【人はなぜ怒るのか】怒りの感情が湧く理由と怒りを鎮める方法

日々生活をしていると、腹が立つこともあるものです。時には、その怒りの感情に流されて、相手を傷付けるようなことを言ってしまった…なんてことも、誰もが一度は経験したことがあるはずです。また、そんな時に深く反省しても、「似た様な失敗をしてまった」ということもあるものです。

なぜ、こんなにも「怒りの感情」と付き合うのは難しいのでしょうか。

ここでは、

  • 怒りの感情が芽生える基本的な仕組み
  • 怒りの感情を上手にコントロールする具体策

を紹介します。

特に子育てでは、どんな怒り方・叱り方をしても子どもは、「とりあえず分かったふり」をしてくれるので、「言いたいことを言えば伝わる」と勘違いしてしまうケースも見られます。

今回、紹介することを踏まえて、怒りの感情と上手に付き合い、子どもに言いたいことがある時でも冷静さを保ち、効果的に親のメッセージを届けて欲しいと思います。

 

目次

【育児中】感情的になってはいけないと思いながらも…

こどもチャレンジ(https://www2.shimajiro.co.jp/contents/column/adler/より引用)

「感情的に怒ることは良くない」と多くの方が思っているにも関わらず、ついつい感情的に怒ってしまうことは、誰にでもある様です。

もちろん、私も教師としても、父親としても感情的になり、反省したことは何度もあります。

このコントロールしにくい感情は、どうして生まれるのでしょうか。その理由を知ることで、私はかなり、穏やかに過ごすことができる様になりました。

なお、子どもに対してどんな叱り方が最も良いのか…過去に行われた実験と元教師としての私の経験をもとに、最も効果的な叱り方については、子どもの叱り方・小中学生に最も有効な方法とは?【調査から明確】の記事で解説しています。

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そもそも怒り・腹が立つ感情はどうして生まれるのか?

怒りや腹が立つなどといった感情が生まれるのは、悪いことではありません。

感情=生命を守るために必要なもの

だからです。どういうことか、まずは分かりやすい感情を元に解説します。

 

高いところが「怖い」などの感情は絶対に必要なもの

誰にでも「怖い」という感情があります。

例えば、上の写真の様に高い所で作業をしないといけない場合、多くの人が恐怖を感じます。

その理由は、これまでに転落したことが無いにも関わらず、本能的に次の様なことをイメージするために、恐怖を感じるのです。

  • 足が滑ってしまった時の様子
  • ハシゴが倒れてしまった時の様子 など

そして、恐怖心があるからこそ、一つ一つの行動が慎重になり、命を守ることができるのです。

もし、私たちに「恐怖心」というものが無ければ、どんな所でもイケイケムードになってしまいます。それでは、命はいくつあっても足りません。

こう考えると、どうしても芽生える感情は、命を守るために必要だということが分かります。

 

ムカつく!腹が立つ!という感情が必要な理由

例えば、恋人と一緒の時間を過ごしている時に、相手は話をロクに聞かず、スマホばかり眺めて「ふん・ふん」といういい加減な返事ばかり

だからと言って、直接、生命の危険にさらされる訳ではありませんが…

そんな相手と時間を過ごしても無駄(生命には限りがある)

ために、こんなことが繰り返されない用にするために、「腹が立つ」のです。

ですから、「ムカつく・腹が立つ」という感情が湧くことは悪ではなく、最も自然なことです。

そして、「こんな嫌なことは、絶対に避けたい」という気持ちから、放っておくとメラメラと火事の用に怒りの感情が広がっていくのです。

振り上げた拳はなかなか下ろせない

というのは、こうした流れがあるために起きるのです。

では、どうすれば、この感情をコントロールすることができるのでしょう。

 

怒りをマネージメントする方法【実践すると必ず冷静になれる】

「ムカつく・腹が立つ」という様な怒りといった感情とどう付き合えばいいのでしょうか。

簡単に言えば、

  • 「〇〇するべきだ」と決めつけない
  • 「普通は〇〇なのが当然だ」と思い込まない

こう考えることです。とは言っても、全ての事柄に対してこの様に思うのは困難です。それでも、できることはありますから、具体的に私自身、また直接関わっている子ども達に実践して貰っている3つを紹介します。

 

自分自身の環境(時間・体調)を整える

現代人は、とにかく忙しいです。子どもから大人まで、とにかくスケジュールがパンパンで、その貴重な隙間時間にも、メールやラインがバンバン送られてくるという暮らしをしています。

当たり前ですが、時間が無ければ、イライラしやすくなります。

「3時までに〇〇に行かなくてはならない」という時に、渋滞してしまうと誰もがイライラするものです。

  • 何で黄色信号で止まるんだ!流れに乗ってスーッと行けや!
  • 今、十分右折できる余裕があったやろ!

