【私立中学高校】偏差値のからくり?イメージ通りの学校を選択する方法

「偏差値が全てではない!」と言われ出してから久しいですが、現実には、偏差値を目安に進学する高校を決めるという方も多いものです。

ところが、そこそこ偏差値が高い私立高校に入学したにも関わらず、新年度が明け、夏休みに入るまでの期間に、次の様な相談が年々増えてきています。

一般的に公開されている偏差値を基準に高校に進学しましたが、実際には、公開されている偏差値レベルの授業がなされていません。授業参観にも行きましたが、残念ながら、期待していた様な授業ではありませんでした。なぜ、こんな事が起きるのでしょうか。
金田ママ
金田ママ

高い入学金や授業料を支払ったのに…。

これからどうしたらいいの?

本当にショックです。

そこで今回は、

なぜ、私立中学・私立高校では、偏差値からイメージされる実態との格差が起きるのか?

について解説します。また、あわせてこの様な事態に陥らないようにするために、事前にどうすればいいのかも紹介します。

なお、全ての私立中学校・私立高校がこの様な状態であるとは限りません。素晴らしい学校もありますから、それを見極めるための視点を紹介します。

 

目次

偏差値だけで学校の学力レベルを判断するのは危険!

入試情報に「偏差値60」と書かれた学校を見ると、「なかなか賢い学校だなぁ」と感じるものです。

ところが、

偏差値60というのは、生徒がもっている学力レベルであって、学校が育てる力ではない

ということを理解する必要があります。

私たち大人が学校に求めることは、「どれだけ子どもを成長させてくれるか?」ということで、これを数値化した指標の様なものは、現在、存在しません。

このことを踏まえて、「なぜ、偏差値からイメージされる実態との格差が起きるのか?」について見ていきましょう。

 

私立中学校・高校の場合、内部生と外部生との格差が生まれる

私立中学校・高校の場合、内部生(エスカレータで進学する生徒)と外部生(別の学校から受験をして入学する生徒)に、大きな学力差がある場合があります。

これが、偏差値のギャップを生み出す大きな要因です。

具体例を挙げながら詳しく解説します。

  • A中学校3年生の生徒のうち、100人は内部生としてA高校に入学しました。
  • またA高校は、受験を通して外部生を100人採りました。

一概に決めつけることはできませんが、この時に内部生と外部生のどちらが一生懸命勉強して入学してくるか?を想像してみましょう。

当然、外部生として受験する生徒の方が緊張感が高いために、真剣に勉強する人が多いだろうということは推測することができます。

つまり、外部生の受験に対して少し厳しさをもたせると、最初から学力のある生徒だけを選抜することができるのです。

こうすることで、学校全体の偏差値はグッとあがります。極端ですが、次の様なイメージになります。

内部生の偏差値 外部生の偏差値 学校全体の偏差値
40 60 50

ですから、冒頭にもあったように、学校の雰囲気がイメージと違うということが起きるのです。

特に、内部生の割合に対して、外部生の割合が高い場合には…

公開されている偏差値は、学校の教育レベルの参考にしていいか分からない

ということです。

繰り返しになりますが、入試情報で公開されている偏差値は、入試の時に必要な学力であって、学校の教育力の高さと一致するとは限らないということです。

金田ママ
金田ママ

でもコースに分かれている場合は、レベルに応じた授業になりそうね。

私立中学・私立高校でコースが設けられている場合の注意点

高校進学の際に、コースを選択して受験する場合も多々あります。

例えば、次の様なイメージです。

B高校 クラス名 入学時偏差値 備考
ハイクラス 60 国公立大を目指す
ミドルクラス 55 有名私立大を目指す
スタンダード 50 大学進学を目指す

当然、それぞれのクラスのレベルに応じた授業が行われますが、注意したいのは、

学力が下がりクラスに適さなくなった場合、下のクラスに落とされる場合

です。この制度がある学校・ない学校様々ですが、私が知る限りでは、割と多いのが現状です。

実際に、この制度が適応され、私のところに相談に来ていた生徒の言葉を借りると、

一旦、落とされてしまうと魔のスパイラルが始まる

ということです。つまり、一度、落とされると立ち直るのは難しいということです。

その理由は、

この図の通り、コースによって学習の進度が大きく変わるためです。

Aさんは頑張っていたにも関わらず、ハイクラスからミドルクラスに落とされました。そこで、必死に頑張り、ミドルクラスで優秀と認められ、再びハイクラスに復帰しました。ところがその時点で、ミドルクラスの授業はグンっと進んでいるので、空白ができるのです。

