【公務員】無駄な仕事が多い職場の実態と無駄が多い理由

社会はどんどん変化し、様々な職場でも「効率化」が随分言われる様になりました。

にも関わらず、相変わらず

公務員は無駄な仕事が多い

と良く言われます。

本当に、公務員の仕事は無駄が多いのでしょうか?

公立学校で教師として働いてきた経験をもとに、

  • どの様な仕事が無駄だと言われてきたのか?
  • なぜ、無駄だと言われる仕事もやらないといけないのか?

について解説します。これから教員採用試験を受けて、教師になりたいという方は、「無駄な仕事の価値」を理解しておいてください。

学校・行政が何を大切にしているのかが良く見えてきます。

 

目次

公務員教師の無駄な仕事・組織を守るための仕事

自治体や校種によって「組織を守るための無駄な仕事」の形態は異なりますが、基本的な考え方は、どの無駄な仕事も同じだと言えます。

2つ事例を紹介します。

組織を守るために残業時間を報告するという仕事

公立学校の教師のメリット・デメリット【給与明細も公開】で詳しく紹介していますが、公立学校の教師には残業手当というものがありません。

もちろんタイムカードもありません。

にも関わらず、私が勤務していた自治体の教育委員会からはどの位残業をしたか毎月所定のシートに入力して提出をしなくてはいけませんでした。

ただ、これも結構闇が深くて

校長先生
校長先生

ちょっと残業トータル時間数が多いなぁ。

本当はもっと多いのだろうけど、これはマズイいから、残業時間数をもう少し減らして提出してくれるか。

Shibuyan
Shibuyan

それなら、毎日60分くらい残業したことにしておきますね。

いちいち多い日、少ない日を作るのは面倒ですから。

もちろん、テストなどは家に持ち帰って採点をしていましたが、学校外でした仕事はノーカウントというルールです。

  • 残業代に反映される訳でもない
  • 正直に労働時間を報告しても変更を求められる

何のために、こんな報告をしないといけないのかというと…

教師の過労死が問題になる(https://news.yahoo.co.jp/より引用)

教師の過労死が問題になる(https://news.yahoo.co.jp/より引用)

この様な報道があるためです。

私の勤務していた自治体でも以前に教師の過労死が問題となりました。

そんな深刻な問題があったにも関わらず、何も対策がなされないとなるとますます問題となるために、

一応、残業時間は調査していますよ

という形を残さないといけないということです。

報告書の作成の現状には多々問題を感じますが、この考え方は組織を守るために必要な考え方だと言っていいでしょう。

私はこの考え方には賛成しますが、内容を都合の良い様に変更させることを求めることは良くないと考えています。正直に報告し、問題点を全面に出すからこそ、本当の改善ができるという考えです。

 

膨大な予算を注ぎ込んでしまったから…ICT機器は活用しよう!

公立小中学校には、2000年頃からどんどんICT機器(パソコン・プロジェクター・タブレットなど)がどんどん導入されていきました。

もちろん、膨大な予算をかけての取り組みですから、

ICT機器をたくさん活用して教育効果を高めている!

とアピールしなくてはいけません。

そこで、学期毎に次の様な報告書の作成が命じられます。

  • 大型テレビにタイマーを表示させていた授業時間も1時間としてカウントする
  • 3分程度であってもICT機器を授業中に活用すれば1時間としてカウントする
ICT機器の活用時間  6年1組
教科 国語 社会 算数 理科 図工 音楽 体育 総合 道徳
時間 0 3 0 0 0 0 0 5 0

この様なものですが、正確にどのくらい活用したかなんて分かりません。

実際にはICT機器の利用が苦手な先生は、ほとんどアナログで授業をされていたので、ほとんどの教科を0時間で報告文書を作成すると、管理職から差し戻しされます。

校長先生
校長先生

悪いけど、もう少しICT機器を活用したことにしておいてくれるか?
こういうクラスが多いと委員会から指導が入ってしまうんだ。
そんなことで時間を取られるのは辛いだろ。

これも組織を守るための一つの無駄な仕事です。

本当に意味がある仕事にするには、正直に報告書を書き、

  • ICT機器をよく利用していたクラスの学力平均
  • あまり利用しなかったクラスの学力平均

を比較すれば、意味あるものになるでしょう。

スマホの利用が問題になる中で学校にはどんどんタブレットが導入される(Yahoo!ニュースより引用)

