不登校の子どもがゲームに逃げる本当の理由と改善策

うちの子、不登校なのにゲームばかりしています。不登校になり始めたころは、いろいろな事があったから仕方がないと思っていましたが、一向に変わる気配がありません。
元気にゲームばかりしているのを見ると腹も立ってきます。
どうしたらいいのでしょう。

この気持ち十分に分かります。

私も学級担任として不登校の子ども家に家庭訪問に行くと、挨拶もなく、ゲームに夢中になっている姿を見ると、正直、腹が立ったものです。

だからと言って、「ゲームを取り上げるぞ!」なんてことをしても何も改善しません。

では、どうすればいいのでしょうか。

そこで、

不登校の子どもがゲームに夢中になる原因と改善策

を詳しく解説します。原因を深く理解することが改善策につながります。

 

目次

不登校・不登校傾向の子どもの現状

文部科学省(児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要より引用)

残念なことですが、実際に不登校の子どもは増加の一方です。

上のグラフは、年間30日以上の欠席があった子どものデータなので、

  • 保健室や別室に登校した子ども
  • 遅刻して登校登校した子ども
  • 教室に行くが授業に参加しない子どもなど…

これらもあわせるとさらに深刻な事態となります。

「学校が楽しくて仕方がない」という子どもがいる一方で、不登校の子どもが増えていくのはどうしてでしょうか。

私が学級担任として関わってきた経験から言えば、

スマホやタブレットなどのゲームの世界にはまってしまっている子どもが多い

というのは確かなことです。

では、なぜ、彼らはスマホやタブレットなどのゲームの世界にはまってしまうのでしょうか。

 

不登校・不登校傾向の子どもがゲームばかりをする本当の理由

大人からすれば、「ゲームばかりして何の意味があるの?」と思うかもしれません。

けれども、不登校・不登校傾向の子ども達の1日の過ごし方を見ると、スマホやゲームに触れている時間がかなり多いです。

1日で8時間以上の時間をスマホやゲームに費やしている子も珍しくありません。

8時間もよくゲームをする気になれるなぁ…なんて思いますがそれには深い理由があります。

 

不登校・不登校傾向の子どもがゲームに夢中になるわけ

不登校・不登校傾向の子どものほとんどが、ゲームやSNSに夢中になっています。

反対にこんな不登校の子どもには出会ったことはありません。

  • 学校が大嫌いだけど、野球が好きだから学校に行かずに野球の練習をする。
  • 学校の勉強は面白くないから、本を買って勉強する。だから学力は心配するな。

ゲームやSNSと何が違うのか、気付いたでしょうか。

ゲームやSNSは自己表現が簡単にできる場所

であるために、夢中になりやすいのです。

例えば、人気ゲーム「フォートナイト」では、コスチュームが販売されていますが、高いコスチュームを購入すれば、強くなるという訳ではありません。

https://70okugame.com/fortnite/より引用

ただ、自分のキャラクターのファッションとしてコスチュームを購入するのです。

つまり、ゲームの世界を通して、自分らしさの様なものを表現しようとしているのです。

金田ママ
金田ママ

その気持ちは分かるけれども、どうして現実世界で自分を表現しないの?

画面の中だけなら、それこそつまらないでしょ。

現実世界では自己表現が難しいけれども、コントロールはしたい

人は誰でも、

  • 自分のことを認めて欲しい。
  • 自分のイメージ通りに事が運んで欲しい(コントロールしたい)。

という欲求をもっています。

ところが、不登校・不登校傾向の子どもは、この二つの欲求が満たされた経験が少ないのです。

例えば、学校では、

  • 勉強やスポーツができないと高く評価されない。
  • 周りの人と違った意見・行動をすると叱られる。

ということもありますから、解釈の仕方によっては、「自分が認められていない」と感じたり「自分を表現すると叱られる」という理解になってしまうわけです。

その結果、「学校がつまらない」「学校に行く意味がない」となるのです。

ところが、ゲームやSNSの世界では、キャラクターをイメージ通りにコントロールすることができ、様々な人がいるために、小数派の意見・行動をとっても賛同してくれる人がいます。

しかも、電源さえ入れてしまえば、この世界観に浸れる訳ですから、魅力的なのです。

ただ、注意したいのは、

ゲーム・スマホを取り上げたところで問題の本質が改善されない

ということです。

 

