【実例】私立中学を受験すべきか?公立高校受験には完全不利!

小学校から中学校に上がる段階で、中学受験を視野に入れる人も多いでしょう。

「少しでも良い教育を受けさせてやりたい」というのは、私立中学を受験する・しないに関わらず誰もが同じ願いだと思います。

ただし、次のような考え方は要注意です。

私立中学校の場合、公立中学校よりもはるかにお金がかかるために、その分、良い教育が受けられるだろう。

なぜ、この様な考え方が良くないのでしょうか。

実際に、教師として生徒と関わってきた経験、そして現在も直接関わっている私立中学校・公立中学校3年生の生徒の様子も交えて詳しく解説します。

金田ママ
金田ママ

うちの子、私立小学校に通わせているのよ。

お金を払った分、良い教育が受けられていると思うわ。

目次

子どもに受けさせてやりたい良い教育とは?

私の経験の範囲では、私立学校の保護者の集まり公立学校の保護者の集まりとでは、質問される話題が大きく異なるということです。

ほんの一例を挙げると、

私立学校の保護者 公立学校の保護者
  • どこの塾に行くと成績が伸びるか。
  • どのくらいの時間塾に通っているか。
  • 何%の子どもが有名学校に進学したか。
  • 友達とどんな遊び方をしているか。
  • 家庭でどの様な勉強をしているか。
  • 進路についてどんな話をしたらいいか。

ざっくりですが、こんな感じ。私立学校の保護者からは、経済力も感じさせらます。

これは全体的な傾向として紹介していますから、個々には私立学校だけど公立学校よりという方、また、その逆という方がいらっしゃることは承知しています。

つまり、

良い教育とはどういうものかが、学校・保護者によっても大きく異なる

ということです。

これでは、私立中学校を受験した方がいいのか?よくないのか?を考えることができませんから、ここでは、

  • 子ども自身が自分で考えて決断をするようになる。
  • 少々大変なことがあっても自分で乗り越えられる様になる。
  • 自分のことだけではなく、友達のことも考えられる様になる。

こうしたことができる様になることを「良い教育」として話を進めていきます。

公立中学校と私立中学校では子どもの雰囲気が全く違う

私立中学校を受験するか、しないかを考える時に、最も重視したいのは子どもの成長です。

公立中学校の子ども達の全体的な傾向

公立中学校と一言で言っても、様々です。

私の住んでいる地域でも、

  • A中学校はとても落ち着いている。
  • B中学校は最近荒れているらしい。
  • C中学校からはあのレベルの高い高校に〇〇人も進学したらしいよ。

こんな話はよく聞きます。

ところが、どの公立中学校の子ども達にも共通しているのは、当たり前ですが、

中学3年生になったら高校受験をするか、就職するか決断しないといけない

ですから、どんなに荒れている中学校でも、真剣に勉強している子がクラスに必ずいるということです。

私が教師をしている時には、様々な中学校を見てきましたが、荒れていると言われている中学校でも、中学3年性になれば半数以上の生徒が授業を聞いていないという学校はありませんでした。

当然、「この段階でサボると希望する高校にいけない」と子ども達は分かっていますから。

この困った状況というのは、様々なことを考える素晴らしい機会となります。地頭がいい子どもに育てる!母親がすべき意外なことでは、身近な具体例を紹介しています。

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先日、まぁまぁ落ち着いた公立中学校に通う中学3年生の子どもに会いました。

保護者の方の話を聞くと、中学3年生になってから、勉強時間が相当増えたとのことです。

その理由を本人にたずねてみると…

中3になってからみんなの雰囲気が変わったわ。そりゃそうだろ。高校入試まで1年もないのだから、ここで頑張ろうってみんな思いはじめたんじゃない?塾に行き始めた人も増えてきたし、授業の受け方も変わった感じがするわ。ここで頑張らなあかんなぁって感じがするで。
もちろん、中にはいい加減な奴もいるけど、そんな奴は極一部だけやで。

自分の住んでいる地域の公立中学校は荒れている…という方は、【元教員が教える】小中学校の学区で住まいを決める?失敗しない為の知識をお読みください。絶望する必要がないことがわかると思います。

私立中学校の子ども達の全体的な傾向

私立中学校の場合、よほどの事がない限り、内部進学できる学校が多いです。

これが、最大のデメリットだと感じます。

実際に、地域で中堅レベルと言われる私立中学校の授業をいくつか拝見しましたが、子ども達の様子は悲惨でした。

  • 寝ている。
  • 授業で使うノートパソコンでYouTubeを見ている。

という子どもが半数を超えてしまっていたのです。

現在、私立中学校に通う3年生の子どもにも関わっていますが、ゲームのお誘いがバンバンLINEで送られてくるのが現状です。

全く危機感がない状態ですから、中学3年生だからと言って雰囲気が変わることがありません。

こうしたデメリットについては、私立中学を受験する最大のメリットが怖い【賢い子は厳しさを求める】の記事でも詳しく紹介しています。

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私立中学校に通う子どもの家庭は経済力があるから大変!

