最近は、
こうしたことも言われる様になり、子どもが楽しそうに学習しているCMも見かける機会が増えてきました。
私のもとにも保護者の方から、どの会社のタブレットを利用するのがいいと思いますか?という質問も増えてきました。
当然、子どもにはそれぞれ特性がありますから、一概に〇〇社のタブレットが良いなどと断定することはできません。
けれども、タブレットがどの様な仕組みで、学習を提供するのか、簡単に理解しておくことは、大事だと思います。
この様にタブレットやパソコンの特性を活かしながら、個々に応じた学習をすすめていくことをアダプティブラーニング(Adaptive Learning )と言います。
そこで、ここでは、
分かりやすく解説します。
基本的な仕組みが理解できると、
- タブレット学習は必要なのか? 不要なのか?
- 利用するならどの様な利用の仕方がいいのか?
こういったところまで、あなた自身が考えられるようになるはずです。
なお、アダプティブラーニング(Adaptive Learning )とはどういうものか、さらに詳しくは、アダプティブラーニングとは?タブレットが個別学習指導をしてくれる!を参考にしてください。
「AIが判断」と言っても基本は多くのデータをもとにしている
「AI」という言葉は歴史的に見ると3度目のブームです。
実は、1960年代には「AI」ブームが起きています。それ以降、様々な技術的な進化があったために、今では「AI」と言うと、特別優れた知能という印象を受ける人も多い気がします。
厳密に「AI」を定義するとかなり複雑な話になってしまうので、ここでは簡単にどういうことなのか解説します。
私たち人間が判断する時も過去のデータと本能がメイン
まず、簡単に人間の判断について整理しておきます。
例えば、はなちゃんは、今10,000円もっているとします。
あぁー新しいゲームソフトが欲しいなぁ。
でも、6,500円もするじゃない。
どうしよう。
ここで、はなちゃんが悩むのは、
- 過去に欲しいものが買えるからと言って、買った後に後悔したことがある。
- 新しいゲームソフトを買ったらとても楽しいかもしれない。
この葛藤の中にいるために、どうするか悩むのです。
ところが、過去の後悔した経験の存在が大きければ、やっぱりゲームソフトを買うのを我慢しようという決断に至ります。
つまり、過去の経験というデータ・ゲームの内容というデータを元にして、最終的な決断をしているということです。
また、人間には、動物としての本能があります。
あぁ、食べ過ぎて太ってしまったって、後悔したのに…。
また、今日もホテルでスイーツを食べてしまったわ。
人間には、「生命を守る・維持する」という本能があるために、これらに関することは、データに関係なく、行動が決定されることがあります。
なお、兄弟喧嘩にうんざり?これを知れば兄弟の子育てが楽しめるでは、なぜ、兄弟で全く同じ育て方をしたのに、性格が大きくことなるのか?を解説しています。
自然の偉大さ・本能の力強さの様なものを感じてもらえると思います。
コンピュータが判断するのも多くのデータが元となる
「AI(人工知能)」には、当然ながら本能は存在しません。
となると、「AI」が何か決断するとなると、決断するための材料(データ)が必要になります。
例えば、Googleは事業をさらに発展させるためのコンサルティングを行っていますが、これもデータをもとに提案をしてくれるというものです。
極めて簡単に言えばこういうことです。
いろいろと事業展開してきたけれど、ここで会社は次の代に譲って、私はラーメン屋がしたいんだ。
社長!何言ってるの?
