【事例】タブレット学習の授業のデメリットから学び方を考える

ある中学生がこんな話をしていました。

タブレット学習が始まって便利になるはずなのに、なぜか授業の進みが遅くなった気がします。
別にタブレットを使わなくてもいいのに…と思う所でもタブレットを無理やり使っている気がします。

実は、こうした声も子ども達・保護者の中でも多いのではないでしょうか。

また、先日、久しぶりにある中学校のタブレットを活用した授業を拝見する機会に恵まれたので、その時の様子もお伝えしながら、

タブレットを使いながら学習するときの注意点

について考えてみたいと思います。

家庭で「タブレット学習の利用を考えている」という方も参考になる点は多々あるはずです。

 

目次

【事例】教師も陥ってしまうタブレット学習の問題

先日、ある中学校の授業を拝見させていただきました。

タブレット学習を有効に活用するということだったのですが、残念ながら…

終始、先生が生徒に注意をしている授業になっていた

のです。具体的にはこんな感じです。

御立場先生
御立場先生

これから、みんなのところに学習プリントを配信します。

できた人は、先生のところに返してください。

配信システムを使っているので、

  • プリントを配布・回収する手間が省ける。
  • 誰が未提出かもすぐに分かる。

これが授業内の大きなメリットとなります。

ところが、実際には、

御立場先生
御立場先生

5人の人のプリントがまだ戻ってきていません。

説明を聞いていたなら必ずできるはずです。

マナブくん、2画面にしているやろ。

2画面とは?
この場合、学習プリントの画面を開きながら違う画面も開いているということ。
マナブくん
マナブくん

やってないですよ。

(本当はちょっとだけ2画面にしたけど…)

御立場先生
御立場先生

ほとんどの人は、もうできています。

何でこれができない?

2画面にして話を聞いていなかったとしか考えられません。

ここでは、マナブくんだけを取り上げましたが、こうした注意を受けている生徒が5人見られました。

最終的には、先生は「こうして準備をして授業をしているのに、聞いていない人がいるなんて気が悪い」などと言われて、授業の雰囲気が随分悪くなってしまいました。

真面目に話を聞いて、問題を解いた子は、「無駄なやりとりばかり…」と授業後に話をしていました。

この様なケースに陥ってしまうことは、他の授業でも何度も見てきました。

本来、タブレットは素晴らしい道具ですから、有効な活用を考えたいものです。

どんな点が素晴らしいのかは、アダプティブラーニングとは?タブレットが個別学習指導をしてくれる!でも紹介していますので参考にしてください。

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では、なぜ、今回の様なケースに陥ってしまうのかもう少し詳しく見ていきましょう。

 

なぜ、勉強をする必要があるのか?【大人が見誤ってはいけない】

当たり前のことですが、

勉強をする目的を見誤ってはいけない

ということ。

勉強をする目的と言っても無数にあるので、分かりやすいものを例として挙げておきます。

  • 希望する高校や大学などに進学するため。
  • 学校の成績を上げて、自信をもつため。
  • 勉強する楽しさや大変さを味わうため。
  • 多くの人の問題を解決するため。などなど…

こうしたことを達成するために、勉強をするのですが、

タブレットを利用すれば目的が達成できると勘違いしてしまう

という点です。

タブレット学習のシステムなどの広告などを見ても万能であるかの様に感じられるものがありますが、それは、タブレットやシステムを上手に活用することができた場合ということです。

今回紹介したケースの様になってしまうのであれば、タブレットの利用を辞めて通常通り、黒板とノートを使った学習にとっとと切り替えるのも一つです。

先生がノートを見て周る形をとっても、十分学習の目標に迫れたはずです。

金田ママ
金田ママ

そうだと思うけれど、なんで先生はそんなことに気づかなかったの?

タブレット学習の波が本質を見失ってしまう原因になることもある

学校教育をはじめ、塾でも家庭でも学び方が大きく変わろうとしています。

この波が、子育て・教育の本質を見えにくくしてしまうことがあります。

どういうことか解説しながら改善策を紹介します。

【学校・塾の場合】タブレット学習を効率的に活かすには?

