誰もが、一度は耳にした言葉だと思います。そして、お父さん・お母さんは、通常、全力で愛情を注ぎ込みながら、日々の育児をされているように感じますが…
- 愛情が子どもに正しく伝わっているか、よく分からない
- 具体的にどの様に愛情表現をしていいのか分からない
という声を聞くこともあります。今回は、教師として様々なご家族と付き合ってきた経験も踏まえながら、具体例を交えて、疑問に答えていこうと思います。
愛情不足だと子どもはどうなるのか?【一生懸命なら良い訳ではない】
教師をしていると必然的に様々なご家族に会うことができます。まずは、この様な経験をもとに、愛情不足(子どもが親からの愛情を感じていない場合)だと、どの様な人に成長するのか、事例を交えて解説します。
親がたっぷり愛情を注いでいると思い込んでいる場合もある
皮肉なことに、親が「一生懸命、愛情を注いでいる!」と思っていても、その愛情が子どもに伝わっていなかったり、歪んだ形で伝わっているケースもあります。
典型的な例が…
というものです。
あなた自身もこの様なことを言われたことがあると思いますが、こう言われて、「大事にされている」と感じたでしょうか。中には、自分の小遣いを節約して塾代に充てているのに…という方もいますが、
ということです。大事なことは、子どもがどう感じているかを客観的に見ようとする視点をもつことです。
子どもが大事にされていると感じているかどうかを判断するには、叱った時の反応で凡そ見当をつけることができます。詳しくは、子どもの叱り方・小中学生に最も有効な方法とは?【調査から明確】の記事を参考にしてください。
愛情不足だと感じている子どもの特徴
愛情不足だと感じられる家庭の子ども達の様子をまとめると概ね次の様な傾向があります。
- 他人と比較して自分が優位なものを強調する。
- 人の期待に無理をしてでも答える。断ることが苦手。
- 普段は感情を表に出さないが、突然、感情が爆発的に表に出る(キレる)。
なぜ、この様な傾向になるのか?その理由は簡単に説明することができます。
人は誰でも「愛情深く、認められること」を望む生き物ですから、それを得るためには様々な工夫をします。先に挙げた勉強の例で言えば、
- 勉強ができたらお母さんは自分を認めてくれるかもしれない。
- 答えを写してでも、問題集に取り組んだ様子を見せる。
- 分からないことは、よくないことだから黙っておく。
- テストの結果が良ければ自慢気に見せ、悪ければ隠しておく。
- 本当の意味で学力はつかないので、悪循環が生まれる。
この様な流れにハマってしまうことが多々あります。
また、感情を表に出さないというのも、親からの愛情を受けるためです。本当は、親と反対の意見なのに、それを表に出すと嫌われてしまう可能性があるために、感情に蓋をすることを覚えてしまいます。ところが、感情に蓋をし続けることは、大きなストレスになってしまいます。いずれ、感情が爆発する日がやってきます。
【事例】愛情不足だと感じている中学生の様子
子ども自身が、「親からの愛情が感じられない」と思っている中学生の様子を紹介します。なぜ、次の様な行動が多くなるのか考えてみてください。
- 疲れた・体調が悪いと毎日言う。
- 勉強で分からない問題はない。答えを丸暗記する。
- 友達ができると、その友達とばかり付き合う。
- 友達に「凄い!」と言って貰うために何でもする。
- 自己価値が低い(どうせ俺なんかには無理)。
こうなってしまう理由は、すべて愛情が関係していることがよく分かると思います。
彼はこれまでに「体調が悪い」と言えば、親が心配してくれるということを学んだのでしょう。毎日の様に「疲れた。ちょっとしんどい。体調が悪い。お腹が痛い」などと訴えています。でもテレビゲームをすると大いに盛り上がっているために、本当に体調が悪い訳ではなさそうです。
また、友達関係に苦労している様です。先日は、友達関係を維持するためなのか、カードゲームを3万円分も購入していました。それに対して厳しくご両親から注意されたようですが、それにも懲りずに、翌月には、友達がやっているゲームソフトを勝手に購入したり、親の免許証の画像を使い、携帯電話のプランを変更するということもありました。
これらすべて、友達からの注目を集めるためだと考えられます。このケースは、愛情不足が分かりやすい事例ですが、もしあなたの子どもがこの様な傾向が見られたら愛情不足のサインとして受けとめる必要があります。
- この様な状態で高校生活が楽しく送れるのだろうか?
