【幼児期の遊びが重要な理由】中高生になってからのやる気の素になる!

中高生自身もその保護者もなかなか悩みが絶えることはありません。

年々、増えてきたと感じる悩みは、

  • 子どもが無気力
  • 学校に行きたくないと言い出した(不登校)
  • 生きるのも嫌になってしまったと言い出した

この様なもので、かなり深刻な悩みを抱えている方が増えてきました。

実際に児童生徒の自殺者の統計を見てみると、

児童生徒の自殺者数(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/24489.htmlより引用)

児童生徒の自殺者数(https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/24489.htmlより引用)

生活が豊かになってきたにも関わらず、自ら命を絶ってしまう子ども達が近年になってから加速度的に増えています

私たちが子どもだった頃(昭和世代)は、

  • 悪いことをしたら学校の先生にビンタをされる。
  • 帰宅が遅いと家に入れない(締め出される)。
  • 親にどつかれる。

こんな風景も日常的だったので、現代は、随分生きやすい社会になった筈だと考えることもできそうですが、どうして無気力になったり、自殺してしまったりすることが起きるのでしょう。

門苦田さん
門苦田さん

現代の子どもは、結局、過保護なんだよ。

みんなが親切で優しいから、苦しいことに絶える耐性がないんだ。

こんなことを言われる方もいらっしゃいますが、私は、

幼児期の遊びの量・遊びの質に大きな問題がある

と考えています。なぜ、この様なことが言えるのか、教師として中高生と関わってきた経験を踏まえて詳しく解説します。

 

目次

【事例】自殺を考えてリストカットまでしてしまった女の子

(仮)真紀子ちゃんは、中学校卒業まで、成績が優秀で、志望する高校に入学することができました。

ところが、高校に入った途端に、勉強が難しくなり、テストの結果も悪く、お母さんや学校の先生に「このままでは進級すら危ない」と言われるようになってしまいました。

次第に、高校も欠席する日が多くなり、家に引きこもる日々となってしまいました。

真紀子ちゃんのお母さんは焦り、

  • 学校に行く様に声をかける。
  • 勉強が分からないのなら塾に行けばいいと声をかける。
  • 高校に相談をする。

などのことをしても、真紀子ちゃんに想いは届くことはありませんでした。

現在も高校に行くことはできず、SNSで知り合った人と遊んだり、家に引きこもったりの日々を送っているために、お母さんに叱られることがますます増えてしまいました。

真紀子ちゃんは、どうしていいのか分からなくなってしまったのでしょう…リストカットまでしてしまったのです(結果は無事だったのですが)。

 

中高生の問題の原因は親や学校の対応の仕方?

こうした事態になった時に、「周囲の大人の助けはどうだったのか?」ということがよく言われます。今回の場合で言えば、

お母さんは、叱る前に真紀子ちゃんの気持ちを分かろうすべきではなかったのか?

ということになります。

もちろん、短期的には、お母さんの行為を見直してみることは大切ですが、「叱る」という行動が悪かったのであれば、昭和の子ども達のほとんどは、自殺に追い込まれているでしょう。

冒頭でも触れた様に、昭和世代の多くの子どもは、「親が子どもの良き理解者」と感じる機会なんて滅多になく、「親は恐ろしいもの」という認識の方が強かったからです。

金田ママ
金田ママ

うちの子なんて成績は下から1位・2位を独走。

何度、叱っても反省の気配すら感じないわ。

ですから、一概に「周囲の大人の対応に問題があった」とし、理想的な対応の仕方を追求したところで、あまり意味がありません。

それよりも重要なことは、

問題にあたった時に、逃げずになんとかしようと食らいつく姿勢はどこから来るのか?

ということを考えてみることです。

 

問題にあたっても何とかしようとするエネルギーは遊びから生まれる

中高生の問題に「遊びが大切」だという話をすると、否定されることもありますが、

最高に楽しい遊びをたくさん経験して来た子どもは打たれ強い

傾向があります。なぜ、こんなことが言えるのか解説します。

そもそも命あるものは本能的に生命を維持したいもの

生命のあるもの全てに備わっている本能は、

とにかく生命を維持したい

というものです。

ですから、私たちは

  • 腐った食べ物は、気持ちが悪い→誤って食べることを防ぐ。
  • 疲労すると睡魔が襲ってくる→身体の限界を超えない様に調整する。

こうした能力を生れながらにもっています。

ところが、「生きるのが面倒だ」「死んでしまいたい」と感じ、行動を起こしたという場合は、

ネガティブな感情 > 本能

という状態になってしまったということです。

私たちの日常的な行動や思考の多くは、本能が求めることを考慮しながら、計画を立てたり、判断をしています。

ですから、本来、優先されるべき「本能」をネガティブな感情を超えてしまうと、正常な判断がとても困難になるということです。

正常な判断が鈍るということは、日々成長する子どもにとって、発達面も含めて大きな悪影響を及ぼす可能性があるということは、十分察しがつくはずです。

では、どうすれば、ネガティブな感情が本能を超えないのでしょうか。

 

最高に楽しい経験をたくさんした子どもは、希望をもつ

思い切り楽しい経験を積むことで、

子どもは、また絶対に楽しい経験をしたい!

