「現代の子どもは、語彙力が低い」なんて言われることがあります。
先日も、ある中学生が自分のことを次の様に言っていました。
きっと、あなたもどうしたら子どもの語彙力が高まるのだろう?と悩んだことがあると思います。
この問題の答えは、
と考えてみることで、おのずと答えが見えてきます。
最近は、毎日、海外の子ども達と話をしていますが、彼らの豊かな英語・日本語の語彙力に感心するばかりです。
こうした経験も踏まえながら、子どもの語彙力を伸ばすにはどうすればいいのか、解説します。
そもそも現代の子ども達は、本当に語彙力が低いのか?
語彙力が高い・低いというのは、どういう状態なのでしょう。
語彙力とは?
語彙力とは、
「どれだけ多くの言葉を知っているか」および「どれだけ言葉を使いこなせるか」に関する能力を意味する表現。 単語の知識ならびに運用能力。
(weblio辞書より引用)
要するに、
多くの言葉を知っていて、より多くの場面で適切に使うことができる状態を、語彙力が高いと言います。
じゃあ、俺はやっぱり語彙力がない方だな。
「腰が重い」と答えるところを「腰が痛い」と答えてしまったんだ。
全く意味が違うってことに今更気付いたんだ。
現代の子ども達は本当に語彙力が低いのか?
「語彙力が低い」と盛んに言われる様になったのは、OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)と呼ばれるテストで、日本の順位が下降し始めたことが原因です。
特に、顕著なのが読解力の低下だったために、メディアも盛んに「語彙力の低下」を話題にした時期もありました。
教育の現場でも「PISA型読解力を育成しないといけない」と盛んに言われた時期もあります。
データとして、語彙力の低下が感じられますが、この様なデータを抜きにしても、語彙力の低下をあなたも感じたことがあると思います。
例えば、
- なんでも「ヤバい」で済ませる。
- 「そういうヤツ。」「ああいうヤツやんか。」などの表現が多い。
- 日常的に使われる漢字が読めない・意味が分からない。
ラーメン屋さんに行った時に、「日々、精進しています。」と書いてあるのが読めなくて、お兄ちゃんに笑われたんだ。
学校で習う、習っていない関係なく、読めて欲しいと思う漢字や知っているのが当然と思われる表現を知らないという場面に出くわすこともあると思います。
なぜ、子ども達の語彙力は低下するのか【豊かになるほど低下する】
子ども達の語彙力を伸ばし、豊かにするには、語彙力が低下してしまった原因を知る必要があります。 その原因は、
ということが根底にあります。詳しく解説します。
生活が不便であるほど、表現力は必要だということ。
例えば、
ということをよりリアルに、豊かに表現するのに、現代では、
- 写真とともに「綺麗なひまわりが咲いた」と文章を書いて表現する。
- 動画を撮影して「綺麗なひまわりが咲いた」と音声を入れるとよりリアルになる。
言葉を十分にサポートしてくれるものがあれば、表現にこだわらなくても、イメージを伝えることができます。
ところが、文字や音声でしか伝えることができないのであれば、読み手や聞き手のことを考えて、様子を伝えなくてはいけません。
- 一本の綺麗なひまわりなのか?
- たくさんの綺麗なひまわりなのか?
- どんな場所に咲いているひまわりなのか?
この様なことも、言葉で表現しないとイメージをより豊かに伝えることはできません。
ですから、必然的に様々な言葉を使うようになるのです。
でもね、YouTubeなんかで、たくさんの動画を見たらたくさんの言葉を理解できるようになるんじゃないの?
インプットばかりでは絶対に語彙力は豊かにならない
英語教育に力を入れている学校は、「英語のシャワー」と言って、英語を浴びる様に、とにかくたくさん聞こうという取り組みを行っていた学校がありました。
確かに、ある程度ヒヤリング能力は高まりましたが、結果として英語表現は豊かになりませんでした。
あなたもきっと、中学・高校と6年間はしっかりと英語を勉強してきたかと思いますが、英語の語彙力が高まったでしょうか。
少なくとも私はある程度、英文は読めますが、英語の語彙力が高いと言えるほどの自信はありません。
つまり、
が必要だということです。
もし、インプットをすればするほど語彙力がつくのであれば、NHK教育番組や教育系YouTubeをひたすら見れば良いということになります。
英語の語彙力を高めたいのなら、英語を書く・話すというアウトプットの場が必要だということは言うまでもありません。
こうして語彙力は二極化する!
