この様な質問は、後を断ちません。
年々、子どもに「根気・忍耐力・継続力」が無くなってきていると感じる方が増えてきているのではないでしょうか。
その理由について、具体的な事例を挙げて、【具体例】根気がない子どもに育つ環境とシンプルな改善策の記事で解説をしていますので、お読みください。
ここでは、もう少し科学的な要素や歴史的なことも踏まえて、「根気がない子ども」をどの様にして「根気強い子ども」に育てるかを紹介します。
科学的な話になりますが、感覚的にも十分分かるように解説します。
そもそも「根気強さ」は必要なものなのか?
根気とか努力とかが大事っていうのは時代遅れじゃないの?
そんなもの無くても十分、生きられるはずや。
マナブくんの様に思う人も増えてきた印象がありますが、
です。その理由を解説します。
例えば「この夏までに最低でも5kgは体重を落とそう!」と目標を設定したとします。
どの様な方法で、体重を落とすかは人それぞれですが、
- 運動量を増やす
- 食事を管理する
などをことをする必要があります。
「絶対頑張る!」と決意して、1日だけ地獄の様な筋トレをしたところで目標は達成できません。目標を達成するまで続ける「根気強さ」は必要です。
つまり、
- 目標を達成させるために必要な行動をする(やる気)。
- 目標に達成するまで持続させる(根気)。
この二つが大切だということです。
努力を一切惜しまないイチロー選手も次の様に言われています。
小さいことを重ねることがとんでもないところに行くただ一つの道だ
では、どうすれば「根気強さ」が手に入れられるのでしょう。
根気強くなるには、穏やかであることが最重要【実験結果から】
根気に関する研究で有名なのは、慶應義塾大学の「根気」を生み出す脳内メカニズムの発見です。
何かを根気強くやり続けるには、気持ちの盛り上がりも大切な様に感じられますが、マウスを使った実験で、
ということが分かりました。
マウスを使った実験から見える「根気」のメカニズム
マウスを使った「根気強さ」の実験は次の様に行われました。
- レバーを押すと餌がもらえることを学習したマウスを使う。
- 制限時間内にレバーを押す回数を指定する。
- 制限時間内に指定回数レバーを押すことができると成功(餌がもらえる)。
- 制限時間内に指定回数レバーを押すことができない(根気がない)場合は失敗と評価。
当然、レバーを押す回数を5回・10回・20回…と増やしていくと、成功率は下がります。
根気強く成功までたどりつくことができた時のマウスの脳と根気が続かず、挫折しまった時のマウスの脳の様子を比較した結果…
ということが分かりました。
じゃあ、腹側海馬って何かよく分からないけれど、腹側海馬の活動を抑制することができたら、根気強くなれるってことか?
そこで、意図的にマウスの腹側海馬の活動抑制をしたところ
活動抑制前成功率 | 活動抑制後成功率 | |
10回レバー操作 | 73% | 90% |
20回レバー操作 | 50% | 83% |
成功率が大きく上昇するという結果が得られました。
やはり、
ということです。
どうしたら、腹側海馬の活動が抑制できるの?
根気強くなるために「腹側海馬の活動を抑制する」ってどういうこと?
「腹側海馬の活動を抑制する」と言っても、具体的にどうすればいいのか分かりません。
そこで、腹側海馬の基本的な性質を知る必要があります。
- 不安や興奮している時は、腹側海馬の活動が活発になる。
- 安心・リラックスしている時は、腹側海馬の活動が抑制される。
つまり、根気強く何かを継続するのであれば、安心・リラックスした状態で腹側海馬の活動を抑制し続ける必要があるということです。
別の言い方をするのであれば、不安や興奮状態になる要素を感じないようにすれば、根気強くなれるということです。
不安や興奮を抑え、腹側海馬の活動を抑制するには、
ということも明らかになっています。
セロトニンって聞いたことがあるけれど、どうしたらいっぱい分泌されるの?