ラーメン屋を軌道に乗せるなんて相当難しいわよ。
ところが、Googleが次の様な情報を提供してくれたらどうでしょうか。
開業想定エリア内 | 競合店がない |
検索ワード | あっさりラーメン・醤油ラーメン |
1日の検索数 | 相当多い(人口の80%) |
検索している人の年代 | 20〜40代の男女共に多い |
この様な状態であれば、あっさりしたラーメンをメインとしたラーメン店を開業してもニーズはありそうだと判断することができます。
つまり、
ということです。
こうした考え方をタブレット学習などに活かすことができれば、個々に応じた学習プログラム・学習コンテンツを提示させることができそうだということは想像できると思います。
アダブティブラーニングを実現させるための基本的な流れ
では、アダブティブラーニングをするのに、タブレットやPCはどの様なデータをもとにしているのか、簡単に紹介します。
基本的には、2つのデータ
- 個人の能力に関するデータ
- 多くの人の能力に関するデータ
を参照するということです。
もちろん、これら2つのデータを総合的に活用されることもあります。
個人の能力に関するデータを活用して学習を進める
話を分かりやすくするために、相当単純化して話を進めます。
例えば、面積を求める学習をしたけれども、全然、正しい答えを求めることができない子がいたとします。
その子の他の学習の理解度を見ると、かけ算の筆算の正答率が低いということが分かりました。
ということは、かけ算の筆算にまでさかのぼって学習をしてみると、面積の問題もクリアできるかもしれないと考えることができます。
かなり単純化しましたが、個人の学習に関するデータを蓄積すればするほど、その子が苦手とするところ、得意とするところが、明確に見えてきます。
多くの人の能力に関するデータを活用して学習を進める
教師や塾の講師を長くされてきた先生は、その経験から多くの子どもがつまずきやすいポイントを知っています。
もちろん、つまずきやすいポイントが分かれば、どの様に指導をすればいいのか対策を考えることもできますから、先生が多くの経験を積むということは大切です。
これをデータ化すれば、学習に活かすことも十分可能です。
例えば、次のような問題は、面積の学習を始めたばかりの子どもはよく間違えます。
こうしたことが分かっていれば、事前に、
- 1㎠のマスが書かれた紙を準備しておく。
- 実際に100㎠の正方形を描いてみる。
- 1㎡の紙の上に1㎠のマスをいくつか置いてみる。
と考えて準備をしておくことも可能になるということです。
先に触れたラーメン店の開業の勝算と同じ様なデータの扱いもできるということです。
じゃあ、めちゃくちゃ効率よく勉強することができるじゃない!
となりそうですが、注意したい点もあります。
あくまでも学習として表示される内容は統計によるもの
統計そのものは事実であり、そこから多くのことが分かります。
けれども、人生は
- 必ずしも統計通りには行かないということ
- 統計通りに行かない人こそ社会に貢献しているということ
も知っておきたいものです。具体例を挙げてみます。
独立(起業)して10年以上生き残れる可能性は10%?
あなたも、
と聞いたことがあると思います。
統計によって10%部分の数字は多少異なりますが、50%を超えるデータは見たことがありません。
では、こんなデータがあるにも関わらず起業する人はバカか?ということを考えてみましょう。
1代で会社を大きく成長させた方はゴロゴロといますし、そうした会社の恩恵を受けながら私たちが豊かな暮らしを送ることができているのも事実です。
また、研究分野では、大きな発見ができる可能性なんて限りなく0%に近いというのが、現実です。
それでも、自分を信じて挑戦し続けた人は社会に大きく貢献されています。
ふとしたことがきっかけで、勉強が好きになる
私の場合は、高校1年から理系クラスでした。
当然、周りのクラスメイトも理系なのですが、歴史の授業を担当する先生が楽しい方で、歴史ファンの様なった人もたくさん見られました。
それをきっかけに、古典文学に興味をもち、万葉集について熱く語るという人もいました。
こうした変化は、統計的には考えにくい変化と言えます。
また、ふとしたことがきっかけで、大学進学を高校3年生になってから決意をし、生まれ変わったように勉強をはじめ、公立学校の教員になった教え子もいます。
詳しくは、受験勉強の開始はいつから?【遅すぎた高校生の返り咲き事例】で詳しく紹介しています。
つまり、
ということです。
タブレットやPCを使って、データ分析を行って貰いながら学習を進めるのもいいのですが、こうした統計外のことも起こりうる余地を残しておくこともとても大切です。
だからこそ、自分の人生を振り返ってみても、周りの人の人生を見ても面白く、想定外のことがあるからこそ、社会は発展してきたと思えるのです。
まとめ アダブティブラーニングの基本的な特徴
アダブティブラーニング(タブレット学習)の仕組みについて紹介しました。
- データを分析的に見ているので効率よく学習できる。
- 判断に使われるデータは個人のものもあれば、大勢のものもある。
- データは事実であるが、データ外のことも許容できる余地を残しておくことは大切。
子どもにとって、勉強は大変なもので、できれば「効率よく・便利に勉強をしたい」と思うものでしょう。
ただ、あまりにもこうしたものに頼り過ぎると、多数派の思考になってしまう可能性も考えられます。
ですから、タブレットやPCなどを利用する場合には、「適度に」というところにも意識を向けておきたいものです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
どう考えても「お客さんが来にくい」と思われる様なところにあるラーメン店に、たくさんの人がいつも並んでいます。
そんな様子を見ると、データから飛び出し、挑戦することも面白そうだなぁと思うのです。
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