さらに語彙力は、情報発信者(表現者)と情報を受け取る人との間で、大きな差が生まれます。
情報発信者(表現者)は、当然ですが、自分の伝えたいことを、少しでも分かりやすく伝えられるように努力をします。
今、私もこの文章を書いて、「努力をします」と書きましたが、
- 少しでも分かりやすく伝えられるように頑張ります。
- 少しでも分かりやすく伝えられるように努めます。
- 少しでも分かりやすく伝えられるように検討を重ねます。
こうした表現の中でも、どれがしっくりと来るのか考える訳です。
つまり、発信者(表現者)側に立つと、この様な思考が習慣化されますが、情報を受け取るだけの立場だと、こうした思考が習慣化されません。
この両者の違いは、相当大きなものになることは十分想像できるでしょう。
じゃあ、具体的に子どもの語彙力を育てるにはどうしたらいいの?
家庭でも簡単にできる!子どもの語彙力を豊かにする方法
子どもの語彙力を豊かにするには、
というだけで十分です。
家族の会話を日頃がたっぷりと楽しむ
子どもの語彙力を育てようと意識して家族団欒をする必要は全くありません。
気楽におしゃべりをたくさんすれば良いのです。
- 今日、仕事でおきたこと。
- 学校で楽しかったこと・大変だったこと。
- 夏休みに遊びに行ってみたいところ。
- ニュースで話題になっていること。など…
いくらでも話題は、その辺りに転がっています。
私の経験で言えば、子どもが小さいからと言って、子ども向けの言葉・会話にする必要はありません。
小学校1・2年生くらいになれば、政治的なニュースを話題にしても、分からないところは「どういうこと?」と質問をしてくるので、その時に解説をしてあげれば十分です。
これまで、様々なご家庭に関わってきましたが、語彙力が乏しいと感じる子に共通する点は、団欒が少ないという点でした。
家族のコミュニケーションはLINEという家庭もありましたが、そうした家の子どもの語彙力は、悲惨な状態でした。
文明の力から遠ざけるには、子どもがスマホに依存して困ります【自己管理できる様にした具体策】の記事も参考にしてください。
本を読む文化を家庭に作る
少し厳しい表現になりますが、
です。子どもの語彙力を豊かにするには、最低限、家族が映像から離れる必要があります。
先に触れたように映像があれば、言葉を駆使する必要がないために、表現はシンプルになります。
ですから、テレビ・スマホ・PCを使わない時間を意図的に設ける必要があります。
そうすると、楽しめるものや情報を入手する方法は、本・音声に限られてきます。
必然的に、豊かな表現に触れる機会が増えます。
そして、重要なのは、
ということで、アウトプットの機会が得られます。
私の家ではこんな感じです。
なぁなぁ、めっちゃ面白い落語があるねん。
全部聴く必要はないけど、最初の枕の部分、ちょっと聞いて。
最初の5分程度、話を聞き、大笑いをして、「ラスベガスに行く・行かない」とか「カジノってどういうものか」「日本にカジノはないの?」…こういう話を息子たちと好き勝手にしています。
もちろん、息子が本を読めば、どんな話だったか教えてくれますし、私が本を読めば、ビジネス書であっても、どんな内容だったかを伝える様にしています。
大事なのは、本を読むのも、音声を聴くのもとても楽しいものですから、まずは大人から実践してその楽しさを表現することです。
家事やスポーツなどリアルな体験をたくさんする。
家事やスポーツなどをたくさんすればするほど、何らかの問題点にぶつかります。
問題点に出会うことで、解決するために何かしら表現をしないといけなくなります。
また、様々な人と出会うチャンスにも恵まれ、異年齢の人の言葉に触れることもできます。
つまり、リアルな体験を多くすればするほど、
- アウトプットする機会が必然的に増える。
- 言葉が広がるチャンスに恵まれやすくなる。
ということです。
開成中学校・高校の校長の野水先生も
家庭でぜひやらせてほしいのが、「家事」です。(中略)料理や掃除は、科学実験やプログラミング的思考を育む大事な体験です。結果を見通しながらプロセスを考え、次の手順のために優先すべきことは何かを常に思考する必要がありますからね。
と言われています。
こうした思考も語彙力を豊かにする素地となるのではないでしょうか。
子どもが行う家事に関しては、仕事と子育てを両立させるコツ【親が頑張らないこと】を参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
便利っていうのは、思考をしなくても良いという側面もあります。
こんなことを考えると、不便を楽しむ暮らしっていうのが豊かじゃないかなぁって思うのです。
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