気付かずやってしまう優しいダブルバインドって?【親子関係改善策】

子育てをしているとついつい誰もがやってしまうのが「ダブルバインド」。

「ダブルバインド」って聴き慣れない言葉かもしれませんが、直訳すると、「二重の拘束」という意味で、子どもに悪影響を与えると言われています。

私も実際に学校の学級担任として子ども達に関わってきましたが、ダブルバインドの影響は大きいと肌で感じてきました。

「ダブルバインド」とは、どういう意味か?どういう流れで悪影響なのかは、子育てでついやってしまうダブルバインドって?【必ずやめられる】の記事で詳しく解説しています。

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ところが、次の様な方もいらっしゃいます。

金田ママ
金田ママ

私なんか、子どもを凄く大切にしているから、「拘束」なんてしていないわ。

ほとんど、子どもに対して怒ることもないしね。

この位、穏やかだと「ダブルバインド=二重の拘束」とは、無縁の様に感じるかもしれませんが、

優しい様に見えて、ダブルバインドになっているケース

も多々あります。この機会にあなたが子どもに対してダブルバインドしていないかチェックして、より楽しい親子関係を築いて欲しいと思います。

 

目次

優しく丁寧に接しているつもりなのにダブルバインドになっている例

子育てでついやってしまうダブルバインドって?【必ずやめられる】の記事で例として挙げたものは、割と感情的になっている場面でした。

ところが、冷静で温かい気持ちで接してもダブルバインドになってしまうことも多々あります。

具体例を挙げてみます。

不登校の子どもに接する時のダブルバインド

不登校・不登校傾向が見られる子どもと接する時、大人はできるだけ温かい気持ちで接しようとすることが多いです。

父:「最近、どうだ。学校に行ってみようと思えるようになったか?」
子:「うん。行きたいけれど、どうしても朝になるとお腹が痛くなるんだ。」
父:「それなら、まだ無理をする必要はないなぁ。
子:「でも、高校受験のこともあるし、勉強のことは気になっているんだ。」
父:「お父さんもそれは気になっているんだ。頑張って学校に行ってみてはどうだ。行ってみてどうだったか考えてみたらいいじゃないか。

怒っているわけでないですが、

  • 無理して学校に行く必要がない
  • 頑張って学校にいくべき

と矛盾した話になってしまっています。

厄介なのが、穏やかな雰囲気のダブルバインドは、子どもにとって意図が汲みにくくなるという点です。

もう一つ事例を挙げてみましょう。

教師も子どもに対してダブルバインドしてしまう

教師:「分からない事があるというのは、素晴らしいことだ。それが分かって初めて勉強になるのだから、分からないことがあればどんどん質問をしたらいい。」
生徒:「先生、今更なんだけど、どうして(ー3)×(−5)=15になるんですか。」
教師:「おいおい、もう中3だろ?今更、そんな質問をするなよ。中1の学習だぞ。」

学校での風景ですが、似た様なことは、職場でもよくあります。

ここでは、2つの事例を挙げましたが、2つとも拘束する気なんてサラサラないのに、結果としてダブルバインドになってしまっています

さらに、学校全体(組織的に)でダブルバインドをしているケースもあります。

 

耳障りの良い言葉で、子どもも保護者もダブルバインドで混乱する例

ダブルバインドは、個人個人だけの問題ではありません。

学校・教職員生徒」や「会社・経営陣従業員」でも見られることがあります。

例えば…

教師:「子どもには一人一人個性があります。だから、その個性を大事に、一人一人徹底的に大事にして教育をしていくつもりです。」

また別の場では、

教師:「君たちは、本校の最高学年です。最高学年というのは、いわば学校の顔。君たちの行動は、後輩・地域の方々もしっかりと見ています。学校の顔として恥ずかしくない行動をとるようにしましょう。」

一方では、一人一人(個別)の見方をしているにも関わらず、状況が変われば個人と集団がごちゃまぜになっているために、子ども達は混乱します。

本来は、状況に応じてどちらが適切か判断できるといいでのすが、この様な判断が難しい子どもは、大人の顔色で判断するようになります

学校で見られるダブルバインドの一例

学校で見られるダブルバインドの一例

そして、更にこうしたバインドがかけられ、訳が分からなくなってしまいます。

ダブルバインドの違和感を友達や両親に話せる子どもは、話すことで気持ちがスッキリする場合もありますが、誰にも話すことができない子どもは、辛い思いをします。

金田ママ
金田ママ

穏やかなダブルバインドって私もたくさんしているかも。

少しでも防ぐ方法はないの?

大事な話を丁寧にする時のダブルバインドを防ぐ方法

例を挙げた通り、真剣に子どもの考えているにも関わらず、伝えたことが結果としてダブルバインドになってしまうことはあります。

これらを防ぐには、

  • 子どもは耳障りのよい言葉より本音を求めているということを知る。
  • 紙に伝えたいことを書きながら話す。

がとても大切です。詳しく解説します。

子どもは耳障りの良い言葉より本音を求めている

例えば、あなたも次の様なことを言ったことがあるはずです。

正直に言いなさい。正直に言えば、怒らないから。

こう言って、子どもが正直に話をしたでしょうか。

私の経験では、こう言って正直に話をする子どもは非常に少ないです。

子どもからすれば、正直に言えば、めちゃくちゃ怒るくせに…という感覚があるためだと思います。

ところが、

正直に言いなさい。悪いことをしてたなら、めちゃくちゃ叱るから。でも、本当に悪いことをしてないのなら、叱る必要なんて全くないでしょ。

この方が、圧倒的に話が前に進みます。

きっと、悪いことをした時に、本当は隠し通すよりも叱られた方がどんなに楽だろう…という感覚がどこかにあるからだと思います。

つまり、「〇〇をするから〇〇しなさい」という支配的な表現を辞めて、感じたまま言葉にすれば、ダブルバインドにはなりません。

 

紙に伝えたいことを書きながら話す

仕事の現場では、メモを取りながら話をするのが通常です。

これには、

  • 聞き間違いを無くす。
  • 内容が二転三転しないようにする。

役割があります。

これを親子関係であっても活用します。

先に挙げた、不登校のお父さんの例で言えば、

いろいろあるけれど、学校に行って欲しい。

この様なメモを書いた上で話を進めていくことでダブルバインドを防ぐことが可能になります。

実は、子どもの方も知らず知らずにダブルバインドをしてしまうことが多々ありますが、メモがあることで矛盾点にすぐ気付くことも大きなメリットです。

一手間かかりますが、思考を整理するのに書くという作業は非常に有効です。

手書きの良さについては、賢い子どもに育てたいなら身体を使え!手書きが超重要な理由でも紹介していますので、参考にしてください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

学校の子ども達って意外とこんな矛盾に気付いているものです。

まぁまぁ、そういう事もあるわなぁ…と受け止めてくれている子どももたくさんいました。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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