学校や塾の場合、タブレット学習ができる様な高度なシステムが導入されると、当然、システムを活用するための研修が行われます。

本来なら、システムを活用して子どもを育てることを考えるのが優先ですが、関わる人の全てがコンピュータなどの機器に強い訳ではありません。

その為に、

システムを活用する研修→システムの使い方を知る研修

になってしまうのが現状です。

それでも、システムを使うとこれまで手間がかかっていたことが簡単にできそうに感じられるので、十分な教育効果が期待できそうだと錯覚してしまうのです。

学校がタブレットなどをはじめ様々な機器を使った授業を研究し、実践を発表する場に何度も足を運んできましたが、機器やシステムの力が強く、子どもの話に至らないこともありました

つまり、

新しい技術を何か変わるかもしれないという期待感

を誰もがもってしまいがちになるということです。

様々な研究報告にも「タブレット学習によって教育効果が高まった」と書かれていますが、上手に活用することができるレベルまで、子どもも先生も成長したということです。

反対に先に触れた学級では、子どもも先生もまだ上手に活用することが難しい状態です。

タブレットやシステムを誰が使うか?

ということはとても大切な視点です。

私なら、小学生や中学生が授業の対象であれば、アダプティブラーニングとは?タブレットが個別学習指導をしてくれる!で紹介している様な使い方をします。

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余談になりますが、公立学校の場合、経済的な面も考慮して「使わないといけない」という圧力のようなものがあるのも現状です。

くわしくは、【公務員】無駄な仕事が多い職場の実態と無駄が多い理由で紹介しています。

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金田ママ
金田ママ

似た様なことが家庭でも起きる可能性があるわね。

 

【家庭での場合】タブレット学習を効率的に活かせない原因とは?

スマイルゼミ(https://smile-zemi.jp/chugaku/merit/tsuduku-shikumi.html より引用)

金田ママ
金田ママ

うちの子もたくさん利用しているみたいだから安心してたけれど…。

タブレットを渡しておけば良いって訳じゃないみたい。

先に学校や塾が陥りやすい点に触れましたが、全く同じことが家庭でも起きることがあります。

先日、相談に来られた方の話もまさに、タブレット学習の波にのまれてしまった話でした。

具体的には次の様な話です。

  • タブレットを使ったらゲーム感覚で楽しく学習をしてくれると思ったのに。
  • 繰り返し自動で問題を提示してくれるから、確実に力がつくと思ったのに。
  • たくさんタブレットを利用しているから学力がつくと思ったのに。

タブレットを利用している時間は、親もとに通知されるのですが、この子の場合、考えることもせずに、ただ数字や記号を書いて⭕️や❌の評価が返ってくるのを見ていただけだったのです。

つまり、

  • 子ども自身が、学習をするつもりでタブレットを使用する意識まで育っていない。
  • 親はタブレットを利用すれば、自然と勉強を楽しむようになると過信していた。

ということです。

では、こうした問題を克服するにはどうすればいいのでしょうか。

 

アナログ的な生活・学習をまずは存分に楽しむこと

タブレットからは膨大な情報を得ることができます。

では、次の動画「イエローストーン国立公園(アメリカ)」をあなたは楽しく見ることができるでしょうか。

興味の有無は人それぞれですが、

  • 温泉や火山などに興味がある人
  • 過去に行ったことがある人

は、何かを感じながら興味深くこの動画を見ることができるでしょう。

つまり、

動画を見る前の条件がとても大切である

ということです。

私が学校などでたくさんの子ども達と関わってきた経験から言えば、この条件(アナログ的な生活経験が少ない)が整っていない子どもほど、

はなちゃん
はなちゃん

なんでこんな勉強なんかしないといけないの?

分数÷分数なんか生活しながら計算する大人なんて見たことがないわ。

という話をする傾向が強くなってしまいます。

ですから、まずは、アナログ的な生活を存分に楽しむことが大切なのです。

具体的にどんなことができるかは、【具体例】根気がない子どもに育つ環境とシンプルな改善策の記事でも紹介しています。

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アナログ的な活動が十分にできる子どもは、もちろん紙での学習もしっかりとできますが、さらに効率を高めるためにタブレット学習を考えるのも一手です。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

私は古典落語を聞くことも大好きなのですが、多分、歴史についてある程度のことを知っているから楽しく聞けるのだと思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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