賢い子ども・地頭のいい子どもに育って欲しいと願い、
- 幼少期から数々の習い事。
- 小学校・高学年になってからは、ほぼ毎日、学習塾に送迎。
- 塾の宿題をさせるために、深夜まで親が付き合う。
- 子どもの勉強時間を確保するために、親がおやつなどの買い物をする。
こんなことを、一生懸命にされている小学生の保護者の方から相談を受けました。
私は、こんなに一生懸命頑張っているのに、全然、成績が上がらないんです。塾からは、土曜日・日曜日に個別指導が必要だって言われて、受講させていますが、成績は下がる一方なんです。
詳しく話を聞くと、塾からは相当な量の宿題が出され、毎日、塾の宿題をこなすのも必死で、睡眠時間も6時間程度しか確保できていないそうです。小学生6年生なのに…。
一体、何が問題なのでしょうか。それは、
で、私は、金田ママさんに、
- 塾をとっとと辞める
- 回数を週に2・3回程度に減らしてみる
のどちらかをお勧めしました。なぜ、この様なことを伝えたのか?解説します。
これまで関わってきたたくさんの子ども達の中でも賢いなぁ…と思った子どもは、
ためです。
ところが、ただ単純に勉強時間を減らして、たくさん遊べば良いという話ではありません。
地頭がいい子・短時間しか勉強していないのに学校の成績が良い子は、日々の暮らし方にちょっとした特徴があります。
それが何なのか?詳しく解説します。
地頭のいい子は必ず暮らしの中から学ぶ眼をもっている
「暮らしの中から学ぶ」と表現してしまうと、在り来たりですが、この「暮らしの中から学ぶ」と習慣がある子と無い子では雲泥の差が確実に生じます。
まずは、スポーツでどういうことか解説します。
僕は「早く走れるようになりたい!」と思った時にすべきこととは?
短距離走でも、中・長距離でも「早く走れるようになりたい」と思ったなら、
- 実際に走る。
- ストレッチをする。
- 筋力トレーニングをする。など
様々な練習をすれば良いのでは?と誰もが思い浮かべるものです。
とは言っても、子どもの場合は、学校の授業もありますから、早く走るための練習の時間はどうしても限られてしまいます。
早朝・休み時間・放課後を全て使っても、満足行く結果が得られないことだって多々あります。
それでも、絶対に早く走れる様になりたい!と思うのであれば、どうすればいいのでしょうか。
実際に、私が担任していたクラスの何人かは、
- ランドセルを敢えてパンパンにして登下校。
- 足首には、重りを巻いて学校生活をする。
- 帰宅後出かける時は、自転車を使用せずにランニングで移動
を行っていました。
つまり、練習時間外でも自分を鍛える工夫をしたために、体力をぐんぐんつけることに成功したのです。
では、この話を学びに置き換えてみるとどうなるでしょうか。
勉強時間外(暮らしの中)からも学べることはとても多い。
子どもは、本来、疑問をもつことの天才です。
先日は、何人かの子ども達を連れて山登りに行ってきましたが、歩きながらたくさんの発見をしていました。
- なぜ、この山のウグイスは、「ホーホケキョ」と鳴かないのだろう。方言があるの?
- 倒れた木の中身が空洞になっているのは何でかなぁ。クワガタが大量にいたの?
- 何で山の川は、水が冷たいの?
こんな疑問が次から次へと出てきます。
でも、こんな疑問の答えを知ったところで、何の得があるの?
そう思われるかもしれませんが、地頭の良い子どもは、こうした視点を必ずもっています。
ですから、何か新しいことを学習しても、これまでの自分の経験と結びつけることができ、すぐにより深い理解をすることができるのです。
実は、関連付けは記憶にとって、非常に重要で、子どもの記憶力を高める方法【基本的な考えは超シンプル】の記事で解説しています。
だから、
ということです。
もう少し、具体例を挙げて解説します。
暮らしの中から学ぶことができない子どもの事例
暮らしの中から学ぶことができない子どもがどんどん増えてきています。
その様な子ども達は、
- こんな勉強をして何の意味がある分からない。
- 大人になって使わないから、やるだけ無駄。
- 学校で習っていないから、考えなくても良い。
- 学校の授業が良く無いから分からない。
と、自分が分からないことに出会った時に、言い始めます。
例えば、
この計算がなぜプラスになるのか、自分なりに考えようとしない傾向が強いのです。
この理由は、たくさん考えらます。
- すべきことがかなり多いために、深く考える時間がとれない。
- 結果が重視されて、思考過程が評価されることが少ない。
- 行動から結果までの過程があまりにも複雑過ぎる。
これらの理由についてももう少し詳しく見ていきましょう。
すべきことがかなり多いために、深く考える時間がとれない。
やるべきことがあまりにも多いと「なぜ?」を考える余裕は生まれません。
例えば、小学校高学年で、
- 三角形の面積
- ひし形の面積
- 平行四辺形の面積
- 台形の面積
について学習する単元がありますが、これらの内容を1時間程度でできる様にするには、公式を覚えて実際にあてはめて見るくらいのことしかできません。
「なんで、そんな公式になるのか?」なんて考え、試行錯誤していると到底1時間では足りないのです。
つまり、日頃からあまりにも多くのことを子どもに求めると、子どもは「なんで?」を考える習慣を捨ててしまうことを学ぶのです。
これは、実績を過度に重視する塾や私立学校の課題点でもあると考えています。
こうした塾や私立学校の課題については、小学生でも塾に行きたくない!と言う本当の理由【子どもはよく見ている】で解説しています。
結果が重視されて思考過程が評価されることが少ない。
ある私立小学校の授業を見て驚きました。
文章問題について考える授業だったのですが、授業の中でも「答えが正しければOK」という形で授業がどんどん進められていたのです。
確かにその1時間で子ども達は、たくさんの問題を解きましたが、
分かった!分かった!
