儲けの事しか考えていないで。だからめっちゃ優秀な子しか褒めへんで。
小学校高学年を担任していた頃は、ほぼ毎日この様な話を聞いてきました。
もちろん、こうした話をしてくれる子ども達は、社会に対して反抗している訳でもないとてもいい子ばかりでした。
わざわざ、担任のところまで来て、こんな話をするくらいですから。
では、なぜ、自分も同意して通い出した塾が嫌になってしまったのでしょう。
結 論
小学生がここまで、明確に言葉にすることはありませんが、15年以上、公立小学校の担任として子ども達と付き合ってきた中で、これが塾を嫌いになる一つの要因だと断言できます。
どういうことか詳しく解説します。
また、あわせて、この様な事態に陥らないためにできる対策をいくつか紹介します。
ブランド戦略に成功した有名塾の実態【嫌がる子が意外と多い】
地域の有名塾に通う子どもの学力のサポート、メンタル的なケアをたまたま行うことになったので、そうしたご家族から伺った話を整理しておきます。
塾のブランド力を高めるために実績重視
うちの塾からは、東京大学・京都大学への合格者が毎年います。
中高でも、有名私立中学・難関高校への合格者も毎年、ゴロゴロいます。
最初は、大変だなぁと思った子も最後は伸びましたね。
これが、最高の宣伝になるので、すごいと言われる実績が言える様に子どもを育てたいわけです。
そのために、小学5年生にもなれば、中学受験でいい結果が残せるように相当量の課題が出されます。
私が立場上知っている有名塾は5社ですが、5社ともにほぼ同じ戦略です。
これに対して、子ども達は、
- 練習問題をするのはいいけれど、習っていない所も解かされる。
- 塾の先生に質問をしたら、そんなことは自分で解決しなさいと叱られた。
- 説明に時間がかかることは、「覚えておこう」とだけ言われた。
この様な話をしていました。
確かに、5年生・6年生になってから、悠長に分数÷分数を計算する時に、なぜ逆数(分数をひっくりかえすのか?)を使うのか?なんてやっている暇はないかもしれません。
ただ、これは塾側の言い分であって、真面目に勉強したい子どもは「なぜ」が知りたいのです。
膨大な量の課題を自社ブランドの冊子から出す
有名塾に通う保護者の方が、塾で購入している冊子の解説だけでは不十分だということで…
今、塾で使っている問題集なんですが、解説のところが少し不十分に感じることもあります。書店にある様な参考書・問題集でオススメのものがあれば、教えていただきたいんですが。
お母さん、うちで出している冊子以外は買わないでください。
あれもこれもやるより、1点集中でいきましょう。
他のものは一切買う必要はありません。
価格は一般的な書店で売られているものの3〜5倍程度。
教師の目線で、私の知りうる5社の冊子を見ましたが、悪くはありませんが、特別素晴らしい!!とも言えるものではありませんでした。
大人社会をよく見ている子どもは、
また、高い冊子を買わせて儲けようとしているんじゃないの?
こんな風に話をしていました。
塾を経営する上で、この様な方法をとることは悪くはありませんが、はなちゃんの様に感じてしまった子どもは、塾がどんなに素晴らしいことを言っても伝わらないということも忘れてはいけません。
大学生であれば有名塾の講師になれる!
昨日、大学受験を指導した高校3年生の生徒からLINEでこの様な報告もらいました。
無事に第一志望校に合格したので、3月ですが、早々とアルバイト先を決めたようです。
彼には受験するにあたって、勉強以外のことも存分に伝え、友達にも率先して勉強を教えるようにしつこく声をかけてきました。
それでも、
ということを改めて伝えました。
私が学級担任として、朝から夕方まで毎日授業をし続け、若手教員の育成、教科書作成のための研究に関わって感じることは、
ということです。
- 子どもがどの様な思考をして問題を解こうとしているのか?
- 学校の指導はどこに重点を置かれているのか?
本来、こうしたことまで踏まえながら、授業の流れを組み立てるのですが、そこまでできる様になるには、最低でも、100軒の家庭の様子を見ないと難しいものです。
当然、こんなレベルの思考を塾のアルバイト大学生に求めることはできないということを理解しておくことは大切です。
業界全国No.1の成長企業★高時給2640円~学校と両立も◎
理系・文系どちらでも構いません。塾講師のお仕事始めてみませんか?未経験の方でもスタートできます!経験のある方は、今までの経験を活かすチャンスです☆(某有名塾の塾講師アルバイト募集欄より)
こちらは、ある有名塾のアルバイト募集欄に書かれていた言葉です。
もちろん、ブランド力もあるので学費(月謝)もかなり高額です。
大学生の講師の先生が悪いという訳ではありませんが、子どもとの相性が今ひとつだなぁ…と感じることがあっても当然と理解しておくべきです。
また、その様な場合は、すぐに塾を変えるなどの策をとった方がいいということです。
子どもを育てたいと考えている塾か、ビジネスとして捉えているか?
一言で塾と言っても、形態は様々です。
私の経験から言えば、ブランド力の高い塾は親子共に相当な覚悟を決めて入塾する必要があります。
以下に「子どもを育てたいと考えている塾か」「ビジネスとして捉えている塾か」を見極める方法を紹介します。
参考にしていただけたら幸いです。
- 塾で使用する教材の量や価格は妥当なものか?
- 塾の実績をやたらとアピールしていないか?
- 夏期講習・冬期講習の申し込み締め切り時期は、学校の個人懇談会後か?(個人懇談会前に締め切る塾はかなりビジネス要素が強い)
- 学力別に席順が決められているか?(学力順に席が決まっている塾はビジネス要素が強い)
感じ方は、個々それぞれですが、これらのことは、小学校高学年にもなれば、子どもでも十分感じることができる子が増えてきます。
中学・高校生になればなおさらのことです。
子ども自身が、塾にこうした違和感・不満を感じた時には、なかなか指導が入りにくい状況になっているために、
- 別の塾を探す
- 自分で学習できる別の方法を探す
ことも検討するべきです。
ちなみに、ビジネス色の濃い塾は、夏期講習・冬期講習の申し込み締め切り時期が絶妙です。
くわしくは、以下の記事で紹介しています。
本当は、塾と学校って勉強の素晴らしさや面白さを教えて、自分で学習できる様にお手伝いすることが、仕事じゃないかなぁって思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
例え、小学生であっても子どもは大人社会をよく見て、いろんな矛盾にも気付く力があるって、特に教育に関わる人は深く理解しておく必要があると思います。
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