子どもの地頭が悪いのは親の責任?【バカは遺伝するの?】

子どもの成績が良くないと、

  • 母親の育て方が間違っているんだ。
  • 母親に限らず、両親の学歴が低いからダメなんだ。(地頭の悪さは遺伝する?)
  • 親の収入が少ないから、いい教育を受けさせてやれないからダメなんだ。
  • 親が勉強を教えられないから成績が良くないんだ。

などと、言われたり、自分自身で思って落ち込んでしまう方も見られます。

果たして、子ども地頭や成績の悪さは親の責任なのでしょうか

この問題は非常に複雑なので、一言で答えるのは難しいところですが、私が保護者の方に、「子供の能力の低さは親の責任ですか。」と質問をされた時には、

遺伝的に伝わる部分が半分以上ですが、遺伝とは関係ない部分も多い

ということを伝えています。

金田ママ
金田ママ

えっ!半分以上が遺伝的に伝わるのであれば、うちの子、絶望的じゃないの?私は、お嬢様学校で主人はボンボン学校卒業で、学力は低いの。

こんな風に思われる方もいますが、重要なのは、

遺伝と関係ない部分を上手にコントロールすれば人生は拓ける

ということです。

「遺伝で能力が決まる部分が多いのに、結果は遺伝と関係ない部分と関係がある」というのは、なかなか不思議な感覚です。

どういうことか、私自身の経験も含めて解説します。

 

目次

人の能力のおよそ50%以上は遺伝で決まる【研究の結果から】

そもそも、人の能力がどの程度遺伝するのかを調べることは難しいものです。

そこで、100%遺伝子が同じ、一卵性双生児を詳しく見る研究が行われています。

そうすると…

  • 性格が異なることも多い。
  • 得意なこと、興味が異なることも多い。

ということに気付かされます。

つまり、遺伝子が同じなのに、異なる部分があるということは、人の能力の全ては、遺伝で決定する訳ではないということが見えてきます。

ただ、問題なのは、どの程度遺伝の影響を受けるのか?ということですが、安藤寿康先生らの研究によると、次の様な結果が得られたそうです。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20120118/296619/より引用

ざっくりですが、40〜50%程度は遺伝的要素を受け継いでいることが分かります。

特に学校の勉強で必要となる「論理的推論能力」は70%程、遺伝的要素を受け継いでいますから、親が論理的に思考することが苦手な場合は、辛い結果と言えそうです。

ただし、双子であっても、兄弟・姉妹であっても、完全に能力・思考・性質が一致しないのは、生命の維持とも深い関わりがあります。

詳しくは、兄弟喧嘩にうんざり?これを知れば兄弟の子育てが楽しめるで解説をしています。

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金田ママ
金田ママ

私なんか、お嬢様学校卒業よ。

いちいち論理的に物事を考えたことないわ。

何事も直感的に生きてきたから絶望的じゃないの!

やっぱりうちの子の成績が悪いのは私のせいね。

 

遺伝的に特別な能力をもった人は極僅か!親の影響は無視できる!

ここで調査の結果だけを見れば、親が論理的に考える習慣がなければ、子どもにもその影響が出ると絶望するしかなさそうです。

けれども、素晴らしい能力を遺伝的にもった人は極めて少ないことも認識おきたいものです。

つまり、

遺伝的な影響は受けるものの、圧倒的多数派は凡人である

ということです。どういうことか詳しく解説します。

賢い人(論理的思考ができる人)は必ず賢い人と結婚するとは限らない

必ずしも賢い人が賢い人と結婚するとは限りません。

しかも、賢い人が賢い人と必ず結婚するということを代々行ってきた家庭はほぼ0に等しいでしょう。

なぜなら、基本的に人は自分にないものをもっている人に魅力を感じるものだから。

  • 論理的思考力が強い人は、感覚的に行動できる人に憧れる。
  • 口数が多く、ついついしゃべり過ぎてしまうという人は、物静かな人に憧れる。

つまり、遺伝する性質は、多種多様に広がっていくために、多くの人は、凡人であるということです。

競走馬の場合は、レースに強い馬と馬とを掛け合わせることが良く見られますが、人間の場合は、その様なことは行われていません。

つまり、遺伝的要素は確かに能力の50〜70%程度占めますが、残された30〜50%で、誰もが勝負をしているわけで、多少の個人差はあるという程度の違いです。

 