経済力があることは素晴らしいことですが、私立中学校の場合、ほとんどの生徒の家庭に経済力があるという点が課題です。

私立中学校の勉強についていけない場合、塾を勧められる

公立学校で教師をしていた私からすると、信じられない言葉ですが、先日、ある私立中学校の保護者の方がこんなことを言われていました。

学校の勉強が難しく、なかなかついて行けてないようです。学校では、時々小テストの様なものがあり、合格するまで再テストという形をとってくれていますが、全く同じプリントで再テストが行われています。だから子どもは、解答欄に何を書いたらいいのかまる覚えしているだけで、意味を全く理解していません。
プリントをなんとか工夫してもらえないでしょうか。

この様な要望をされたところ、返ってきた返事は…

  • 大丈夫ですよ。とにかく小テスト合格さえして、提出物を出してくれていたら平均程度の評定をつけますから。
  • 学校の授業が難しいようでしたら、どこか塾に通ってください。

とのことでした。別の私立中学校の保護者の方も、似た様な話をされていたので、経済力があるからこそ、簡単に塾を勧められるのだと感じました。

また、最初から「内部進学ありき」で話をされていることも分かります。

ちなみに、平成30年度に文部科学省が行なった子どもの学習費調査の結果は次の通りです。

学習塾費の平均

公立中学校 私立中学校
中学1年生 110,774 117,141
中学2年生 178,408 156,664
中学3年生 313,780 186,569

注)塾に通っていない人は0円として計算をしています。

平均的な見方になりますが、私立中学生と公立中学生がかける塾の費用は、若干、公立中学校の方が高い傾向ですが、学費の差に対して、塾の費用に大差はありません

高い授業料を支払っているのだからその分、私立中学校でほとんどを賄ってくれるという訳ではないと言えるでしょう。

ちなみに、公立学校の場合は、様々な家庭の子どもがいることが前提なので、できる限り学校で問題解決をしようとするのが通常です。

【実例】公立小中学校はモンスターペアレントにも丁寧に対応する理由の記事で、公立学校の基本的な方針が感じられると思います。

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賛否様々!すぐにオンライン授業に切り替わる学校も

コロナ禍をどう乗り越えるか? これはどの学校も大きな課題ですが、私立中学校の多くは、いち早くオンライン授業を取り入れることができました。

ところが、オンライン授業ができるという理由で、公立中学校よりもはるかに長期間オンライン授業を実施していた学校が数多く見られました。

実際に私立中学校の保護者からはこんな声が挙がっていました。

  • 安全を第一に考えてくれているから良かった。
  • オンラインにすることで学級閉鎖の心配もないからより勉強できる。

その一方で、こんな怒りの声もたくさんありました。

  • すぐにオンライン授業に変更される。
  • 送られてくる動画があまりにも短く、勉強になっていない。
  • コロナを言い訳にして学校が楽をしようとしている風にしか見えない。

オンライン授業の実施の良し悪しは、いろいろあるにしても、少なくとも

公立学校の場合は、急に明日からオンライン授業!という事は行われません

理由は簡単で、様々な環境の子ども達がいるからです。

校長先生
校長先生

オンライン授業を検討しないといけない状況だけど、急な変更は保護者も子どもも困ってしまう。学力のことを考えてもできるだけ授業を行おう。

公立中学校の場合は、基本的にこうしたスタンスです。

金田ママ
金田ママ

でも、学力面を見ても私立中学からエスカレータで上がれる私立高校の方が偏差値が高いじゃない。なんでそんなことが起きるの?

偏差値が高い学校は果たして教育力・指導力が高いのか?

私立中学校からエスカレータで上がれる私立高校の偏差値が高いということはよくあります。

ところが先に触れたように、エスカレータで高校に上がれることを知っている子ども達は、学習意欲が決して高いとは言えません。

それなのに、なぜ、上の私立高校の偏差値が高いということが起きるのでしょう。

それは、

外部から高校受験をして入学してきた生徒が賢いから

です。特に私立中学校より関連私立高校の生徒の人数が多い学校は注意が必要です。

内部進学の中学生よりもはるかに努力し、賢い生徒を採って、〇〇高校の偏差値を高め、ブランド力を高めている学校も多いのが現状です。

必ずしも、授業の質が高い・指導力が高いとは限らない

ということです。

先日、ある私立中学校の入学式に参加しました。

そこで新入生代表の誓い・挨拶などが行われていましたが、この代表者に選ばれた人は、小学校からの内部生ではなく、外部生だったのです。

これはほんの一例ですが、学校の判断として内部生よりも外部生の方がしっかりとしていて、見栄えする・しっかりと原稿を覚えて発表してくれるという期待の現れだと感じました。

私がこれまで関わってきた子ども達の様子、また実際に授業の様子を見て、感じたことをまとめてみました。

もちろん、全ての学校がここで触れた様な性質だとは思いませんが、子ども進路はとても重要ですから、進路を決定する時には、

学校に通っている子ども達の様子を直接、自分の目で見る

ことをしてほしいと思います。

いつも言うことですが、学校の名前・ブランド力で子ども達の質が判断される時代はとっくに終わっています。

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

社会っていろいろな人(良い人・悪い人・愉快な人・寡黙な人…)いろいろな人がいて成り立っています。

同年齢・同経済環境ばかりの人が集まった集団から学べることは、どうしても幅が狭くなりがちになってしまう気がするのは、私だけでしょうか。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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