見知らぬ人に対しても怒りの感情がどんどん湧いてきます。

ところが、ここで、1時間余裕があれば、どうでしょうか。

怒りの感情はかなり抑えられるはずです。もちろん、黄色信号で止まった車・右折のタイミングを見失った車に対しても、腹が立つことがなくなります。

ということは、怒りっぽいと感じる人は、スケジュールを見直す必要があります。

体調についても同様ですから、日頃からしっかりと睡眠をとるなど、体調管理を意識することも穏やかに過ごすためには重要なことです。

 

〇〇すべき!という考え方を捨てる練習をする

citizen意識調査(https://www.citizen.co.jp/research/time/20180531/02.htmlより引用)

上のグラフを見ると、コンビニのレジで待たされた場合、多くの人が直ぐにイライラしていることが分かります。同じ待ち時間でもスーパーでは、イライラする人が少ないことが分かります。

その理由は、

コンビニは直ぐに買い物をして精算できる場所だ!

と思い込んでいるために、スーパーに比べて、許容範囲が狭くなってしまうのです。

つまり、怒りの感情を小さくするには、「普通は〇〇だ」という範囲を広げる練習をすることがとても重要になります。

例えば、子どもがスマホ・ゲームばかりしている様子を見るとイライラするという方も多いでしょうが、ここで「子どもは外で元気に遊ぶもの」という気持ちを横に置いてみます。

そうして、なぜスマホ・ゲームばかり触っているのかを質問してみると…

  • 外に遊びに行っても誰も遊び相手がいない。
  • 遊びに行ったところで、20分もしたら帰宅して塾に行かないとダメだから。
  • 学校でゲームの話題が多いから。など…

の理由があることが分かってきます。だからと言って、怒りの感情が消えることはありませんが、火事のようにメラメラと怒りの感情が広がる可能性は、かなり抑えられます。

なお、子どもがゲームをする本当の理由については、不登校の子どもがゲームに逃げる本当の理由と改善策で紹介の記事で詳しく解説しています。

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その他、怒りの感情から遠ざかる小技

他にもちょっとした小技で、怒りがメラメラと燃え上がるのを避けることができます。

小技①  6秒ルールを使う

怒りの感情が湧いたら直ぐに反応せずに「6秒待つ」ことで、かなり冷静になれます。

怒りを抑える6秒ルールの根拠は、極めて簡単に言えば、

怒りの感情は、大脳辺縁系で生じ、それを前頭葉で抑えるため

この処理に6秒程度は必要だということです。ただし、これを実践したら怒りの感情が無くなる訳ではありません。何度も言いますが、怒りがメラメラと燃え広がるのを抑えられるということです。

 

小技②  場合によっては「逃げる」のもあり

「逃げる」というのは、好ましくない印象がありますが、状況によっては「逃げる」のもかなり有効です。

例えば、「妻(夫)が子どもに対して些細なことで怒っている」のを見て、イラッとすることもあるものです。このまま、そのイライラをその場で表現すると、事態は一気に大きく悪化することは十分想像できます。

こんな時は、一旦、その場を離れ、落ち着いてから、「あの時の言い方は良くないんじゃないか」などと伝えた方が、伝えたい内容がしっかりと伝わります。

 

小技③  政治的な内容に関心を寄せる

日常生活を送っていると、自分の範囲内だけの判断をしてしまいがちです。

簡単な例を挙げてみましょう。

ある私立中学校の子ども達は、学校行事が終わる度に打ち上げと称して、カラオケに行ったり、テーマパークに行ったり、宿泊旅行をしています。

彼女達にとっては、「いつも遊んでばかりいて、お金もたくさん使ったのだから今回くらい遊びに行くのは、我慢しなさい」と言われた家庭の子は、「とても厳しい家庭で、可哀想」という風に写っているのです。

一歩外に出ると、「たまには我慢しなさい」と言われるのも当然だということが、見えにくくなっており、似た様なことは大人でもおこりうることです。

この視野の狭さを回避するためにも、政治・政策的なことに関心を寄せておくことは重要です。

一つの政策に対して、様々な考え方があることが分かるために、「普通、〇〇だ」という考えの許容範囲が広がっていきます。

その結果、そもそも「ムカつく・腹が立つ」という機会が減るのです。

まだまだ、怒りを回避する小技はありますが、今回はこの辺にしておきます。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

経済的な理由と怒りとも深い関係がありますが、まずは、こうした経済と深く関わらない部分だけでも実践してみると、好循環が生まれます。

最近、様々な立場の子ども達と関わっていますが、「よく叱られているなぁ…」と感じる子が多いように思います。私は、ここ2年程、息子達に激しく怒っていないので、かなり楽な日々が過ごせています。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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