アダプティブラーニングとは?タブレットが個別学習指導をしてくれる!

最近は、子ども達の学習スタイルも大きく変わり、タブレットやスマホが活躍する場面も増えてきました。

そんな中で、

アダプティブラーニング(Adaptive Learning )

こんな言葉も耳にする機会も増えてきました。

金田ママ
金田ママ

簡単に言えば、
AIが自動でどこから学習したらいいか提示してくれるものでしょ。

文部科学省もアダプティブラーニングは、子ども達の主体的な学びが実現できるとして、推進し始めました。

そこで、

  • アダプティブラーニングとはどういうものか?
  • アダプティブラーニング活用するときに注意したいこと。

について解説をします。

 

目次

アダプティブラーニング(Adaptive Learning )とは?

アダプティブラーニング(Adaptive Learning)を直訳すると、

一人一人の学習環境に適応した学び

という意味になります。

簡単に具体例を挙げるとこういうことです。

たかしくんは、小学校5年生で算数が得意だけど、国語が苦手ということにしましょう。

算数 小学校5年生で学習する算数のレベルよりも高いもの・発展的な問題に取り組む。
国語 小学校5年生で学習するもの、またはそれ以下の学習・基礎的なものに触れる。

かなり荒っぽい表現ですが、たかしくんの学力・理解の程度に合わせた、学習課題に触れることができれば、

得意教科をより伸ばし、苦手教科を克服することができる

ということです。

これをタブレット・スマホなどの力を借りながら実践していくというものがアダプティブラーニング(Adaptive Learning)ということです。

子どもの特徴を理解した先生と個別で学習するのと近いイメージです。

金田ママ
金田ママ

そんなことがタブレットやスマホでできたらやっぱり凄いよね!

 

従来の授業を比べると見えてくるアダプティブラーニングのメリット

これまで、学校や塾では一斉授業(複数人を対象とした授業)が行われてきました。

私も20年以上、毎日授業を行っていますが、一斉授業には、デメリットもあると感じています。

従来行われてきた一斉授業のデメリット

次の様な点が一斉授業のデメリットだと感じています。

  • 授業での学習内容が簡単だと感じる子どもにとっては、進度が遅く感じられる。
  • 授業での学習内容が難しいと感じる子どもにとっては、震度が早く感じられる。
  • 多様な考え方に対応しにくい。

つまり、子どもは状況によって、待ち時間が生まれたり、一生懸命思考をしているにも関わらず思考を打ち切られることがあるということです。

また、大勢で学習するということは、一つの課題に対して、様々な考え方が出てくる可能性があります。

これは、かなり大きなメリットですが、学習が定着していない子どもが、多様な考え方に触れると頭が混乱してしまうことが多々あります。

これを避けるために一斉授業の場合は、多様な考え方のうちの1つか2つに絞って学習することがどうしても多くなってしまうのがデメリットです。

理想的な形は、

  • 理解が深い子どもには多様な考え方に触れさせる。
  • 理解が浅い、または理解が難しい子どもには、分かりやすい考え方だけ触れさせる。

こんな形ですが、教師1人で30人もの子どもを相手にしながら、この様な対策をすることは至難の技だということです。

ところが、このデメリットをアダプティブラーニング(Adaptive Learning)を用いると、カバーすることが可能になるということです。

これでは、イメージしにくいので、一つ具体的な例を挙げてみましょう。

 

一斉授業の中でアダプティブラーニングが活用できそうな事例

小学校5年性・体積を求める問題(複合図形)

小学校5年性・体積を求める問題(複合図形)

問題 上の図形の体積を求めなさい。

この時、多くの子ども達は、この図形を二つに分割して体積を求めようとします。

縦に切って分割した場合は、次の様な式になります。

4×3×8=96 4×3×4=48 96+48=144

パッとこうした思考ができる子もいれば、時間がかかってしまう子どももいます。

ここで、早くできた子どもには待ち時間が生まれてしまいますが、アダプティブラーニングが使えると、次の様な問題を早くできた子どもに提示することも可能です。

ひろしくんは、この問題を解くのに次の様に考えてみました。
(8+4)×8×3÷2=144
ひろしくんは、どの様に考えたのか説明してみましょう。

こうしたことを個別に提示することで、待ち時間を0に近づけることが可能になります。

つまり、

授業時間内は思い切り思考し続けることができる授業が可能になる

ということです。

ただ、アダプティブラーニングにもデメリットはあります。

 

アダプティブラーニングの見えにくいデメリットとは?

