子どもの健康のことを考えて、食事の質にこだわるというお母さん方はたくさんいらっしゃいます。
同時に、「脳に良い食事」などといったフレーズも様々なところで見かけます。
もちろん、身体に良い食事があるのなら、脳に良い食事があって当然と考えることもできますが、錠剤を飲み続けると、魔法の様に賢くなるなんてサプリなんてありません。
これについては、誰もが納得されることだと思います。
食べ物で記憶力は高まるのか?【歴史をもとに考える】では、私が小学校教員として見てきた子どもの食事を食事と学力を紹介していますが、ここでは、もう少し深く食事について考えてみましょう。
今回、詳しく触れたいことは、「食事の成分的な見方」についてです。
なぜ、しっかりと研究されてきた結果にも関わらず、参考にならないのか?その理由がわかれば、自ずと、どんな食べ物が子どもにとって良いのかも見えてきます。
肉と魚が食事の90%を占めるエスキモーの方々は不健康だったのか?
私たちの身体は、それぞれの環境に適した形に進化をしながら、何万年と命を繋いできました。
つまり、地域によって全く異なる性質の身体をしているということです。
エスキモーの食事はもともと肉と魚が90%だった
あなたは健康的な食事と言えば、どんな食事を連想するでしょうか。
- 添加物の少ない食事
- 野菜中心の食事
- 栄養バランスが良い食事
といったところでしょう。
ところが、極寒の地に住むエスキモー(イヌイット)の方々は、
- 魚
- アザラシ・鯨
ばかりを食べて、ほとんど野菜や穀物を食べないという生活をしていたにも関わらず、癌や心筋梗塞などの病気でなくなる人は、近隣の他の民族よりも死亡率が1/10程度だったという話は有名です。
肉と魚ばかり食べるって、
栄養バランスなんて無茶苦茶じゃないの。
けれど、エスキモー(イヌイット)の方々が生活する地域で、野菜が豊富に育つはずもありません。
そんな厳しい環境の中でも、生きて、命をつないでいくには、肉と魚ばかりを食べていても元気でいられる身体にする必要があり、私たちの身体とは、性質が異なるのです。
山の動物たちは、塩が大好き!
私自身、稀に狩猟に関わることがありますが、山の動物達を捕まえる時に仕込む餌には、必ず「塩」を混ぜます。
ご存知の通り、人間も含めて、動物が生きて行くには絶対に「塩」が必要です。
ところが、山で生活をする鹿や猪は、「塩そのもの」の存在を知ることはありません。
日々、口にするものの中に含まれる極めて僅かな「塩分」を効率よく利用して生活をしていますから、狩猟をする際に、少量の塩を混ぜるだけで、喜んでくれるのです。
このことは、人間でも同じことが言えます。
私たち日本人は、古くから海に囲まれた地域で生活をし、海藻・魚・塩をふんだんにとりながら生活をしてきました。
ですから、割と多くの塩を取らなければ、体調が乱れてしまうということが起きます。
そのため、夏場には、「塩分チャージ」などと書かれた、ドリンクやキャンディーが売れるのですが、古くから内陸部に住んでいた人々にとっては必要ありません。
つまり、
- 日本人は、塩が豊富にあったため塩の燃費が悪い身体になっている。
- 内陸に住んでいた人々は、塩が超貴重だったために、塩の燃費が良い身体になっている。
ということです。
こう考えると、世界的に「塩分は1日5gまで」と一律に決めることは、果たして正しいのだろうか?ということになります。
ここでは、「塩」を一例として挙げてみましたが、他の栄養素も同じ様な見方をする必要があります。
じゃあ、結局私たちは、どんな食事をしたらいいの?
結局は、地域に根ざした普通の食事が一番【サプリは補助】
こうした私たちの身体の進化や環境との適正を考慮すると、特別なものを食べる必要はないと言えそうです。
今は、様々な種類のサプリメントも発売されていますが、サプリメントが効果があるのか?ないのか?という議論もなかなか決着がつかない印象です。
人間の歴史的な暮らし方とサプリメントの関係
サプリメントが有用なのか、無用なのか…両者の論文が混在しているのが現状です。
そうなるのは、当然のことで、人の身体が地域・個人によって異なるために、簡単に良し悪しを断定することはできません。
ただ、素直に私たち(日本人)の人類としての歴史を見れば、
ですから、従来から日本で食べられてきたものを食べるのが自然だと考えています。
サプリメントの様に
- 必要成分を抽出
- 様々な必要成分を混ぜ合わせる
- 機械的にとことん乾燥させる
この様な食べ物は、歴史的に存在しなかったために、私たちの身体が上手に反応することができないのでは?と考えるのが自然でだと考えています。
また、それぞれの地域に伝わる食べ物、味というのは、それなりに深い理由があるということも知っておきたいものです。
「京都は薄味文化」と言われる理由
よく海外の子ども達から、「京都はいいところだけど、お豆腐がなんで高いの?」なんて言われます。
京都の食事と言えば、
- 湯豆腐
- 千枚漬け・しば漬け
- 西京焼き など
で、とにかくお上品・薄味といった印象が強い方が多いでしょう。
なぜ、京都は薄味文化になったのか?というと諸説ありますが、「都があり貴族は肉体労働をしなかったため」という考え方があります。
あなたも経験があると思いますが、ハードな肉体労働をすると、やっぱり味の濃いものをガッツリと食べたくなるのが基本です。
ところが、大して疲労もしていない日にガッツリ、濃い味のものはなかなか食べられないものです。
こうした風潮もあって、薄味の文化が広まったとも考えられています。
では、日本人が日本らしい食事をとり続けるとどうなるのか?ということも考えてみましょう。
田舎の農家の方々は不健康なんだろうか?
私自身がそうですが、こってり日本食派です。
今の時代でも、3食がご飯と味噌汁と一品という程度の食事の日もたくさんあり、栄養素的には何かが足りないと指摘されそうな日々を送っていますが、今のところ問題ありません。
わたしがこうなったルーツを辿ってみても、祖父はど田舎で農業を営んでいて、
- 夏は毎日、きゅうり・トマトにご飯と味噌汁
- 冬は毎日、大根・白菜にご飯と味噌汁
という日々を送っていたために、その文化が私の身体にも染み付いているのだと思います。
近代的に言えば、栄養バランスは偏りまくりの暮らしですが、祖父も祖父の近所の方々も亡くなる直前まで、田畑の仕事をずっとされていました。
きちんとした統計データという訳ではありませんが、ご高齢になっても元気でしっかりとされていた印象がかなり強いです。
今の時代は、徹底して地域に根ざした食生活をされる方は少ないために、統計をとって分析することは難しいですが、古くから、
と言われてきたのも、十分納得がいく話です。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
脳も臓器の一つ。私たちの身体という見方をすれば、日本らしい食べ物を楽しくいただくっていうのが、最も自然で、子どもの落ち着きなんかにもいいと思うのです。
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