根気強くなるために必要なセロトニンを多く分泌させる方法
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも言われます。
その理由は、セロトニンが分泌されると心穏やかになり、幸せを感じることができるため。
そんなセロトニン(幸せホルモン)が多く分泌する様にする方法を理解するには、まず、脳内の3つのホルモンについて簡単に理解しておく必要があります。
根気強さを手に入れるために! 3つのホルモンを知る
ノルアドレナリンは不安・危険・恐怖から守る
誰でも、状況によっては、「不安や危険・恐怖」を感じることがあります。
この時に、ノルアドレナリンが分泌され、体は戦いモードに切り替わります。
- 血圧・心拍数が上昇
- 多くの血液が筋肉に流れる
- 判断力・集中力が高まる
「火事場のくそ力」という言葉がある通り、瞬間的にピンチをなんとか克服しようとする能力が高まります。
ただし、長時間、不安や危険・恐怖を感じることになると、ノルアドレナリンの分泌は減少してしまい、注意力が欠けたり、無気力の傾向が強くなります。
快楽を感じるとドーパミンが分泌される
楽しいこと・ワクワクすることがあると、ドーパミンが分泌されます。
ドーパミンが分泌されると、集中力が高まったり、プラス思考になる傾向が強くなります。
だからと言って、ドーパミンがたくさん分泌されると良いというわけでもありません。
例えば、子ども達が大好きな「ゲーム」をしている時には、ドーパミンが多く分泌されていますが、次第に、快楽を感じる能力が低下していくことが分かっています。
それでも快楽を味わいたいという思いがあるために、より刺激的なゲームを求めたり、プレイ時間がどんどん伸びて行くということが起きます。
ノルアドレナリン・ドーパミンの暴走をコントロールするのがセロトニン
ノルアドレナリン・ドーパミンは、私たちが生きていく上でとても重要な役割を果たしていますが、欠点もありました。
これらが暴走をしてしまうと、悪循環にハマってしまうために、コントロールする役割を果たすのがセロトニンの役割の一つです。
ノルアドレナリン・ドーパミンの過剰な分泌を抑えるために、
- 心が穏やかになる
- 持続性が高まる
ことが分かっています。この時に、腹側海馬の活動も抑制されます。
次の様なイメージで理解すると分かりやすいです。
これで、セロトニンが分泌されると、「根気強くなる」といわれる理由も感覚的にとらえられたと思います。
【具体例】どうすればセロトニンが分泌されるの?
セロトニンの分泌を増やすには、
- ウォーキングやジョギングなどの軽い有酸素運動をする。
- ストレッチを行う。
- 日光に当たる。
- ホッする時間を作る。
この様なことを行うのが効果的です。
現代社会では、何でもないことに見えるこの4つもなかなか難しくなってきたために、「根気のなさ」が目立ってきたのではないでしょうか。
ただ、人類の歴史を振り返ってみると、太陽の下で身体を動かし、狩猟や農耕作業を行なってきた期間が長いために、上の4つができた時に、安心感・幸福が感じられるような仕組みをもっていて当然だと考えることもできます。
つまり、
のです。
【具体例】根気がない子どもに育つ環境とシンプルな改善策の記事も参考にしてください。
せめて週に1〜2回はセロトニンが出る暮らし方を!【現代は深刻】
ほんの一例ですが、先日、ある保護者がこんな話をしていました。
子ども達の暮らしは人によって様々ですが、セロトニンが分泌されるような活動をする時間は極めて少なく、スマホ・ゲームによって、ドーパミンが分泌される時間がかなり多くなりました。
もちろん、しっかりと勉強をすることは大切ですが、ハードなスケジュールのあまり、太陽に当たる・身体を動かす時間がとれない生活を子どもに強いるのは、非常に危険です。
どうしても、日々、そういった時間が作れないのであれば、週に1〜2度は、太陽に当たり・身体を動かし、ホッとする時間を意図的に設けるべきです。
私がこれまで直接関わってきた子ども達には、スポーツすることも山や海に遊びに行くことも強く勧めてきましたが、学力は全員上がりました。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
日本の文化・歴史をより深く理解するには、季節を存分に楽しむことも大切だと思います。
この後、私は息子と一緒に、美味しいセリを採りに出かけてきます。
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