アダプティブラーニング(Adaptive Learning)は、素晴らしい教育システムの様に見えますが、デメリットももちろんあります。

次のことも十分踏まえておかないと、アダプティブラーニングを上手に活用することはできませんので、注意が必要です。

  • アダプティブラーニングで評価されるのは、情報処理能力だけ。
  • 子どもは分かりやすい説明で理解を深めるとは限らない(特に小学生)。
  • アナログ的な活動を通して、理解を深めることも多い。

それぞれ簡単に解説します。

アダプティブラーニングの評価は情報処理能力のみ

アダプティブラーニングは、コンピュータの推論・統計などをもとに、理解の程度を評価し、個別に応じた課題を提示してくれます。

例えば、先に触れた立体の体積の問題で、8cmを6cmと勘違いしてしまった場合、どう評価されるのか?という問題があります。

はなちゃん
はなちゃん

うわぁ、最悪…。

わたし、8cmのところを全部6cmだと思って計算してたわ。

私はいくつかのシステムを利用してみましたが、現在(2022年)では、「考え方は理解しているけれども見間違えてしまったのね」という評価をしてくれませんでした。

つまり、一般的なテストの採点と同じように、正しいのか・間違っているのかで理解の程度を測定しているということです。

もちろん、こうした情報処理能力もとても重要ですが、考え方も評価するという視点は子どもを育てる上でとても大切だと思います。

 

分かりやすい説明で理解を深めるとは限らない

子どもとは、不思議なもので、

分かりやすい説明→深い理解ができる

とは限らないのです。

特に小学生の場合、Aさんが上手に考え方を説明していてもよく分からないけれど、仲良しのBさんの説明は下手でもよく分かったなんてことは日常茶飯事です。

教育がシステム化されるほど、内容の良し悪しによって子どもの理解が変わると私たち大人は考えがちですが、

子どもは自然の産物であって、私たちの予想の範疇も超える部分がある

ということも十分理解しておく必要があります。

 

アナログ的活動で理解を深めることも多い

そもそも人間は、長い間、自然の中で暮らし、様々な知恵を生み出してきました。

つまり、

体感的な経験を通して理解を深める

ということを何万年も行ってきた動物です。

ですから、画面の中の様子を見て理解するよりも体感を伴った理解の方が深くて当然と考えるのが自然です。

大人の私たちも、若手社員に何かを説明している時に改めて「そういうことだったのか?」と深い理解が得られた経験があるはずです。

こうした経験はとても大切であると考えて、2つの学級で比較する授業を行ったことがあります。詳しくは、学力を高めたいのなら身体を使え!手書きが超効果的で解説しています。

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アダプティブラーニングを活用する際に注意したいこと

長年、学校で教師をしながら子どもと関わってきた経験と自分自身でいくつかのシステムを使ってみた結果踏まえて、メリット・デメリットを整理してみました。

注意したい点は、

アダブティブラーニングは、補助的に活用する

ということです。

時々、こうした教育システムがあると、「これさえ使えば大丈夫」と言われる方にも出会いますが、子どもはそれぞれ特性をもった人間(自然の産物)です。

行動を分析し、データ化したものに従ってくれることもあれば、そうではないことも多々あるということです。

学習に対しても同じで、深い理解への道は子どもによって異なり、無数にあるということを忘れてはいけません。

私たち大人の予想の範疇を超えることがあるからこそ、社会は面白く発展していくという目で見ながら、アダブティブラーニングシステムと付き合うことが大切だと思うのです。

さらに詳しくは、【脳への影響】タブレット学習はデメリット大!という理由も参考にしながら、アナログ活動とタブレット利用のバランスを考えたいものです。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

ICT(パソコン・プロジェクターなど)が教室に導入された時も教育は変わる!などと言われたものです。

その頃に様々な授業スタイルを研究したものですが、結論は、そういった機器の活用は3分程度の利用が最も効果的だと感じました。

アナログ部分はどれだけ技術が進歩しても大切だと思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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