中学生・思春期になってもバレバレの嘘をつく理由と対策

多くのことを経験してきた大人からすれば、

嘘をついたところで何のメリットもない!

というのが当たり前ですが、子どもの場合は、そこまで思考が至らないことが多いです。

先日、次の様な質問をいただきました。

もう中学生なんですが、一瞬で嘘だと分かる嘘を平気でつきます
例えば、学校の小テストも点数が悪ければ「なんか今回は全員悪かったみたいで、テストは返却されなかった」という様な嘘です。
だから、本当かどうか学校に確認するようにしていますが、嘘だとバレたら今度は、「もう知らん」などと言って拗ねてしまいます。どうすればいいのでしょうか。

ポイントは、

  • 瞬時にバレる嘘でも平気でついてしまう。
  • 嘘がバレると拗ねる。

親からすれば、「この調子で社会人になったら大変なことだ」ということで、相談がありました。

結論は、

  • 嘘をついてしまう原因は、親または学校・塾にある。
  • 子どもが嘘をついた時には、デメリットを本人に考えさせる。

問題を改善させていくには、簡単な様に見えますが、大人の努力が必要になります。

具体的にどういうことか詳しく解説します。

 

目次

思春期になっても子どもが嘘をついてしまう原因は大人にある!

小学校高学年・中学生になっても頻繁に嘘をついてしまう原因は、

大人の接し方が原因

です。なぜ、こう言い切れるのか、人の本能的な部分とあわせて解説します。

人は本能的にデメリットを最も嫌がる生き物

子どもが嘘をつく原因は、いくつかありますが、大前提として「人の本能」を理解しておく必要があります。

私たちには、「生命を守る」という本能があり、生命を守るために次の性質を誰もがもっています。

デメリット>メリット

これは、行動経済学ではプロスペクト理論とも呼ばれ、一言で言えば、

メリットで得られる喜びよりもデメリットの悲しみの方が強い

というものです。

具体的な例を挙げて解説します。次の様な場合、あなたはどちらを選びますか。

  1. 今、ここで何もしなければ、あなたは100万円を受け取ることができます。
  2. ここでジャンケンをして、私に勝つことができれば200万円を受け取ることができるが、私に負けた場合、1円も受け取ることはできません。
金田ママ
金田ママ

そんなの1に決まっているじゃないの。

多くの人が1を選択しますが、数学的に期待値を計算すると1も2も同じです。

ところが、圧倒的に多くの人が1を選択するのは、ジャンケンに負けた時の痛みを想像すると痛みのない1を選択した方が良いと考えるためです。

このことからも、人は損失(痛み)を嫌う性質があることが分かります。

この様な性質は決して悪いことではなく、損失(痛み)が怖いからこそ、高いところに登る時には慎重になるし、未知の森に入る時にも慎重になれるのです。

この性質があったからこそ、私たちは命を繋いでくることができたのです。

また、兄弟喧嘩にうんざり?これを知れば兄弟の子育てが楽しめるの記事でも、生命を守る・子孫を守る本能的な部分を解説しています。

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子どもがすぐにバレる嘘をつくのもデメリットを回避するため

本能的な性質を考慮すると、子どもが嘘をつく最大の要因は、

嘘をついて、想定されるデメリットを回避する

ことだということが分かります。

では、正直に話をするとどの様なデメリットがあるのか考えてみると…

  • 自分のした行動について厳しく叱られる。
  • なぜ、そんなことをしたのか、長々と問いただされる。
  • 他の人と比較される。

などが考えられます。

冒頭で触れた子どもの例で言えば、小テストの結果が悪かったために、

  • 何でこんな結果になったの!
  • ゲームばかりしているからダメなのよ

などと言われることがデメリットだということを過去の経験から学んだためだと考えることができます。

繰り返しになりがここで、最も重要なことは、

大人から言われる言葉が、本人にとってデメリットでしかなかった

ということです。

つまり、大人からすればこれまで「正論」を伝えていたつもりであっても、子どもからすれば、デメリットと感じられる言葉だったということになります。

 

改善しないと悪循環にはまる

ところが、

ダメなものはダメだと伝えないといけないじゃないか!

