小学生の子ども達と話をしていると、つくづく面白いなぁと感じます。
- 計算の答えが10違ったわ。繰り上げを足すのを忘れてた。
でも、10くらいいいよね。 - なんで、概数なんてあるの?何でもきちんとしないとダメやろ。
こんな矛盾する話もお構いなしです。
そう言いながらも、私も概数の考え方も大事であって、正確に計算することも大事だと思っていますから、子どもから見れば、矛盾だらけに見えているはずです。
さて、先日は、割り算の筆算(小数の範囲も含めて)を学習している4年生の子ども達に次の様な質問を受けました。
上から2ケタなら0.7じゃないの?
もちろん、「0.6666…となった時は0を含めずに考えるもの」という形で教えるのも一つですが、やっぱり、「なんで?」というところを大切にしたいと思います。
これについてどの様に考えるのか解説します。
「そういうもの」として教えると思考は深まらない
一般的には、「概数の上から2ケタというのは、次の様に考えます」と定義の様に紹介され、暗記するしかなさそうな形で紹介されています。
例えば、次の数を上から2ケタの概数にすると…
- 1.2345→1.2
- 1.2567→1.3
- 12.345→12
- 12.789→13
- 0.1234→0.12
- 0.2378→0.24
つまり、最初に「0.」がついた場合、この0は数えず、小数第一位(10分の1の位)を上から1ケタ目と考えるようにします。
もちろん、これで間違いありませんが、子ども達が疑問に感じているのは、
ということです。
そんなことをいちいち考えていては、テストで点が取れないぞ。そういうものとして覚えてしまった方が楽で早い。
こんな声をこれまでにもたくさん聞いてきましたが、私が育てたい力は、情報処理能力ではなく、考えて生み出す力(創造力)ですから、こうした疑問に対して時間を割きたいのです。
もちろん、考えても理由が分からないという場合もありますが、ここで「そういうもの」としてしまうと、子ども達は、「覚えればいいんでしょ」という認識になってしまいます。
では、この場合、どの様に理解すればいいのか解説します。
0.666…となった場合の上から2ケタのカウントにも理由はある!
理由はとても簡単です。
例えば、1234という数の上から2ケタと言えば、「12」であることに異論はないでしょう。
とは、言っても、1234という数に一万の位・十万の位に数字を敢えて入れるとどうなるでしょう。
になります。
この状態で上から2ケタの概数にすると、「0?」ということになりそうです。
そんなことを言ったら、百万の位・千万の位も書いたら、00001234になるじゃない。
これは明らかにおかしいということになります。
つまり、「1234」という数字の前には、無限に0が隠れている訳ですが、この隠れている0は、カウントせずに、千の位の「1」からカウントを始めます。
では、ここで、0.1234という数を丁寧に見ていきましょう。
この冒頭にある「0.」は一の位に何もないということを表しています。
つまり、役割としては先に触れた01234の0と全く同じ役割をしているのですが、小数を表現する上で、「0.」を隠すことができないために書かれているわけです。
こう考えると、「0.1234」の上から2ケタを考える際に、0をカウントしない理由が明確になります。
算数の定義(約束)・公式にも必ず理由がある
算数に限らず、学習を進めていく上で定義(約束)を覚えたり、知ったりすることはとても重要です。
もちろん、指導する側からすれば、
という風に紹介し、子ども達に覚える様に言うことは簡単ですが、やはり、この様に定めなければならなかった理由を考えてみることが必要です。
拙者が広さを調べる時には、1尺・2尺…と長さを測るところから始めるでござる。
私は、2feet・3feet…って長を測るところから始めてたわ。そうそう、inchを使うことも割と多いわ。
また、人の名前もある意味、定義としてとらえることもできますが、誰の名前だって何らかの理由があるはずです。
「他人のものをとってはいけない」ということも法律で定められていますが、「法律で定められている(約束)から、とってはいけない」という理解では、不十分であるのと同じことです。
また、公式だから…と言う理由で、数値を当てはめて答えを導くように指導をされている様子を見ることもありますが、公式の存在にも必ず理由があります。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
意地悪だなぁと感じる上司の行動にも、必ず理由があると思うと腹が立つ回数も随分減るものです。
とは言っても、時々腹が立つこともありましたけどね。
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