親の素晴らしい才能を引き継いだ人と才能はないけれど努力をする人

子ども達と話をしていると決まってこの様な話が出てきます。

マナブくん
マナブくん

たかしは、いつもテスト前でも「全然勉強していない」って言っているわ。

口先だけじゃないで。オンラインゲームに入ったら、たかしはいつもいるし。

たかしはええなぁ…。賢い親の子として生まれたから天才なんや。

1000人程の子ども達と関わっていると、本当に「天才か?」と思う子どもに出くわすことはあります。

確かに、この様な子どもは、中学・高校の成績もまずまず優秀で、大学も志望校に進路を進めることが多いです。

ただし、この様な「天才か?」と思うような子どもの暮らしを詳しくみると、本人さえも気付かないところで多くのことを学んでいることが分かりました。

詳しくは、【小学生のママへ】地頭がいい子どもの過ごし方【勉強時間は短くてOK】の記事で解説をしています。参考にしてください。

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さらに考えたいことは、順調に志望校に入れると人生は豊かになれるか?ということ。

ここで改めて考えたいのは、

  • 遺伝的に素晴らしい能力をもった人
  • 遺伝的な素晴らしい才能はないけれど努力をする人

どちらが人としてのニーズがあるのか?ということです。

先にも触れた様に、私も含め、圧倒的に多くの人が遺伝的な特別な才能をもっていません。

特別な才能がない中で、「どうしたらこの困った状況を抜け出せるか?」ということに、多くの人が日々悩んでいるのですから、素晴らしい才能はないけれど克服した人に関心が寄せられて当然です。

誰もが分かる具体例を挙げながらもう少し詳しくみていきましょう。

 

なお、遺伝よりも重要な要素は、親の常識です。詳しくは、子どもの頭の良さ・悪さは親の常識で決まる!【遺伝より重要】で解説をしています。

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遺伝的に優秀な人がいる教員の世界【誰のクラスが楽しい?】

特に公立小学校の教員の方々を見ると、遺伝的に優秀だと感じる方に出会います。

例えば、

部活動で全国大会に出場し、国立大学にストレートで合格。

凡人の私からすれば、化け物レベルです。

その一方で、こんな先生もたくさんいます。

  • サラリーマンとして勤めていたけれども、やっぱり教育がしたいと思って、通信制大学に通ってなんとか、ギリギリ教員免許を取った。
  • 教員になりたいと思っていたけれども、国公立大学しか進学させられないと言われて、浪人してなんとか国立大学に入った。

パッと話を聞いた印象では、圧倒的に部活動で全国大会に出場し、国立大学にストレートで合格という様な優秀な先生のクラスの方が良さそうですが、実際にはそうではありません。

私の経験から言えば、学級崩壊・崩壊寸前の様な状態になってしまったクラスの先生を見ると、非常に優秀で、スマートに人生を歩まれた先生の場合が多いのです。

その理由は、すでにお分かりだと思いますが、

  • 勉強が理解できない子どもの思考が分からない。
  • なぜ、無駄な行動をするのか理解できない。

そのために、子どもとの距離がどんどん開いていくのです。

反対に、紆余曲折されてきた、凡人の先生のクラスは、いろいろな問題があってもとても楽しいクラスを運営されています。

クラスの見た目は、キチンとしていなくても子ども達は、とっても生き生きしていることが多いです。

ここでは、私の見てきた教員の世界を一つの例として挙げていますが、スマートに生きられなかったからこそ良かったということは、大人社会ではたくさんあるはずです。

金田ママ
金田ママ

じゃあ、よかったわ。

成績が多少悪くても、努力さえ続ければいいのね。

【改善策】子どもの地頭の悪さが問題ではない

子どもの学力・能力は確かに遺伝的要素もありますが、だからと言って、遺伝のせいにして、親を責めたり、親である自分を責めたところで何も改善しません

大切なのは、

  • 多くの人が凡人であり、自分も凡人であることを認める。
  • コツコツ努力を継続させること。

に尽きます。

コツコツ努力を継続させることは、なかなか難しいことですが、【具体例】根気がない子どもに育つ環境とシンプルな改善策で生活との根気の関係を解説しています。

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子ども達と陸上競技に取り組んでいた時に、身長が低い田中くんは、誰よりもたくさん練習していました。

学校でも常に走り、帰宅してからもひたすら走り続けていました。

田中くんは大晦日も元旦も走り続けたのですが、残念ながら試合のレギュラーには登録できるレベルには達しませんでした。

けれども、レギュラーのメンバーに選ばれた子ども達は、「田中がいつもアホみたいに走りまくっていたから、自分たちも厳しい練習に耐えることができた。田中に感謝しています。」と口々に語っていました。

凡人、または凡人以下だからこそ、努力をし輝ける場所があることを教わった瞬間でした。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

学生の頃は、天才的な人に憧れたものですが、凡人で良かったなぁ…と思える様になるのに随分時間がかかりましたが、今は、心から凡人?凡人以下で良かったと思えます。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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