これでは、なかなかミドルクラスで結果を出すのが難しいということになります。

これでは、親の立場からしても、イメージしていた学校生活ではない!ということになってしまうのです。

 

これまでに体験した残念な事例

ここまで触れたことは、保護者にとっても、生徒自身にとっても非常に大きな問題です。

ですから、少しでも改善できないものかと、保護者と共に学校に相談にいきましたが…

そんなに頑張らなくても、エスカレータで大学まで行けますから大丈夫ですよ。

と返答されてしまいました。

教育に対する意識が皆無であるということが分かった瞬間となってしまったのです。

少なくともあなたの進路選択からは、こうした学校を外して欲しいと思います。

金田ママ
金田ママ

じゃあ、どうやって進学する中学校・高校を見極めたらいいの?

イメージ通りの学校かどうかを見極める具体的な方法

私立中学校・私立高校を進学先の候補にする場合には、次の点に注意する必要があります。

  1. 内部生と外部生の割合を見ながら偏差値を参照する。
  2. コースが選択できる場合、入学後にコース変更される可能性があるかどうか?
  3. 進学実績を正しく見る。
  4. 【最重要】入学前に授業参観に行く。

3・4についてもう少し詳しく解説します。

 

進学実績を正しく見るとは?

多くの私立高校(私立中学校)は、進学実績で目立つものは大きくアピールします。

例えば、

東大2人・京大4人・早稲田大6人…

この様なものですが、実は目立たない部分の進学実績の方が大切です。

先に触れた様に、最初から優秀な外部生をとり、狙いを絞ったコースで、ガッツリと指導を行えば、それなりの実績を出すことができるからです。

反対の言い方をすれば、学校が力を入れているコースから外された場合、しっかりとした教育が受けられるかどうかは不明だということです。

仮に学校全体の教育力(学力をつける力)が高ければ、いわゆる有名大学から順次、地方の国公立大学・中堅私立大学…とズラッと進学実績が並ぶはずです。

詳しくは、【私立高校の入試制度】専願を進められた時に見るべきポイントで解説しています。

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入学前に授業参観に行くとは?

進学先の学校のオープンキャンパスに行くという方は多いですが、オープンキャンパスは、集客するためのイベントです。

ここでは、日常の生徒の様子を見ることができないために本当の学校の姿は分かりません。

もちろん、説明の時に使われるプレゼンには、素晴らしい写真やデータが掲載されているので、とても魅力的に映ります。

本当の学校の姿を見るには、「授業参観」に行くのがベストです。

子どもが通っていないのに参観なんて…と思われるかもしれませんが、「進学を検討している」ことを伝えると、大抵の場合、参観を認めて貰えます。

詳しくは、【元教員が教える】小中学校の学区で住まいを決める?失敗しない為の知識でも紹介していますから、参考にしてください。

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そもそも「教育」とは何か?を真剣に考えるべき!

そもそも「教育」とは何か?

人を育てて、育った人が社会に貢献して、また新たな人を育てる。このサイクルを生み出すことが根本です。

仮に有名大学に進学できたとしても、「自分が得をすること」だけ考えるのであれば、その学力は全く意味がないということです。

典型的な例で言えば、地下鉄サリン事件。

東京大学・早稲田大学・慶応大学を優秀な成績で卒業した人が事件に関わっていました。

つまり、

せっかくの学力を悪い方向に活用してしまった

ということです。こんなことのために勉強するのであれば、しない方がずっと良い。

  • 高度なことを学ぶのであれば、どんな風に社会に貢献するか考える。
  • 教育に関わる人は、子どもにどう社会貢献できたらいいのか考えさせる。

この2点は必須なのです。

教育を過度にビジネス化しすぎた結果、多くの子ども達が困っている様に感じることがあります。

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本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

教育って難しいテクニックを使ってどうこうするものじゃないと思います。

私は、修学旅行の引率に行った時には、必ず子ども達とお風呂に入っていましたが、そういうことが本当は一番大事じゃないかなぁって思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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