スマホの利用が問題になる中で学校にはどんどんタブレットが導入される(Yahoo!ニュースより引用)

 私は宮城県仙台市の公立小・中・高校に通う7万人の子どもたちの学力や生活習慣のデータを、10年間追跡調査しました。私は10年前から、スマホやタブレットを連日のように使っている子どもの学力が「妙に低い」ということが気にかかっていたのです。

そこで、スマホを使う頻度の高い子どもの脳をMRI装置で調べたところ、学力を含む、子どもたちの認知機能に大きく関わる大脳の約3分の1の領域と、大脳白質(神経線維)の多くの領域の「発達が止まる」という衝撃の結果が得られたのです。

(Yahoo!ニュースより引用)

この様なニュースが話題になっても、学校現場で大きく取り上げられないのは、膨大な予算の投入が原因だと推測します。

あまりにも膨大な予算を投入したために、後戻りできないために組織を守るための無駄な仕事が増えているように感じます。

 

大きな変化を生み出すのに理由が必要

一般企業の場合には、業績がありますが、公務員教師には業績がありません。

本当は〇〇した方がいいのに…と感覚的に思ってもなかなか数値化することができないので、変化を生み出すことができません。

一例を挙げてみます。

近隣の学校教師が集まって研究授業を行うという取り組み

多くの自治体で行われいる取り組みの様ですが、年度始めには近隣の小中学校の教師が集まり、今年度の取り組みを決めるという会議があります。

そこで良く言われるのが、

良い授業を見たり、見せたりすることで教師の力量が高まります。それは、すなわち子どもに返っていくことになるために、授業実践を伴う取り組みを計画してください。

ところが、誰も自ら授業をすると声を挙げる人はいません。

誰もがやりたくない・意味がないと感じている仕事の一例

誰もがやりたくない・意味がないと感じている仕事の一例

  • 勤務時間(半日)を割いて行われる
  • 会場には100人程度の教師が集まる
  • 誰も自ら研究授業をすると言わない

もはや根気勝負ようなもので、沈黙に耐えられないという先生が渋々、「じゃあ、私でよければ授業をさせてもらいます」という様な会議です。

一般企業で言えば、こんな無駄な会議に交通費と人件費を支払うなんてことはまずやりません

多くの先生方が大した意味はないと感じている取り組みですが、長年続けられています。

なぜ、こんなことを続けているのか…

取り組みを辞めるにあたって納得できる説明ができないため

です。つまり、「多くの先生が意味がないと感じているから」というのは、納得できる理由にはならないということです。

「意味がない」と感じるのであれば「意味のあるもの」にしなさいという考え方にあるために、そんなことを言われるくらないなら、大人しく黙っていた方がいいのです。

結局、無駄だと感じる仕事・取り組みが無くならないのはこうした理由によるものなのです。


学校行事も同じ様な考え方がされます。

校長先生
校長先生

昨年度までは、スケート教室を5年生で行なっていましたが、今年度からスケート教室は実施しないことにしました。

金田ママ
金田ママ

えー何でですか?

うちの子スケート教室をすごく楽しみにしていたのに。

校長先生
校長先生

お気持ちは分かります。

ただ、今年度からご承知の通り、学習指導要領も変わり、定められた学習をするとなるとどうしても学校行事を精選しないといけなかったのです。

この様に「どうしようもない」「仕方のない」理由があれば、変化を生み出すこともしやすいのです。

反対に、特別な理由がなければ、大きな変化を生み出すことはできないのです。

 

まとめ 無駄な仕事が多い職場の実態とその理由

極僅かですが、公立学校の教師の無駄だと思われる仕事の一部を取りあげてみました。

仕方がないのかなぁ…と思える側面もあれば、もっと誠実でないといけないと思われる側面も感じられたと思います。

いずれにしても、

  • 自分たちの組織があまりにも大きい。
  • 相手にしている人(子ども・保護者)があまりにも多い。

ために、身軽な動きができないのが現状です。

これまでにいろんな経験をしてきた人ほど、歯がゆさの様なものを感じることは多々あるのが現状です。

とは言うものの、少しずつでも先生方が生の声を挙げ続けることで、少しずつ改善されることもありますから、声を挙げ続けて欲しいと思います。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

問題点は山積みの学校現場ですが、そこで感じられるストレスを全て帳消しにしてくれるくらいのパワーを子ども達はもっています。

そんな子ども達に出会えるのが、公立学校教師の最大の魅力だと思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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