最初に出てきた2つの数字を足してから、後で出てきた数字を掛けたらいいのね。簡単やわ。
こんな理解をしていたのです。
それでも、単元末のテストはこのパターンに乗ればある程度はなんとかなりますから、「答えが正しければOK」という指導が浸透するほど、「なぜ?」を考えなくなります。
このケースは、「理解できていない」と周りの大人が気付くのに時間がかかることもあるので、要注意です。
また、途中の思考を書かない習慣が身についてしまうので、より複雑なことを考えないといけない場面では、ちょっとしたミスにつながりやすくもなってしまいます。
詳しくは、テストなどでケアレスミスを防止したい!【原因と具体的な対策】も参考にしてください。
行動から結果までの過程があまりにも複雑過ぎる。
また、自分の行動から結果が出るまでの道のりがあまりにも複雑だと、「なぜ?」を考えるのが嫌になります。
例えば、子ども達が大好きなゲームは楽しいですが、どの様な仕組みで動いているのかは、あまりにも複雑なために考えようとする子は少ないのが現状です。
反対に、「筋肉ムキムキになりたい!」とトレーニングをしている子はどうでしょうか。
筋肉の細胞の仕組みまで理解することは小学生の場合難しいですが、「適度な負荷をかけると、筋肉は発達していく性質がある」だから、負荷をかけることは必要だ。という程度の理解は、十分できます。
以上の3点により深い関わりがある場合は、なかなか「暮らしの中から学ぶ」ところからは遠いために、地頭を良くするのは困難です。
ちなみに、先に触れた私が授業を拝見して驚いた私立学校の子ども達は、通塾率は90%を超えていましたが、残念ながら、学力は、公立学校を含めた市内平均よりも低かったです。
じゃあ、どうやったら、暮らしの中から学ぼうとするようになるの?
暮らしの中から学ぼうとする子どもを育てる具体策
だけでOKです。
デジタル的な要素というのは、
- 正しい・間違っているが明確になっているもの
- デジタルツール機器(スマホ・タブレット・PCなど)を避け、自然に触れる
これらのことです。
正しい・間違っているが明確になっているものを避ける機会を作る
子ども達の生活を改めて見ると「正しい・間違っている」と断言されてしまうことが、相当多いのが現状です。
- 友達の嫌がることは言ってはダメ
- テレビやゲームばかりしていてはダメ
- この問題の解き方は正しい など…
当然、ダメなものはダメ、正しいものは正しいでいいのですが、どちらを選んでも正しいということも世の中にはたくさんあります。
例えば、「自分の好きな色が変わった」なんてことがあっても良いわけです。
答えが明確な算数・数学だって、解き方は様々に考えられる問題は無数にあり、どんな解き方をしても本来は構いません。
けれど、あまりにも頻繁にデジタル的に「正しい・間違っている」などと評価されると、結局は、自分で何かを発見するよりも、権威ある人の考えを聞いた方が良いということを子ども達は学習するのです。
デジタルツール機器を避け、自然に触れる
スマホやタブレットはとても便利です。
分からないことがあれば、検索をすればすぐに答えを知ることもできます。
また、ゲームや動画を簡単に楽しむことができますが、デジタルツール機器に対する疑問をもったところで、答えがかなり限定的だという問題があります。
例えば、ゲームをしていて「このモンスターはなぜ強いのか?」という疑問をもったとします。
この疑問の答えは、
- ゲームを作った人が強いという設定にした。
- プログラム上強い様に作られている。
くらいしか、答えがないのです。
これでは、全然思考が広がりません。
では、「なぜ、木は百年以上も生きるのか」という質問を子ども達にしてみると…
- 高く伸びた方が、日光に当たるから。
- 動かないから、無駄なエネルギーを使うことがないから。
- しっかり生きた方がCO2を減らすことができるから。
- 家を建てるのに必要だから。
正しい、間違いはさておき、いろいろな可能性を探ることができます。
こうした思考をいろいろ行ってみるということが、地頭の良さ・賢さの根源となるのです。
先日、久しぶりに子ども達と山に登りました。
この写真を見ても分かる通り、登っていくには、どのルートを通っても問題ないのですが、子ども達は自分の体力、体の大きさを考えて、最終的なルートを選択していました。
こうした「どれも正解」という事に触れることで、思考は広がります。
それを存分に経験した子ども達は、生活の中から発見することができる様になるために、机に座って勉強そのものをする時間は短くても、賢くなれるのです。
自然が私たちに与えてくれるのは、思考の広がりだけではなく、「根気強さ」も与えてくれます。詳しくは、【具体例】根気がない子どもに育つ環境とシンプルな改善策で解説しています。
また、親として地頭がいい子に育てるための工夫は、地頭がいい子どもに育てる!母親がすべき意外なことでも紹介しています。参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
答えが明確なものにたくさん触れ、こうすれば良いということを教えればテストの点数は良くなるものです。
けれど、社会が求めているのは、様々な角度から物事を見ることができる人、面白い発想ができる人です。
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