と強く思うものです。

つまり、「今は大変だけれども、これを乗り越えたら楽しいことが待っている」という希望をもつことができるのです。

ただ、少し厄介な点は、生命を守るということが優先されるために

恐怖(ネガティブな感情)の記憶 > 楽しい記憶

になる傾向があり、思い切り楽しい経験を積んでもその楽しさを忘れてしまうということです。

詳しくは、【タブレット学習に反対する理由】実は効率が悪い?歴史を元に解説の記事も参考にしてください。

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つまり、適度な間隔で最高に楽しい経験(遊び)をすることはとても重要だということです。

反対に、幼い頃から進学などを意識して塾通いなどに多くの時間を費やしてきた子どもは、最高に楽しい記憶が少ないために、問題が起きると、大きく凹んでしまう傾向が強くなります

先に紹介したリストカットまでしてしまった真紀子ちゃんも幼少期から真面目に学習塾に通い、周囲からは「優等生でとてもいい子」と思われていたのです。

私の持論ですが、昭和世代の子ども達は、時には酷い言葉を浴びせられることもありましたが、それでも何とか生き延びてきたのは、たくさん遊んできたからだと思います。

「いつかもう一回、〇〇を絶対にやりたい!」こんな気持ちを多くの人が心にもっていたのではないでしょうか。

金田ママ
金田ママ

じゃあ、やっぱり時には好きなことを好きなだけさせてもいいのね。

最高に楽しかった!を得るために遊びの「質」を考える

幼児期に限らず、中高生にとっても遊びはとても重要です。

とは言っても、

ゲームに依存してしまうくらい夢中になるのは、思い切り楽しい経験と言えるのか?

という疑問をもつ方が多いでしょう。

この問題については、様々な研究が行われています。

 

適度な時間ゲームをするのは生活満足度を高めるが…

モバイルゲームのプレイ時間と幸福感の関係」という5000人を対象とした研究があります。

ここでは、詳細を割愛しますが、

「モバイルゲームのプレイ時間と幸福感の関係」より引用

  • 1時間半ほどゲームをするのであれば、生活満足度は高まる。
  • 2時間以上ゲームをすると途端に生活満足度は低くなる。

ということが分かりました。

ただ、この調査で注目したいことは「最高に楽しい!」という充実感の様なものは、ゲームをプレイすることによって得られなかったということです。

「自己実現と成長」「まえむきと楽観」については有意に正となる時間はなく、むしろ約 2 時間以上のプレイをすると低くなることが分かった。

また、「まえむきと楽観」については、質問項目が「私はものごとが思い通りにいくと 思う」や「自分は人生で多くのことを達成してきた」などであるが、生活の一部を犠牲にし ていることで、自己肯定感が低くなっているかもしれない

「モバイルゲームのプレイ時間と幸福感の関係」より引用

つまり、遊びはとても重要ですが、遊びの質にも目を向けることは大切です。

子どもの満足感・充実感については、【子育て】ゲーム以外に興味が持てない子どもとどう接するか?でも詳しく紹介しています。

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金田ママ
金田ママ

じゃあ、具体的にどんな遊びが最高に楽しい経験になるの?

子どもの前向きな気持ちを育てるには、自然と触れるのが一番!

文部科学省(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/055/003.htm)より引用

私自身も学校の子ども達を何度も野外宿泊活動に連れて行っていますが、子ども達の変容には驚かされます。

上記のデータの様に「やる気が出てくる」というのも、

人は長い歴史の中で常に自然と共に生きてきた

からで、一言で言えば、

自然と上手に付き合わないと生命を維持できないために、人は本能的に自然の中にいると前向きになれるような性質を身につけたのです。

自然との付き合いから誕生する根気については、【具体例】根気がない子どもに育つ環境とシンプルな改善策の記事も参考にしてください。

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本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

幼少期から将来のことを考えて、たくさんの勉強を強いられている子どももたくさんいます。

そんな子どもが中高生になっていう言葉が、「大学に早く入って勉強から解放されたい」というものです。

この言葉の意味を私たち大人は、もっと真剣に考える必要があると思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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