不登校の子どもがゲームに逃げるのを何とか辞めさせる方法

ゲームやスマホを取り上げたところで、問題の本質は改善しません。

子ども達が求めていることは、繰り返しになりますが、

  • 自分のことを認めて欲しい。
  • 自分のイメージ通りに事が運んで欲しい(コントロールしたい)。

ですから、これらのことをゲームやスマホの世界とは別のところで十分に経験させる必要があります。

では、具体例をいくつか紹介します。

子どもの存在を十分に認める

「子どもの存在を認める」というのは、「子どもの考えを認める」ということです。

大人からすれば、子どもの考えは、浅はかに見えることの方が圧倒的に多いのですが、だからと言って、訂正・修正を加えてしまうと子どもの存在の意味が薄れてしまいます

「失敗も経験になる」という位の気持ちで子どもの考えを認めたいものです。

詳しくは、元気なのに不登校!逃げ癖がつかないか心配【元教員の対応策】の記事も参考してください。

 

自分のイメージ通りにことが運ぶ経験を積む

ゲームの面白さの一つに、自由にコントロールできるというものがあります。

ところが、現実世界で親や友達を自由にコントロールすることはできません。

コントロールできるものと言えば、

  • 自分自身
  • もの

くらいです。

ところが、これらでさえも自由にコントロールするができる様になるのには、どうしても時間がかかります

この時間がかかるというところがめちゃくちゃ重要ポイントです。

子どもが何かに挑戦しようとした時に焦って結果を求めないこと

です。

例えば、子どもが「ちょっと勉強を頑張ってみよう」と思ったけれども、次のテストでは散々な結果だった…なんてことはありますが、ここで手を出さないということです。

もちろん、子ども自身は、落ち込むし、やる気が失せるかもしれませんが、「そんなに簡単に結果が出れば面白くない」というメッセージを投げ続けます。

結果がついてくる様になるまでに、少なくとも半年〜1年はかかるのが当然で、そのくらい時間をかけて自分の問題を自分で克服した子だけがやっと、自身をコントロールできる感覚を手にいれることができるのです。

植物(野菜)を育ててみるのも、時間とコントロールの関係を掴むのに効果的です。

おいしいキュウリが食べたいと思って、自分で育てるとなれば、3〜4ヶ月のお世話をしないといけません。

こうした経験を存分に積むことで、コントロールすることの本当の充実感を子ども達は学んでいくのですが、今ではすっかり短期的な見方しかされなくなりました。

これまで出会った不登校・不登校傾向が強い子ども達は、

  • 親や学校の強いコントロールの支配下(言う事を聞く子が良い)。
  • 周りの〇〇をすれば……となる(短期的な見方)。

に苦しんでいました。

まず大人のこうした見方をとっぱらうのが、不登校とゲームの問題の解決策のスタートラインとなります。

大人のコントロールが一切ない状況になり、親子関係が整ってくると無理やりゲームやスマホを取り上げることに何のためらいも感じないでしょう。

実際に私が息子のスマホを取り上げた話は、子どもがスマホに依存して困ります【自己管理できる様にした具体策】で紹介しています。

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脱ゲーム!すぐに楽しい→じっくりと楽しいに暮らしをシフトする

「子ども達の姿は大人社会を映し出している」と言われます。

子どもが不登校になり、ゲームに没頭するのも大人の問題点を指摘しているのだと思います。

学校現場のことを言えば、学力向上を掲げ、どの様な指導をすれば学力が高まるか?なんてことが1年単位で評価される様になってしまいました。

人は本来、もっとゆっくりとした時間の流れの中で生きてきた動物です。

その時間の流れを超えてしまっては、なんらかの歪みが出ることは当然として受け止めて、大人は子どもに関わりたいものです。

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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

富士山の登山をしたことがありますが、時間の関係で、かなりのハイペースで登ってしまいました。急激な変化に身体が悲鳴をあげたことを鮮明に覚えています。

ゆっくりとした時間で物事をみることを大切にしたいと思います。

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この記事を書いた人

公立小学校で15年勤務した後、退職。
現在は、アメリカ・香港・ペルー・インドネシアなどの小・中学生に日本の教育を届けている。日本の文化と住まい・暮らし方との関係を追求し、建材メーカーと共に日本の暮らしを研究している。
「なぜ、人は学ぶのか?」「学ばないといけないのか?」元教員の視点も交えつつ子育てに関する情報を発信している。

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