「ゲーム・スマホ禁止!」と言う前に大人が子どもにすべきこと

子どもとゲーム・スマホの関係は、かなり難しくどの様にすればいいのか悩むものです。

特に、

  • ゲームやスマホばかり触っていて、学校の成績が大きく下がった。
  • 単位の修得すら危ないと学校に言われた。

なんてことがあると、「ゲームやスマホばかり触っているからだろ!一切、禁止だ!」と言いたくなるものです。

ただ、ここで悩むのが、

本当にゲームやスマホの使用を禁止すれば、子どもが変わるのか?

という部分ではないでしょうか。

私は教師として学校現場で様々な家庭の様子をたくさん見ることができたために、そうした経験も踏まえながら、大人が子どもに対して、どの様なことをすればいいのか詳しく解説します。

 

目次

子どもがゲームやスマホに夢中になる理由

多くの子どもがゲームやスマホに夢中になるのは、

  • 時間がない中で、お手軽にパッと楽しむことができる。
  • ゲームやスマホの世界の中なら、自己表現がしやすい。

ためです。これはとても重要なポイントで、もし、ゲームやスマホ以外の方法で、これらが満たされるのであれば、子どもたちは、それに夢中になるということです。

例えば、あなたは、サッカーがプロ選手並みに上手だとしましょう。

  • 「放課後にサッカーをしよう」と呼びかけると、10人以上の人が集まる。
  • 「〇〇の技はどうやってするの?」「マジで教えて…」
  • 「今日こそ、お前を倒す!めちゃくちゃ練習を積んできたぞ。」

この様なことをたくさんの人に言われる様な状態であれば、サッカーがしたくてたまらなくなるはずだということです。

詳しくは、【子育て】ゲーム以外に興味が持てない子どもとどう接するか?も参考にしてください。

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ゲームやスマホを禁止したところで子どもの欲求は満たされない

子どもがゲームやスマホに夢中になる一つの理由に、「自己表現をして承認されたい」というものがあることが分かったと思います。

ゲームやスマホの利用を禁止した時の問題点

ところが、ここで成績が下がったからと言って、ゲームやスマホを禁止!としてしまうと…

  • 自分を表現できる場がなくなってしまう
     →大きな孤独感を抱える
  • なんとかして自己表現をする場を探そうとする
     →ゲームをさせてくれる友達を探す・嘘をつく

この様なことが起きてします可能性が高くなってしまいます。

これでは、成績が上がるどころの話ではなくなってしまうということです。

 

事例 成績が大きく下がり、ゲーム・スマホを禁止されたAくん

実際に、以前、私が相談を受けた一つの事例を紹介します。

Aくんは、受験をしてまずまず名の知れた私立中学校に入りました。

入学後、友達がなかなかできない日々が続いていたのが悩みでしたが、ある日、「フォートナイトをしてる?」と質問されたことがきっかけとなり、ゲームに夢中になりはじめました。

ゲームの世界にどっぷりとハマり、学校がある平日でも深夜までゲームをする日がいた結果、成績は、相当下がってしまいました。

学校からは「このままでは、高校進学は厳しい」とまで、言われてしまいました。

焦ったAくんのお母さんは、即座に「ゲーム・スマホ禁止令」を出し、取り上げたのですが…

マナブくん
Aくん

学校に行くのはもう嫌。

みんなゲームの話をしているのに、俺は話に入れないし、友達がいない。

こうして、学校は休みがちになってしまいました。

これに焦ったお母さんは、「ゲーム・スマホ禁止令」を解いたのですが、Aくんは今まで以上にゲームの世界にどっぷりとハマってしまったのです。

 

ゲーム・スマホの禁止からAくんが学んだこと

「ゲーム・スマホ禁止令」が出され、解禁されるまでの流れで、Aくんが学んだことは、残念ながら、

学校に行きたくない・自分は辛いということを言えば、親は言うことを聞いてくれる

というものでした。

ですから、Aくんは、他の面でも面倒だと感じることがあれば、自分は辛い・悲しいということを言う様になってしまったのです。

せっかく子どもの為を思ってした行為が、良くない方向に向かってしまった一つの事例ですが、この様な話は、教育に関わっているとよく聞く話です。

ここで、私たち大人がもう一度確認したいのは、

きまりで人の行動をコントロールすることはできない

ということです。

ゲーム・スマホの禁止に限らず、他のことでも、きまりでコントロールはできないということを、【元教師が解説】学校のいじめが解決しない理由。法やマニュアルは有効か?の記事で紹介しています。

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ゲームやスマホを禁止する前に大人がすべきこと

本来は、ゲームやスマホを自由に触れる環境であっても、自分にあった使い方をして欲しいというのが、理想ではないでしょうか。

ただ、子どもは生きてきた時間が短いために、どうしても「自分にあった」の加減が分からないというのが、現状です。

このことを踏まえると、

親が意図的に様々な経験をさせる努力をしないといけない

ということです。

Aくんの場合、「みんなゲームの話をしているのに…」と話していましたが、彼が見ていたのは、教室内の数人だけでした。

現代の子どもは、あまりにも忙しく、

  • 学校や塾に行き、一生懸命勉強する。
  • 特定のスポーツに夢中になる。
  • 空いた時間にゲームやスマホの世界を楽しむ。

という、とても視野の狭い生活が日常化しています。

この中で、自分の存在感を出し、自己表現をするのは、相当困難だということに大人の私たちは気づいておきたいものです。

ですから、ゲームやスマホ禁止令を出す前に、勉強・特定のスポーツ・スマホ以外の活動を意図的に経験させる努力が必要です。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

灼熱の夏休み期間中ですが、Aくんと何人かの中学生を集めて、バーベキューをしようと思っています。子ども達が集まって、自分たちで役割分担をし、楽しく食べられるようにするまで、私は口出しをしないでおこうと思います。

そんな経験を通して、Aくんがどう自分の存在価値を高めるのか、楽しみに見守りたいと思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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