- 将来、仕事をやっていけるのだろうか?
という心配からご相談をいただきました。
こうなってしまったら親はどうしたらいいの?
愛情を子どもに伝えるための具体的な方法【難しく考える必要はない】
私たち日本人の多くの人は、洋画の様に「愛しているよ」と子どもに言って、キスをする様なことは苦手です。子どもが小さい頃はまだしも、思春期に入った子どもに対して、この様なスキンシップをとることは苦手という方も多いでしょう。
けれども、この様な苦手なことをしなくても、十分に愛情を伝えることはできます。
一緒に遊ぶ・出かける・体験する
子どもと一緒に、遊ぶ(ゲーム以外)ことで、子どもは「自分が大切にされている」と感じるものです。一緒に遊ぶと言うと、まとまった時間を確保しないといけない印象がありますが、私の場合は、
- 家の前でバスケットの練習に付き合う。
- 筋トレを一緒に行う。
こんなことをよくやっています。1回につき30分もかからないのでお手軽な上、自分自身の気分転換にもなるので、メリットだらけです。
もちろん、敢えて時間を設けてどこかに出かけるなども効果的です。サプライズ的に「明日は〇〇に行こう!予約しておいた」なんていうのもいいでしょう。
家族のイベントの時には写真をとる
写真を「撮る・撮られる」には、好き嫌いがあります。また撮影したものを後でよく見返す人・全く見返さない人など様々なタイプの人が、大切なのは、
という姿勢です。誕生日や年度初めなどの時期に「写真をとっておこう」というだけで、子どもは親から大切にされていると感じるものです。
きちんと手作りの料理を作る
現代の大人は非常に忙しい日々を送っています。忙しさのあまり、「今日は、お惣菜でなんとか凌ぎたい」と思う日も多々あることは重々承知しています。
ただ、どれだけ忙しくても、きちんと手作りの料理を作り続けることで、子どもは自分のために親は頑張ってくれているということを感じとります。
敢えて、
ということを口に出してみるもの良いものです。また、子どもと一緒に料理をするということも愛情が伝わりやすい行為です。
一方で、「外食をしよう!」と言えば、子どもは喜びますが、
と感じる子どもは、ほとんどいないということは、あなたも感覚的に理解できるのではないでしょうか。
こうして見ると、子どもに愛情を伝えるために、特別なことをする必要はないことが分かります。子どもとの時間を少しでも共有しようとする姿勢が重要なのです。
【注意!】「何かを買ってあげる」では、子どもは愛情を感じない
ここで、注意したい点は、「子どもが喜ぶ姿を見たいために〇〇を買ってあげる」というものです。例えば、
- 新しいゲームソフトを買ってあげる。
- 新しいスマホを買ってあげる。
- 人気・流行りのグッズを買ってあげる。など…
確かにこれらのことをすれば、子どもは喜びますが、
を冷静に見る必要があります。私が教師としてたくさんのご家族と付き合ってきた経験から言っても、簡単に欲しいものを手に入れてきた子ども達は、満たされていたか?というと疑問が残ります。
つまり、「何かを買ってあげること」=「愛情を感じる」にはなりにくいということです。
この点には、十分注意する必要があります。詳しくは、【子どもの褒め方】やってはいけない褒め方【タブレット学習も関係あり】の記事も参考にしてください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
「子どもは親の背中を見て育つ」とよく言われますが、働き方もどんどん変わり、子どもが親の背中を見る機会が随分減ってしまったように思います。
頑張っている背中を見せられないので、一緒に何かを体感することを大切にしたいと思います。
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