という思いもあるはずです。

もちろん、私もこの考え方には大賛成をしますが、だからと言って、嘘をついてしまう子どもに対して、「ダメなものはダメ」と厳しく言い続けると悪循環が生まれます。

子どもが嘘をつき続ける悪循環のイメージ

子どもが嘘をつき続ける悪循環のイメージ

つまり、

思春期・中学生くらいの年齢になっても嘘を頻繁につくということは、いくら正論であってもその子にとっては、デメリットと感じられる言葉だった。

ということなので、表現の仕方を変えなければいけないということです。

金田ママ
金田ママ

どうやって伝えたらいいのよ。

 

大人の怒りの気持ちを抑えて冷静に自分の行動を考えさせる

重要なことは、

  • 怒らないで話をする。
  • 自分の行動のデメリットを自分で考えさせる。

この2点に尽きます。

怒らないで話をする具体例

先ほどの「小テストの結果が悪かった」という場合、

  • 頑張ったけれども結果が出ないことってあるよね。
  • お母さんも英語の小テストではいつも大変な思いをしたものよ。

と、声をかければいいのです。

こういう、言葉をかけてもらって育った子どもは、嘘をつきません。

ところが、ここでこんな想いも出てくるでしょう。

金田ママ
金田ママ

こんな事を優しく言っているだけなら、全く勉強しないままよ。

生ぬるいわ。

事実・結果に対して自分はどう思ったのか考えさせる

ものごとの結果・事実に対して、大人に言われるのがデメリットな訳ですから、大人が何かいうのではなくて、

自分で自分に説教をする

こんな形にすればいいのです。

誰でも「こんな風にできたらいいのになぁ…」と思うことがありますが、思った通りにできないことがたくさんあります。

なぜ、理想通りにできなかったのか?自分で考えれば、嘘をつく必要はなくなります。

例えば、先の小テストの例で言えば、

マナブくん
マナブくん

理想は、最低でも80点だったのに…。

金田ママ
金田ママ

なんで、理想の80点に届かなかったと思う?

この様に冷静に質問をするだけで、思春期・中学生くらいであれば、大抵、あなたが言いたかったことを自分で話します。

  • ちょっと余裕をかまし過ぎたわ。もう少し早めにやっておけば良かった。
  • ゲームをたくさんやり過ぎたわ。
  • 教科書を眺めただけだったらダメだったのかもしれない。

ここで、あなた自身のことを振り返ってみましょう。

例えば、「仕事に持っていかないといけないものがあったが、忘れてしまった」という場合、大事なものであれば、あなた自身が相当なショックを感じているはずです。

その状態で、

  • なぜ、そんな大事なものを忘れたんだ💢
  • いつもそうやって、肝心なところが抜けるのをどうにかしろ!
  • 他の人はちゃんとできているのに、なぜ、できないんだ?

こう言われるとどんな気持ちになるか考えてみることが大切です。

門苦田さん
門苦田さん

頭では分かっているけれど、俺自身が冷静になるのが難しいんだ。

だいたい感情ってスキルじゃないから、どうしようもないわ。

こう感じた方は、できない子どもにイライラ!大人が穏やかに過ごすための方法をご覧ください。

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誰かの言葉にすぐ反応。毎日、ムダな「反応」をしていませんか? すべての「苦しみ」は、自分が「反応する」ことから始まっています。それを理解することが、悩みを解決する第一歩です。

 

 

大人が「こうであるべき」という意識を捨てよう!

ある程度の年齢になっても、頻繁に嘘をついてしまう子どもの多くは、

子どもの行動に対して親が干渉し過ぎている

ことが圧倒的に多いです。

今回の例で言えば、

小テストなどテスト範囲が限定されているものなら努力次第で結果は出せるものだ

という意識が強く、過去をさかのぼっても、そういうものとして声を掛けられていました。

大人はこれまでに様々な経験を積んでいるので、「〇〇した方が良い」と分かっているために、その方向に子どもが向くようにコントロールしたくなるものです。

けれども、本当に大切なことは、「〇〇をした方が良い」と言われて素直に言うことを聞くことではなく、自分で「〇〇をした方が良い」と気付くことです。

そう考えると、勉強に限らず、何かで失敗した・結果が良くなかった時は、対策を自分で考える最高のチャンスになる様に思えるのです。

言う事をよく聞くロボットと暮らすより、良くも悪くも期待を裏切ってくれる子どもと暮らす方が私は楽しいと感じます。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

先輩教員に「次の授業は絶対にこうした方がいい」と言われたことがありますが、素直に言う事を聞いて、失敗をした時には、心の中で「こうした方がいい」っていうのが、ダメだったんじゃないか!なんて、思ったものです。

今は、すべてのことの原因は自分にあると思えるようになりましたけど。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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